しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

季節はずれの雪

2010-04-17 |  4月 の花たち
                             2010/04/17 撮影

えっ、今ごろ雪、
と思わず口に出してしまいました。
41年ぶりの遅い降雪だそうです。
お昼前のやさしい日差しにほっとしました。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

チングルマ ( 稚児車 )

2010-04-16 |  4月 の花たち

                                ↑ 2010/04/07 撮影

2010/04/08 撮影

[ バラ科ダイコンソウ属の多年草 ]

日本では、
北海道~本州中部以北の
高山帯の湿り気の多い草地また高湿原に自生し、
雪解けの後などに時として大群落を作ります。
草丈は、10~30cm
茎は灰褐色で横に這い、少し枝分かれして
上半分はほぼ直立します。
根葉は奇数羽状複葉で
小葉は5~11個付き、
不規則な鋸歯があり、質はやや堅く、
表面は深い緑色で光沢があります。
秋には紅葉します。
花期は、7~8月
茎の先に出る長い花柄の頂に花径2~3cmの白い5弁花を1個、
上向き付け平らに開きます。
果実はそう果で、
花柱が残り長さ3cmほどに伸び、
白毛を多数車輪状に付けます。
名は、花が小さく可憐なので稚児に、
また花弁の並び方を車にたとえたと言われます。
別名 : イワグルマ

高山植物の稚児車(ちんぐるま)の花が
4月の草庭に咲きました。
ゆっくりと成長して、
毎年花の数を増やしてしています。
7月半ば、
月山8合目の弥陀ヶ原湿原では、
ここかしこに稚児車の小さな白い花が咲いていて
楽しい散策となりました。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

八重桜 ( やえざくら ) <季> 晩春

2010-04-16 |  春の草木 の 俳句

◉ 奈良の八重桜 ( ならのやえざくら )・里桜 ( さとざくら )・楊貴妃桜 ( ようきひざくら ) ・牡丹桜 ( ぼたんざくら )・鬱金桜 (うこんざくら)

奈良七重七堂伽藍八重桜 ・・・・・ 芭蕉 [泊船集]
日と空といづれか溶くる八重桜  ・・・・・ 渡辺水巴 
やへざくら田に幾枚も山の水 ・・・・・ 矢島渚男 [木蘭]

サトザクラ の八重咲きの総称で、八重桜」と言いますが、
ヤエザクラという名の品種は存在しません。
奈良の八重桜はヤマザクラから出たとされていますが、
現在の多くは大島桜を主体としてできた園芸品種(サトザクラ)で、
普賢象(ふげんぞう)・関山(かんざん)など数多くの品種があります。
色も変化に富み、花の印象はそれぞれに違います。
桜のうちでは咲くのが最も遅く、
花期は、4月下旬~5月上旬。
花は大きく、色は白・淡紅・紅・淡黄色などを呈し、
濃艶があります。
豊かな花房は重く垂れ下がります。
八重の花弁は雄しべが変化したもので
普通実を付けませんが、
奈良の八重桜は実を結ぶ珍しい品種です。
関山の花の5~7分咲きを花柄ごと塩漬けにし、
桜湯などに使います。
大島桜の若葉の塩漬けは桜餅に使われます。
別名: ボタンザクラ

  [ サクラは、バラ科サクラ属サクラ亜属の樹木の総称 ]
  [ 八重桜は一つのサクラの品種ではなく八重咲きに花を付けるクラの総称 ]

雨すぎてまた青空と八重桜 ・・・・・ みなみ
  
良く知られている
新宿御苑や馬事公苑の八重桜は、
毎年変わることなく
見事な花を咲かせています。
五十年も咲き続けた草庭の八重桜は、
植え替えてからテングス病にかかり、
樹勢が次第に衰えて
とうとう枯れてしまいました。
古木だったからなのか、
それとも移植の時期が悪かったからなのでしょうか、
とても残念でした。

2014/04/13 撮影 …カンザン、神代植物園





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

桜蘂ふる ( さくらしべふる ) <季> 晩春

2010-04-13 |  春の草木 の 俳句

◉ …

忌七たび七たび踏みぬ桜蘂 ・・・・・ 鈴木真砂女 [居待月]
流したる水桜しべ押してゆく ・・・・・ 波多野爽波 [一筆]
桜しべ降るにまかせて大社 ・・・・・ 鷹羽狩行 [十二紅]

桜の花びらが散ったあと、
がくに残った蘂が降ることをいいます。
花時を過ぎた
静かな佇まいの樹下に
紅色の蘂が散り敷いている光景が見られます。

桜蘂ふる雨の路地染めにけり ・・・・・ みなみ

雨上がりの朝の散歩道で、
まだ濡れているアスファルトの上に
花びらの混じった桜蘂(がくごと)が
鮮やかな紅色をしていました。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

落花 ( らっか ) <季> 晩春

2010-04-12 |  春の草木 の 俳句

◉ 散る桜(ちるさくら)・花吹雪( はなふぶき )・桜吹雪(さくらふぶき)・飛花( ひか)・花散る(はなちる)・花屑( はなくず)・花の塵(はなのちり)・花筏( はないかだ)

四方より花吹き入れて鳰の海 ・・・・・ 芭蕉 
人恋し灯ともしごろをさくらちる ・・・・・ 白雄 [白雄句集]
仁和寺や落花さかんと大書して ・・・・・ 黒田杏子 [一木一草]

桜の花の散ることです。
花時には季節風が吹くことが多く、
爛漫と咲く万朶の花が
一陣の風に惜しげもなく散って行くさまの
はかなさ・美しさ・潔さをよしとして、
賞美されました。
散る花のさまを表現した傍題の数も多く、
「花吹雪」は風に飛び散る花びらのさまを
吹雪にたとえ、
「花筏」は水面に連なって流れる花びらを
筏に見立てたものです。

輪を描きつゝ舞ひ上がる落花かな ・・・・・ みなみ

ひとしきりの風に舞いながら
惜しみなく散る花びらに、
つい立ち尽くしてしまいます。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夜桜 ( よざくら ) <季> 晩春

2010-04-12 |  春の草木 の 俳句

◉ …

夜桜や美人天から下るとも ・・・・ 一茶
夜桜や大雪洞の空うつり ・・・・・ 正岡子規
夜桜の一枝長き水の上 ・・・・・ 高野素十


夜桜見物を略して夜桜と言います。
各地の公園や桜並木道などで、観光客のために、
篝火を焚いたり、電気照明により風情を添えています。
*  「季語」の扱いは、歳時記( 編者 )により異る場合があります
 「夜桜」はその一例と言えるでしょう。
 或る歳時記は
 「夜桜」を「生活」または「人事」の項目に入れて「夜の花見」のこととし、
 「夜の桜の花」のことを「夜の桜」と言う、と述べています。
 他の歳時記には、
 「夜の花見」と「夜の桜」とを分けずに「夜桜」として扱っているものもあります。
 またほかに、
 「植物」の項目に入れ桜の傍題として取り扱っている例も見られます。

夜桜のまだ人込みのすみにをり ・・・・・ みなみ

夜空に浮かび上がる染井吉野にも
格別の趣がありますが、
とくにライトアップされた枝垂桜は、
昼間と違った神秘的な美しい表情を見せています。
平安神宮の
空から枝垂れて溢れる八重紅枝垂桜に感動し、
また円山公園の
主のような威厳を見せている枝垂桜や
醍醐寺三宝院の枝垂桜なども、
それぞれに深い味わいをもっていると思いました。

2013/03/30 撮影…掛川城



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山桜 ( やまざくら ) <季> 晩春

2010-04-07 |  春の草木 の 俳句

◉ 吉野桜 ( よしのざくら )

見返れば寒し日暮れの山桜 ・・・・・ 来山 [平包]
うかれける人や初瀬の山桜 ・・・・・ 芭蕉 [続山井]
山桜花の白さに散りやすき ・・・・・ 高浜虚子 [虚子句集]
枕元まで散りこんで山櫻 ・・・・・ 黒田杏子 [一木一草]


古来より、
詩歌に多く取り上げられています。
一重の白い花と共に開く
赤みの強い新葉の佇まいは、
清々しい気品に満ちています。
俳句で山桜と言えば、
特定の品種を指すのではなく、
訪れた山中に咲く桜が山桜として
詠まれていることが多いようです。
奈良の吉野山・京都の嵐山など、
山桜の名所として知られています。
桜は農耕文化と深く結びついており、
信仰の対象として大切にされてきました。
国花とされる桜は山桜をさします。

  [ バラ科サクラ属サクラ亜属の落葉高木 ]

齢深まり山桜好きになり ・・・・・ みなみ

吉野の桜を見て
山桜のすばらしさを実感しました。
今では桜と言えば山桜です。

ヤマザクラ (山桜)
日本では、
本州の宮城・秋田以南~九州の
温暖な気候をこのみ、低山や丘陵に自生します。
西日本では最も一般的な野生の桜です。
樹高は、15~25m。
樹皮は光沢のある暗褐色で横に薄く剥げます。
葉は、長楕円形で先が急に細くとがります。
赤褐色~黄緑色まで変異があり、
裏面は白みがかって、互生します。
花期は、4月上・中旬頃。
若葉と共に花が咲きます。
1花序に2~3個の径2.5~3cm
白色または淡紅色の5弁花を
散房状に付けます。
八重咲きもあります。
果実は、球形で5~6月に赤から黒く熟します。
現在でも庭園などに広く植えられ、
材は、建築・家具・楽器材・版木・樹皮の細工物など
に使用します。
別名 : シロヤマザクラ



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

枝垂桜 ( しだれざくら ) <季> 仲春

2010-04-02 |  春の草木 の 俳句

◉ 糸桜 (いとざくら)・しだり桜・枝垂彼岸 (しだれひがん)・紅枝垂 (べにしだれ)

影は滝空は花なり糸桜 ・・・・・ 千代女 [千代尼句集] 
いとざくら枝も散るかと思ひけり ・・・・・ 嘯山 [葎亭句集]
ゆき暮れて雨もる宿やいとざくら ・・・・・ 蕪村 [蕪村句集]
まさをなる空より枝垂桜かな ・・・・・ 富安風生 [松籟]
たそがれてあふれてしだれざくらかな ・・・・・ 黒田杏子 [一木一草]


エドヒガンの枝が下向きに垂れている園芸品種で、
樹齢がながく、種類も多く、
古くから各地で栽培され、
社寺や庭園などに観賞用として植えられています。
太い枝を四方にひろげ、 長く垂れた細い枝に淡紅白色の花を付けた優美な姿が、
古来人々に愛され、すでに「古今集」にも詠まれています。

  [ バラ科クラ属サクラ亜属の落葉高木、エドヒガンの一変種 ]

あだし野の風の出てきし糸桜 ・・・・・ みなみ

醍醐寺の霊宝館・三宝院の枝垂桜は
ちょうど見頃に咲き揃っていて、
聞きしに勝る立派なものでした。
また、
化野( あだしの )の竹林からの風になびく、
一本の糸桜には、
身の引き締まるような思いがしました。   

シダレザクラ (枝垂桜)
本州~九州に分布します。
樹高20~30m。
葉柄や葉には短毛があり、
葉の縁には細かい鋸歯が上向きにあって、互生します。
短枝の葉は楕円形ですが、
長枝の葉は細く披針形です。
花期は3月下旬~4月上旬。
花は葉より前に開き、
5弁の散形花序で白色~淡紅色です。
がく筒は基部がふくれて壺形です。
色や大きさには変化が多く、
紅色の濃いベニシダレや八重咲きなどの種類があります。
名は、細い枝の垂れている様子から 付いたそうです。



2010/04/04 …退蔵院

〃 …平安神宮

2014/04/13 撮影 …神代植物園


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花 ( はな ) <季> 晩春

2010-04-02 |  春の草木 の 俳句

** 花の雲( はなのくも)・花房( はなぶさ)・花弁( はなびら)・花の姿( はなのすがた)・はなの香( はなのか)・花の輪( はなのわ)・花の友( はなのとも)・花の主( はなのあるじ)・花笠( はながさ)・花の庭( はなのにわ)・花の門( はなのもん)・花の都( はなのみやこ)・花盛り( はなざかり)・花明り( はなあかり)・花便り( はなだより)・花の露( はなのつゆ)・花朧( はなおぼろ)・花の陰( はなのかげ)・花の奥( はなのおく)・花の名残( はなのなごり)・花を惜しむ( はなをおしむ)・花の色( はなのいろ)・花の粧( はなのよそおい)・花の錦( はなのにしき)・花埃( はなぼこり)

しばらくは花の上なる月夜かな ・・・・・ 芭蕉 [初蝉]
咲き満ちてこぼるる花もなかりけり ・・・・・ 高浜虚子 [虚子句集]
チチポポと鼓打たうよ花月夜 ・・・・・ 松本たかし [鷹]
花に問へ奥千本の花に問ヘ ・・・・・ 黒田杏子 [一木一草]


俳句では、花と言うと、
ふつう桜の花を指します。
桜は植物をさすのに対して、
花という言葉は、心に映るもので、
より華やかなふくらみがあり、
詩的な印象を与えるとも言えるのでしょうか。
桜を花と表した美しい言葉には、
花吹雪・花筵・花篝・花守・花人・
花衣・花疲・花冷え・花時 などもあります。

  [ バラ科サクラ属のサクラ亜属の樹木の中で一般に花が美しく、鑑賞されるもの ]

まつすぐに来て白満つる花と会ふ ・・・・・ みなみ
ただ臥してゐるほかはなし花明り ・・・・・ みなみ


「根尾谷の薄墨桜」の古木は、
ちょうど見ごろで白い花に満ちていました。
散る時の薄墨色の花も見たいと思いました。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

桜 ( さくら ) <季> 晩春

2010-04-01 |  春の草木 の 俳句

◉ 朝桜( あさざくら )・夕桜( ゆうざくら )・夜桜( よざくら )・桜月夜( さくらづきよ )・庭桜( にわざくら )・家桜( いえざくら )・若桜 ( わかざくら )・姥桜 ( うばざくら )・桜の園 ( さくらのその )・牡丹桜 ( ぼたんざくら )・里桜 ( さとざくら )・染井吉野 ( そめいよしの )・大島桜 ( おおしまざくら )・大山桜 ( おおやまざくら )・富士桜 ( ふじざくら )・豆桜 ( まめざくら )・楊貴妃桜 ( ようきひざくら )・犬桜 ( いぬざくら )・左近の桜 ( さこんのさくら )など

さまざまの事思い出す桜かな ・・・・・ 芭蕉 [笈の小文]
観音の大悲の桜咲きにけり ・・・・・ 正岡子規 [子規句集]
千年のさくら振り向くことなかれ ・・・・・ 黒田杏子 [花下草上]


古くから国花として親しまれ、
日本の春を象徴する花です。
「万葉集」では桜より梅の方が好まれて多く詠まれましたが、
「古近和歌集」の頃には桜の歌が最も多く収載され、
日本の代表的な花として定着したと考えられています。
美しく一斉に開花し、また散り急ぐ姿は、
日本人の心情に合ったともいえるのでしょう。
サクラは種類が多く、
野生種・栽培品種を合わせると300種以上に及びます。
俳句では、「桜」というと、通常種類を問いません。
サクラ亜属の樹木の中で花が美しく、
鑑賞されるものを一般に桜と呼びます。

  [ サクラは、バラ科サクラ属サクラ亜属の総称です。
   サクラ属は、サクラ・スモモ・モモ・ニワウメ・ウワミズザクラ・
   バクチノキの6亜属に分類されます。]

棲み古りてあふるる朝の桜かな ・・・・・ みなみ

歳を重ねて
桜に対する思いがいっそう深まりました。
桜の季節を迎えると、
出不精の私も
あちらの桜こちらの桜と出掛けて行きたくなります。
ちょうど見頃の花と出会えたときの喜びは
ひとしおです。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初花 ( はつはな ) <季> 仲春

2010-04-01 |  春の草木 の 俳句

◉ 初桜 (はつざくら)

けふまでの日はけふ捨てて初桜 ・・・・・ 千代女
旅人の鼻まだ寒し初ざくら ・・・・・ 蕪村
初花の水にうつらふほどもなき ・・・・・ 日野草城

その春に初めて咲いた桜の花のことです。
その年の気候や地方などよっても異なり、
特定の桜の品種をさすものではありません。
待ち望んでいた花に会う喜びが込められています。

   [ バラ科サクラ属のサクラ亜属の樹木の中で一般に花が美しく、鑑賞されるもの ]

初桜たまはりて旅終らむと ・・・・・ みなみ

日ごとにふくらむ蕾を
眺めながら
心待ちにしていた
開花を迎えたときには、
とても幸せな気持ちになります。
また、思いがけず
初花に出会ったとき、
心からありがたいという気がいたしました。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする