しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

枇杷の花 ( びわのはな ) <季> 初冬

2020-12-23 |  冬の草木・その他 の 俳句

◉ 花枇杷 (はなびわ)・枇杷咲く (びわさく)

枇杷の花大やうにして淋しけれ ・・・・・ 高浜虚子 [虚子全集]
蜂のみが知る香放てり枇杷の花 ・・・・・ 右城暮石 [定本 上下]
硝子戸に月のぬくもり枇杷の花 ・・・・・ 矢島渚男 [采薇]

初冬の頃、深緑色のごわごわした大きな葉の枝先に
褐色の毛を密集した太い花軸をだし、
やや黄色を帯びた白色の5弁の小花を多数咲かせます。
花期が長く翌年の3月中旬頃まで
順次開花します。
地味で目立たない花ですが、
甘い香りで花の咲いていることに気付かされます。
中軸・花柄・萼片ともに淡褐色の綿毛につつまれて、
ひっそりと控えめに咲く寂しげな姿には趣があります。
 
  [ バラ科ビワ属の常緑小高木、中国・日本原産 ]


また別の猫通り過ぐ枇杷の花 ・・・・・ みなみ


ビワ (枇杷)
関東~九州の暖温帯の、
低地~丘陵の林内や石灰岩地帯に野生化または自生しています。
中国原産説と西日本自生説があります。
現在果樹として栽培されているものは、常緑性の高木で高さ10m内外で、
枝は開出し、樹冠は円形になります。
樹高は、5~10m。
幹は灰褐色で、若枝は淡褐色の綿毛を密生します。
葉は、短い葉柄を持ち、大型の長楕円形または倒披針形状長楕円形で長さ15~20㎝、
鈍頭、基部は狭いくさび形、質は厚く硬く、縁に低い波状の鋸歯があって、互生します。
表面は光沢があり、初め有毛、あとに無毛となります。
裏面は淡褐色の綿毛が密生します。
花期は、11~翌年3月。
枝先に、円錐花序を付け、白色または帯黄白色の5弁の小花を多数咲かせ、
よい香りを放ちます。
雄しべは約20本、雌しべは子房下位で2~5心室に分かれます。
萼は5裂し、淡褐色の綿毛につつまれています。

果期は、 5~6月。
果実は、黄橙色の円倒卵形で、表面に短い綿毛があります。
大果で優良な品種が、長崎県・千葉県(房総)・鹿児島県などの
温暖な地方で栽培されています。
現在多く栽培されている田中びわは唐びわの一品種であって、果実は大きく径約4㎝あります。
葉はアミグダリンやクエン酸などを多く含み、
乾燥した葉をビワ茶とする他、
生薬の枇杷葉(びわよう)として咳止め・暑気あたり・胃腸病などに用います。
果実も咳・嘔吐・喉の渇きなどに効果があると言われています。
果肉は生食されるほか、
缶詰やゼリーなどの菓子・ジャム・果実酒などにも加工されます。
材は堅く、木刀・杖・装飾用などに利用されます。
名は、果実(または葉)の形が楽器のビワに似ていることから
付いたそうです。漢名枇杷の音読みです。

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しをり戸 の 表紙     2020年 ( 9~12月 )

2020-12-15 | しをり戸の表紙

                             ↑ 2020/12/15 撮影…マンリョウ


               しをり戸をご訪問いただきまして、ありがとうございます。
               ささやかな庭の草花たちをご覧いただければ幸いでございます。


2020/09/01 撮影…トウテイラン   2020/09/15 撮影…ハマトラノオ   2020/10/01 撮影…ヒダカミセバヤ  
2020/10/15 撮影…ホトトギス   2020/11/01 撮影…タカノハススキ   2020/11/15 撮影…アシズリノジギク   2020/12/01 撮影…カンギク   2020/12/15 撮影…マンリョウ

 

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ハコネシダ ( 箱根羊歯 )  

2020-12-08 |  シダたち

                        ↑ 2020/10/25 撮影

 〃

[ イノモトソウ科ホウライシダ属の常緑性多年草、シダ植物 ]

日本では、
本州~九州にかけて、
暖地の山地の崖や岩に自生します。
好みの環境が少ないと見えてやや稀ですです。
葉丈は、20~30cm。
根茎は硬く短く這い、暗紫褐色~褐色の艶のある鱗片を密に付けます。
葉柄は長さ10~15㎝で光沢のある黒褐色の針金状で硬くてもろく、
基部には根茎と同じ鱗片が付きます。
葉身は卵状披針形で、先端は鈍形、2~3回羽状複葉となり、
洋紙質で淡緑色です。
羽片も葉身と同形であり、
中軸と羽軸とは共に黒紫色で光沢があります。
枝先にはすべてほとんど同じ大きさの小葉が付きます。
小葉は短い柄を持ち、倒心臓状三角形で下半部はくさび形です。
上側の縁に細かい鋸歯があり、
その中央の所の反り返った褐色の苞膜に包まれて、
胞子嚢群が1小葉に1個付きます。
名は、箱根山で採集したことから付いたそうです。
別名 : ハコネソウ(箱根草)・イチョウシノブ(銀杏忍)

ハコネシダとホウライシダと並べて育てていますが、
ハコネシダのほうが育ち方が遅く、ちょつと気難しいように思います。
アジアンタムと呼ばれる仲間(属)の一種で、
繊細で涼しげな風情があります。

2020/10/25 撮影

 〃

 

 

 

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春蘭 ( しゅんらん ) <季> 仲春

2020-12-04 |  春の草木 の 俳句

◉ ほくり・ほくろ・はくり・えくり

春蘭の曾ての山の日を恋ひて ・・・・・ 高浜虚子 [六百五十句]
春蘭や雨をふくみてうすみどり ・・・・・ 杉田久女 [杉田久女句集]
春蘭のふかみどりなる雲の冷え ・・・・・ 飯田蛇笏 

明るい疎林や人里近い山に自生し、
観賞用として古くから栽培され、多数の園芸品種があります。
庭園や鉢に植えられます。
線形の味わいのある葉を持ち、
茎頂に、紅紫色の斑点のある、
淡黄緑色の清らかな花を1つ付けます。
かすかな芳香を持ち、品格を感じさせる花です。
花を塩漬けにして、吸い物や蘭湯としていただきます。
中国春蘭は、シナシュンランとも呼ばれる別種で、
強い香りがします。

  [ ラン科シュンラン属の常緑多年草 ]

気がつくと、いつの間にかしずかに
花を付けています。

シュンラン (春蘭)
日本では、北海道奥尻島~九州、
山地の明るい林床・林縁や丘陵に自生します。
草丈は、10~25cm。
太い根は、地下に浅く長く横に広がるものと
下に伸びるものがあります。
葉は根生し、堅く線形で、縁に細かい鋸歯があります。
花期は、3~4月。
花茎はやや肉質で太く、膜質の鱗片で包まれます。
花は通常茎頂に1個、横向きに付きます。
花径3~5cm、ガク片と側花弁はやや肉質で淡黄緑色~緑色、
唇弁は肉が厚く、白色で濃紅紫色の斑点があります。
古くから鑑賞用に栽培され、色々の園芸品種があります。
根を天日に干し乾燥させ、
粉末をひび・あかぎれなどに使用します。
4~5月の花茎と花を塩漬けにし、
お湯を注いで蘭茶にしたり清まし汁の具にしたり、
また天ぷらや刺身のつま、酢の物などに用います。
名は、春に咲く蘭の意味から付いたそうです。
別名 : ホクロ、ジジババ。


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