しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

フクジュソウ ( 福寿草 )

2014-02-14 |  2月 の花たち

                                 ↑ 2011/02/27 撮影

2011/03/28 撮影

[ キンポウゲ科フクジュソウ属の多年草 : 劇薬、毒草 ]

日本固有種。
北海道~四国にかけて、
山地(主に石灰岩地)のやや寒冷な湿った落葉樹林などに自生します。
草丈は、15~30cm。
根茎は短くやや肥厚し、多数のひげ根を出します。
茎は太く直立し緑色で無毛、
下部には数個の広い鞘があって茎を抱きます。
葉は、長い柄を持ち、3~4回羽状複葉、小裂片は卵形または長卵形で羽状に深裂し、
さらに先の尖った線状披針形の裂片に分かれ、葉裏は無毛で互生します。
葉柄のもとには裂けた小形の葉片が対生し、
茎の根本の葉は大形の鱗片状の鞘にかわっています。
花時は小さく、花後に伸びて茂ります。
花期は、2~3月。
新葉と共に茎頂に蕾を持ち、光沢のある黄色い花を1個付けます。
大きく育った株では分枝したそれぞれの茎頂に1個の花を付けます。
日が当たると上向きに平開し、
径3~4cm、花弁は多数で細い長楕円形、上部のふちには微歯があります。
雄しべは多数で黄色、雌しべも多数、子房は短小で緑色、有毛です。
花柱はやや長く、柱頭はわずかに広がっています。
ガク片は数個、花弁と等しいかあるいは短く、緑紫色を帯びています。
日の光を求めて上向きに開き、花の内側の温度を外気より高くして、
昆虫(ハエやアブなど)を誘って受粉します。
果実は、痩果で頭状にあつまり、ほぼ球形で細毛があります。                       
江戸時代以降、園芸品種が多数作られ、
現在でも正月の鉢植えに促成栽培されています。
全草にシマリン・シマロール・アドニトキシンなどの強心配糖体を含み有毒、
生薬のフクジュソウコン(福寿草根)として、
根茎を強心剤・利尿剤に用いますが劇薬で危険です。
名は、金色の花からおめでたいとされ福(幸福)と寿(長寿)、
新年を寿ぎ祝福する草花として元日に飾られるので付いたそうです。
別名 : ガンジツソウ(元日草)・ツイタチソウ(朔日草)

花の少ない時期に
福寿草が咲き始めました。
陽を受けて上向きに開く、
お日様と仲良しの花です。
 
 
2014/03/25 撮影


<  2012 年  >
2012/02/23 撮影

2012/02/24 撮影

2012/02/26 撮影

2012/02/27 撮影

2012/03/01 撮影

2012/03/03 撮影

2012/03/04 撮影

2012/03/06 撮影

2012/03/07 撮影

2012/03/08 撮影

2012/03/10 撮影
2012/03/11 撮影

2012/03/12 撮影

2012/03/13 撮影

2012/03/16 撮影

2012/03/19 撮影

2012/03/22 撮影

2012/03/28 撮影…実


2012/03/29 撮影

2012/03/30 撮影

2012/03/31 撮影

2012/04/01 撮影

2012/04/02 撮影

2012/04/17 撮影


フクジュソウは、
キンポウゲ科の1属で、
北半球の暖帯から温帯に30数種ほど分布します。
日本に自生するフクジュソウは、
以前は1種のみとされていましたが、
現在はキタミフクジュソウ、ミチノクフクジュソウ、シコクフクジュソウと
フクジュソウの4種と考えられています。
 
 
日本のフクジュソウ属の主な種 

 フクジュソウ (福寿草) 
 フクジュソウのガク片は、花弁と同じか花弁よりやや短く、
 緑色がかっていて、水平に開きます。
 上記参照

キタミフクジュソウ (北見福寿草) >
 日本では、北海道の北部と東部、
 海岸の草原や川の土手などに自生します。
 1茎1花でガク片は花弁よりやや長いか同じ、
 紫色を帯び、裏に毛が密生します。
 集合花は大きく茎は中空で茎葉が対生します。
 ・ 絶滅危惧種 ・

ミチノクフクジュソウ (陸奥福寿草) 
 日本では、本州北部~九州にかけて自生します。
 茎が分枝して多数の花を付けます。
 ガク片は緑色~黒緑色で花弁の2/3ほどの長さです。
 花弁裏側の先が赤褐色を帯びています。
 集合花は小さく茎は中空です。 
 ・ 絶滅危惧種 ・

シコクフクジュソウ (四国福寿草) 
 四国と九州の一部に自生します。
 ガク片が花弁と同じかあるいはやや短く、
 葉裏は無毛です。 
 集合花は小さく茎は中空です。


フクジュソウの園芸品種 
江戸時代より多数の園芸品種が作られている古典園芸植物で、
現在でも正月の鉢植えに促成栽培されています。
基本の花色は黄色ですが、赤花や白色、緑色の花を咲かせる品種もあり、
また一重咲きの他に八重咲きや千重咲き・菊咲き・三段咲きなど、
色々変化した花をつける品種があります。

チチブベニ (秩父紅)
 普及している花色が朱橙色の紅花。花色に固体差があります。

チチブアカネ (秩父茜)
 「秩父紅」の実生選別花で、
 スッキリとした紅色です。
 朱色が特徴です。

ヒノウミ (緋の海)
 江戸時代から伝わった銘花「秩父紅」から選抜された紅花種です。
 鮮やかな朱色です。
 別名;秩父真紅

フクジュカイ (福寿海)
 黄金色で大輪の八重咲き、最も一般的に見られる古典品種です。
 強健で庭植えに向きます。

ハクジュ (白寿)
 白花と呼ばれ、淡いクリーム色の花色が珍しい品種です。
 実生品が流通しています。  

ナデシコ (撫子)
 花弁の先がフギレ状(*)、
 咲き出しは淡緑を帯びた黄色一重の大輪で丈夫な花です。

ベニナデシコ (紅撫子)
 花弁がフギレ状で橙色~紅色、
 美しい強健な古典品種です。

クルマヤジロ/クルマヤハク(車屋白)
 白花の代表花で花形が良く、
 性質も強健です。

シウン (紫雲)
 白花の大輪咲きで、花弁の裏が明るい紫色を帯びます。
 古くから栽培される数少ない古典品種です。

サンダンザキ (三段咲)
 江戸時代から伝わる古典品種。
 幾重にも花びらが重なり、
 黄・緑・黄色と三段に咲く大輪の花で、
 全開するまでに1カ月ほどかかります。
 
コトブキ (寿)
 黄金色の千重咲きで、
 芯の緑がアクセントとなります。
 別名;コギク(小菊)


シチヘンゲ (七変化)
*古典品種の多芸品。
 並花、多弁花、千重咲きなどに七変化します。
 
*フギレ弁…花弁の先がギザギザの形にふぎれるもの


< 2011 年 >

2011/02/24 撮影…花芽

2011/03/18 撮影…伸びた茎の花

2011/03/25 撮影…花後

 


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臘梅 ( ろうばい ) <季> 晩冬

2014-02-01 |  冬の草木・その他 の 俳句

                                 ソシンロウバイ       

◉ 蠟梅 (ろうばい)・唐梅 (からうめ)・南京梅 (なんきんうめ)

臘梅や枝まばらなる時雨ぞら ・・・・・ 芥川龍之介
臘梅のつやを映しぬ薄氷 ・・・・・ 増田龍雨
臘梅の花にある日のあるとのみ ・・・・・ 長谷川素逝

厳しい寒さの頃、
日だまりに蝋のような質感で、
淡黄色の可憐な花をうつむき加減に咲かせ、
上品な香をふくいくと漂わせながら
健気に彩りを添えてくれます。
江戸時代初期に中国から渡来し、
初春の花木として珍重されています。
臘梅は、内側の花被片が暗紫色で外側が黄色の花を基本種としますが、
近頃は臘梅というと、素心臘梅のことが多ようです。
素心臘梅は、内側の花被片までも明るい黄色で、香りもより良いことから、
庭木としても好まれ、普及してよく見かけます。
蝋梅は、唐の国から来たことで唐梅とも呼ばれ、
名に梅がついていることからバラ科と思われがちですが、
梅とは別種の植物で、ロウバイ科です。

  [ ロウバイ科ロウバイ属の落葉低木 : 中国原産 ]

臘梅やこれからのこと胸のうち ・・・・・ みなみ

ロウバイ (蝋梅 : 基本種)
後水尾天皇(1611~1629)の時代に朝鮮経由で渡来し,
土壌をあまり選ばず丈夫な花木です。
樹高は、 2~4m。
幹は、叢生して分岐します。
葉は短い柄を持ち、長さ7~15cmの卵形で先が鋭く尖り,
質がやや薄くて硬く、葉面がざらつき、羽状脈があり無毛、
全縁で対生します。
開花は、1~2月。
葉に先立って、前年枝の先に、
よい香りで蝋質を思わせる花を
数個ずつ下向きまたは横向きに付けます。
花は、短い花柄を持ち、径2~2.5cmで花被が多数あります。
外層片は多数の細鱗片となり、
中層片は黄色で薄くやや光沢があり大形、
内層片は暗紫色で小さく、
雄しべは5~6個、雌しべは多数で壺状の花托の中にあります。
果実は、花の後花托が大きくなって長卵形の偽果になります。
実は、若い内は緑色で、上向きになり、木質化し褐色、短毛を密生します。
庭木や切花・盆栽などとして鑑賞されます。
開花前の蕾を日陰で乾燥させ、
生薬の蝋梅花(ろうばいか)として鎮咳・解熱・鎮痛などに用い、
花・蕾から抽出した蠟梅油(ろうばいゆ)を
軟膏などの香料として使います。
主な芳香成分はシネオール・ボルネオール・リナロール・カンファー・ファルネゾール
などの精油成分が含まれていますので、
ストレスを解消したり心身をリラックスさせる効果があるそうです。
全株、とくに種子には強い毒性のアルカロイド(カリカンチン)を含み、
誤って食べると筋肉のけいれん等を起こします。
名は、漢名の蝋梅(らーめい)の音読からロウバイとなり、
唐の国から来たこともあって唐梅とも呼ばれます。
花の色が蜜蝋に似ていて蝋細工のようだから付いたという説と、
臘月(旧暦12月)に梅に似た花を咲かせるところからという説もあります。
別名:カラウメ(唐梅)

 ロウバイ科 
ロウバイ科は東アジアとアメリカ合衆国に4属12種が分布します。
ロウバイ科を4属と区分けする場合は、
・ロウバイ属 ( Chimonanthus )
・クロバナロウバイ属 ( Calycanthus )
・ ? 属 ( Idiospermum )
・ナツロウバイ属 ( Sinocalycanthus )
になります。

ロウバイ属
原産地の中国では薬用として栽培されていましたが、
日本では観賞用庭木として広く栽培され、
素心蝋梅・満月蝋梅・唐蝋梅などの栽培品種があります。
蝋梅は実生生産しているものが多いため花に変化が多く、
満月蝋梅や素心蝋梅などは、見分けが困難です。
花芽は、春から伸びた新梢に6~7月につくられるので、
夏以降の剪定は花芽を切ることになります。
開花は冬です。
繁殖は、実生(みしょう)・株分け・接ぎ木によって行われます。
接ぎ木は、実生2~3年生苗または根を3月中旬に台木に切り接ぎます。

 ロウバイ (臘梅) 
2011/01/29 撮影…長瀞宝登山ロウバイ園
内側の花被片が暗紫色、外側の花被片が黄色で、
花は小さく、香りもやや弱い感じがします。
素心臘梅より少し遅れて開花します。
和蝋梅とも呼ばれています。
上記参照

 ソシンロウバイ (素心臘梅) 
2011/01/29 撮影…長瀞宝登山ロウバイ園
ロウバイの変種といわれ、
江戸時代には渡来していたとも
明治中期に渡来したとも言われています。
樹高は2~4m。
幹は叢生し、よく分岐します。
葉は、長さ10~20cm、卵形~長楕円形で、先が尖り、
質はやや薄く硬く、表面がざらつき、全縁で対生します。
傷をつけると芳香があります。
花期は12中旬~2月。
花は、径2.5~3cmで花弁が多数あり、
甘く清潔感のある芳香を漂わせます。
内側の花被片も、外側の花被片も同じ淡黄色で、
先端が尖っているのが特徴です。
満月臘梅より少し遅れて開花するものもあります。
果実は倒卵状楕円形で、熟すと硬くなります。
茶花として利用されます。
名は、漢名の「素心蝋梅」の音読から和名のソシンロウバイと
付いたそうです。
2014/05/05 撮影…実

マンゲツロウバイ (満月臘梅) 
2011/01/29… 撮影長瀞宝登山ロウバイ園
ソシンロウバイから選抜された園芸品種のひとつです。
樹高は2~4m。花期は12月中旬~2月。 
花は、径2~3cm、芳香があり、
花弁の色が鮮やかな黄色で、先端の丸いのが特徴ですが、
内花被片に淡紫褐色の縁取りが輪のように入るものもあります。
全体に丸みがあり全開することはありません。 

トウロウバイ (唐蝋梅) 
ロウバイの変種。
江戸時代中期から観賞用として、庭園に植えられました。
樹高は2~4m。
枝を対生し、多く分枝します。
葉は短柄を持ち、卵形または卵状楕円形で、先が鋭く尖り、
質は硬く、葉面がざらつき、基部は円形、全縁です。は
花は、昨年の葉の腋に1個ずつ下向きに密接して付き、
径2~3cmくらいです。
ロウバイよりもやや大形、
花弁もやや広く、長楕円形です。
花被は多数で、
外層片は鱗片状、
中層片は大形で、上半部のふちが多少内方に巻き
強い光沢のある黄色、
内層片は小形で暗紫色。
雄しべは5個で、葯は外向き、
雌しべは多数で凹形をした花托内にあります。
芳香があり、丸みを帯びふっくらしていて、
園芸品種の元とも言われています。
生薬の蝋梅花として、
鎮咳・解熱・鎮痛薬など風邪や喉の痛みに用います。
漢名はダンコウバイ(檀香梅)、日本名はトウロウバイ(唐蝋梅)です。
別名:ダンコウバイ(檀香梅) 

カカバイ (荷花梅) 
花弁がロウバイよりやや広く、トウロウバイより狭い中間型です。
樹高は1~2m。
繁殖は容易で、香りが薄く臘梅の中では劣ることから台木に用います。
名は、漢名の「荷花梅」から付いたそうです。

主なクロバナロウバイ属
明治中期に渡来しました。
クロバナロウバイ属は、4種からなり、
北アメリカに分布する落葉低木です。
葉と花が同時に出て、
花は前年枝の葉腋から生じる新枝に付き、
ガク片と花弁が同じ色のため
区別がはっきりしません。
交配種です。

クロバナロウバイ (黒花蝋梅) 
ロウバイ科の植物ですが、
ロウバイとは属が異なりクロバナロウバイ属の北アメリカ南東部の原産です。
樹高は2~3m。
葉は広卵形~長楕円形で長さ5~12cm、
裏面に短い軟毛が密生し、対生します。
花期は5~6月。
花は径4~6cm、暗紅紫色で、雄しべが10~30個、
フルーティーな芳香があります。
花木として庭園に栽植され,庭木や茶花にもされます。
ニオイロウバイ・アテネは 
クロバナロウバイの園芸種で、
キバナロウバイとも呼ばれるように、
色が淡黄緑色で芳香のある花を付けます。
別名 : ニオイロウバイ

アメリカロウバイ (アメリカ蝋梅)
クロバナロウバイ属の1種です。
明治時代に渡来しました。
クロバナロウバイと似ており、
樹高は2~3m。
葉は卵状長楕円形、長さ5~12cmで先がとがり、裏面が無毛です。
花期は5〜6月。
花は赤褐色で、芳香がほとんどなく、雄しべ10~30本、
庭園に栽植されたり、花色がしぶく茶花にも利用されます。

ナツロウバイ属
1属1種。
分類の仕方によっては、
ナツロウバイをクロバナロウバイ属に含めることもあります。

ナツロウバイ (夏蝋梅) 
中国原産の落葉低木です。
樹高は1~3m。。
葉は大きな長楕円形で、質は軟らかく、光沢があり、対生します。
開花は5~6月。
外側の花弁は白く縁が淡桃色になり、内側の花弁は黄色で、
径6~7cm、半八重咲きの大きい花がやや下向きに付きます。
中国名はシャラメイ(夏梅)。


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