しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

アジサイ ( 紫陽花 )

2015-07-23 |  6月 の花たち

                             ↑ 2014/06/13 撮影

2014/06/04 撮影

2014/06/12 撮影

[ ユキノシタ科アジサイ属の落葉低木 ]
 広義には、
 アジサイ属(ガクアジサイ・ヤマアジサイ・タマアジサイ・ノリウツギ・
 ツルアジサイ・ガクウツギ・コガクウツギなど)の、一部の総称です。
 狭義には品種の一つ、アジサイ(別名ホンアジサイ)を指します。

本州中部太平洋岸に自生するガクアジサイを母種とする改良種と言われ、
鎌倉時代には園芸種として栽培されていました。
有機質に富む肥沃で湿潤な地を好みます。
北海道~沖縄まで、
各地の公園・寺院・庭などに植栽されています。
樹高は、1~2m。
枝を叢生して大きな株になります。
葉は、葉脈のはっきりした広卵形で長さ10~15cm、
光沢のある淡緑色、全体に無毛、
縁に鋭い鋸歯があって、対生します。 
花期は、6~7月。
がく片4枚が発達して花のように見える装飾花(中性花)が集散花序をなし、
大きい球状を形成する「手毬咲き」です。
すべてが装飾花です。
咲き始めは白く、次第に青紫に変化します。
装飾花は雄しべや雌しべは退化し、小さく目立ちません
実を結ばないので、挿し木や株分けで増やします。
有毒植物で、過呼吸・興奮・ふらつき歩行・痙攣・麻痺などの
中毒症状を起こすことがあります。
江戸後期に、
シーボルトはアジサイにハイドランジア・オタクサという学名を付け、
『日本植物誌』で西洋に紹介しました。
日本原産のアジサイがヨーロッパに渡り、
そこで品種改良されました。
日本を原産地とし欧米で品種改良されたものは、
セイヨウアジサイ(別名ハイドランジア)と呼ばれ、
観賞用に広く栽培されて多くの園芸品種があります。
装飾花だけの品種もあれば、両方の花を咲かせる品種もあります。 
ほとんど「手毬咲き」で、
花色が青・薄紅・紫・白など豊富で鮮やかです。
草丈が低く豪華な花をつける多くの種類があります
主に鉢植えとして利用されますが、公園・寺院・庭などにも植えられています。 
今では、本紫陽花より西洋紫陽花の方が広く普及しています。
名は、藍色の小花が集まって咲くことから、
「あづさあい(集真藍)」が変化して付いたそうです。
また、白色から青紫色に変化することから「七変化」とも呼ばれます。
別名 ; ホンアジサイ(本紫陽花)・シチヘンゲ(七変化)

やさしい雨を含んだ
藍色の紫陽花には、
瑞々しくしっとりした趣があります。


2014/05/28 撮影

2014/05/30 撮影

2014/06/04 撮影

2014/06/08 撮影…残念なことに枝が折れてしまい、花瓶に挿しました。

2014/06/11 撮影

2014/06/12 撮影

2014/06/16 撮影

2014/06/19 撮影



2014/06/04 撮影


2014/06/08 撮影…雨の重みに傾いで、花が汚れてしまいました。

2014/06/10 撮影

2014/06/11 撮影


2014/06/13 撮影


2014/06/15 撮影


2014/06/18 撮影


2014/06/21 撮影



ー アジサイの仲間 ー

ガクアジサイ (額紫陽花)
神奈川県・伊豆半島・伊豆七島など、
海岸近くの山地林内・林縁に自生します。
樹高は、1~2m。
葉は太い柄を持ち、表は無毛で光沢があり、
山型の大きな鋸歯があります。
中央には多数の両性花(雄しべ・雌しべ)、
その周りを数個の装飾花が囲む「額咲き」です。
花弁状のがく片4~5個の装飾花は、 
青紫・淡紅・白色をしています。

アジサイ (紫陽花)
ガクアジサの変種といわれ、 
両性花がすべて装飾花に変化した「手毬咲き」で、
古くから親しまれています。
樹高は、1~2m。 
園芸品種の1つで、装飾花が丸みを帯びる
ウズアジサイ(渦紫陽花)があります。

ヤマアジサイ (山紫陽花)
日本では、本州関東地方以西~九州にかけ、
主に太平洋側山地の谷沿いなど湿った林床に自生します。
樹高は、1~2m。
葉はガクアジサイに比べて薄く、
表面の光沢は弱く、小型です。
花序は直径7~18cm、装飾花は直径1.7~3cm、
花の色は白・薄青や薄紅色と多様性に富み「額咲き」です。
ガクアジサイを小ぶりにした形で多くの品種があり、
亜種としてエゾアジサイ・アマギアマチャ・ベニガク、
栽培品種としてシチダンカなどがあります。
別名 : サワアジサイ(沢によく見られることから)

タマアジサイ (玉紫陽花)
本州宮城県~近畿地方にかけて、
丘陵から山地の谷沿いや湿った林床に自生します。
樹高は、1~2m。
真夏に房状花序を出し,淡紫色の花を付けます。
蕾の時は球形で目立ちます。

コアジサイ (小紫陽花)
本州関東地方以西~四国にかけ、
山間の林内や林縁に自生します。
樹高は、約1m。
初夏に散房花序を出し、
淡青紫色の小さな花を付けます。
装飾花は無く、小型です。

ノリウツギ (糊空木)
北海道~九州にかけて、
山地に自生します。
樹高は、2~5m。
花期は、7~8月。
円錐花序を出し、
多数の白い両性花と小数の白い装飾花を付け「穂咲き」です。
栽培品種のミナヅキは、
円錐花序が白い装飾花ばかりからなります。
幹の内皮で和紙を漉く際の糊を採ります。
別名 : サビタ・ノリノキ  

セイヨウアジサイ (西洋紫陽花)
日本原産のアジサイがヨーロッパに渡り、
そこで品種改良された園芸品種が、
大正時代日本に逆輸入されました。
属名のハイドランジアでも呼ばれています。
樹高は、1~2m。
ほとんど装飾花となり「手毬咲き」、
花色が青・薄紅・紫・白など豊富で鮮やかなので、
主に鉢植えとして利用されます。 
別名 : ハイドランジア

アメリカノリノキ (亜米利加糊木)
北アメリカ東部原産。
樹高は約1m。
葉は長い柄を持ち、心形に近く、 
質は薄く、光沢がありません。
花は白色です。
 
アナベル
アメリカノリノキの変異種です。
早春、新しく生えてくる枝に花芽を付けます。
樹高は1~1.5m。
花期は、6~7月。
装飾花を多数付け、
大輪の手まり状になる「手毬咲き」です。
花色は緑色から白色へと変化して、また緑色に変わります。

カシワバアジサイ (柏葉紫陽花)
アメリカノリノキの園芸品種です。
古く日本へ渡来しましたが、
園芸用として最近出回り始めました。
樹高は1~2m
葉は柄を持ち、大型でアカガシワに似ています。
羽状に5裂、ときに3裂・7裂し、先が尖ります。
花期は、5~7月。
白い円錐形の花を付ける「穂咲き」です。
一重咲きのものと八重咲きのものがあります。
秋には紅葉します。

ツルアジサイ (蔓紫陽花)
北海道~九州にかけて、
山地の岩崖や高木に付着し自生します。
蔓の長さは、15~20m。
茎は気根を出して樹木などに絡みながら這い登ります。
葉は柄を持ち、広卵形で先が尖り、
縁に鋸歯があって、対生します。
花期は、6~7月
中央に小さな淡黄色の両性花が多数集まり、 
周りを数個の装飾花が囲む「額咲き」です。
花弁状のがく片4個の装飾花は、白色をしています。

ガクウツギ (額空木)
本州東海地方~九州にかけ、
丘陵・山地の林縁や谷沿いの林床に自生します。
樹高は、1~1.5m。
幹はよく枝分かれし、細い枝です。
葉は柄を持ち、長楕円形で両端が細く尖り、鈍い光沢があって、
縁に浅い鋸歯があり、対生します。
花期は、5~6月。
散房花序を出し、
黄緑色の小さな両性花と
少数の白い装飾花(がく片が普通3個、ときに4~5個)を付けます。
別名 : コンテリギ

コガクウツギ (小額空木)
本州関東地方~九州にかけ、
丘陵・山地の林縁や谷沿いの林床に自生します。
樹高は、1~1.5m。
枝は紅紫色を帯び光沢があります。
葉は柄を持ち、長楕円形または楕円形で小型、
表面に光沢があって緑色、縁に鋸歯があり、対生します。
花期は、5~7月。
散房花序を出し、
両性花と少数の白い装飾花(がく片が普通4個、ときに3~5個)を
一緒に付けます。
  

2010/07/06 撮影…ガクアジサイ
2006/07/16 撮影…ノリウツギ
2010/06/23 撮影…ツルアジサイ




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヒトツバショウマ ( 一葉升麻 )

2015-07-03 |  6月 の花たち

                               ↑ 2015/06/26 撮影

2015/06/25 撮影

2015/06/30 撮影

[ ユキノシタ科チダケサシ属の多年草 ]

神奈川県と静岡県の、
谷沿いのやや湿った岩場などに自生します。
草丈は、10~30cm。
根生葉は細く長い柄を持ち、
長さ2.5~8cmの広卵形で浅く3裂し、
先端は尖り基部は心臓形、表面に弱い光沢があり、
縁に不揃いな鋸歯があります。
花茎の葉は1枚または付かないものもあります。
花期は6~8月。
細い円錐花序でまばらに枝を分け、
白い小花を多数付けます。
花弁は長さ2.5mmの線形、基部が細く鈍頭です。
花弁より長い雄しべが10個、雌しべは2個で、
葯は淡黄色~淡紫色です。
花軸や花柄には腺毛があり、
ガクは長さ約1.5mmで深く5裂し、淡緑色です。
果実は、長さ3~4mmのさく果です。
チダケサシ属は複葉を持つ種類が多い中で、
この種は単葉です。
名は、葉が単葉なので付いたそうです。

可愛らしい花が
下から上へと咲いてゆきます。
カラフルな葯が、
メルヘン的な趣を
醸し出します。

 

 2016/04/10 撮影

 2016/04/16 撮影

 2016/05/02 撮影



<  2015 年  >
2015/04/23 撮影

2015/04/25 撮影

2015/06/07 撮影



2015/06/09 撮影

〃…葉

2015/06/10 撮影

2015/06/13 撮影

2015/06/15 撮影

〃…花茎の基部に花が



2015/06/16 撮影



2015/06/20 撮影




2015/06/21 撮影


2015/06/24 撮影



2015/06/25 撮影




2015/06/26 撮影




2015/06/30 撮影



2015/07/02 撮影




2015/07/07 撮影


2015/07/09 撮影


2015/07/13 撮影



2015/07/15 撮影




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シチダンカ ( 七段花 )

2015-07-03 |  5月 の花たち

                              ↑ 2015/05/23 撮影

2015/05/25 撮影

2015/06/13

[ ユキノシタ科アジサイ属の落葉低木 ]

江戸後期、シーボルトが『日本植物誌』に「七段花」を記載していますが、
この花の実在が確認できなかったことから幻の花と言われ、
絶滅したと考えられていたそうです。
昭和34年に
六甲山中で自生していた1株が発見され、
現在では各地の庭園などに植えられています。

山紫陽花の変種といわれ、
樹高は、70~100cm。
葉は、卵円形または広披針形で質が薄く光沢がなく、
縁に細かい鋸歯があり、対生します。
花期は、5~6月。
茎頂に多数の花を散房状花序に付け、
花序の頂端はおおかた平坦となり、
そのまわりに装飾花を額縁状に付けます。
装飾花は先端の尖った八重になり、
両性花は退化して早く落ちることが多いのですが、
落ちずに残ることもあります。
色は薄青~淡紫色、土質により薄紅色に変化します。
清楚な花なので茶花として用いられます。

甘茶と同じ頃に咲き出します。
楚々として控えめに、
繊細な花を付けています。


2015/05/13 撮影


2015/05/14 撮影 


2015/05/15 撮影


2015/05/16 撮影


2015/05/17 撮影


2015/05/19 撮影

2015/05/21 撮影

2015/05/23 撮影



2015/05/24 撮影

2015/05/25 撮影

2015/05/28 撮影


2015/05/29 撮影

2015/05/31 撮影

2015/06/01 撮影

2015/06/02 撮影

2015/06/04 撮影

2015/06/05 撮影

2015/06/07 撮影

2015/06/10 撮影

2015/06/13 撮影


2015/06/26 撮影


< 薄紅色の花 >
2015/05/13 撮影
2015/06/13 撮影



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フタリシズカ ( 二人静 )

2015-07-03 |  5月 の花たち

                           ↑ 2015/05/03 撮影

2015/05/02 撮影

2015/05/03 撮影

[ センリョウ科チャラン属の多年草 ]

日本では、
北海道~九州にかけて、
山野の林内に自生します。
草丈は、30~60cm。
地下に短い根茎を持ち、多数のひげ根を出します。
緑色で無毛の節のある茎を数本直立します。
茎の中部に4~5節があり、鱗片葉を対生し、
上部の2~3節は節間が狭いので4枚の葉が輪生しているように見えます。
葉は、短い柄を持ち、長さ約10cmの広卵形で先がとがり、光沢がなく緑色、
縁に細かい鋸歯があり、対生します。
花期は、4~6月。
茎頂または葉腋に数本(1~5本、2個のものが多い)の穂状花序を出し、
無柄で花被のない小さな白花を付けます。萼もありません。
雄しべは1個、白色の花糸は3個で合着し、内側に曲がって雌しべを包み、
各々の先に葯があります。
花後にたびたび下垂した閉鎖花を付けます。
果実は核果で、小さな広倒卵形または球形、緑色に熟します。
名は、2本~数本の花穂を付けるところから
花穂1本の一人静に対して付けられたそうです。
二人静は謡曲「二人静」に由来し、
静御前とその亡霊たちの舞姿とも言われています。
古名 : ツキネグサ(都岐禰久佐・豆岐 禰久佐)
別名 : サオトメバナ(早乙女花)

草庭では、
ほとんどが3~5本の
花穂を付けています。
丈夫でよく増えます。

2015/04/12 撮影…芽生え

2015/04/16 撮影

2015/04/19 撮影

2015/04/22 撮影


2015/04/24 撮影


2015/04/25 撮影

2015/04/26 撮影

2015/04/29 撮影


2015/05/01 撮影


2015/05/02 撮影…

2015/05/03 撮影

2015/05/05 撮影

2015/05/06 撮影



2015/05/07 撮影

2015/05/09 撮影

2015/05/11 撮影

2015/05/12 撮影

2015/05/14 撮影

2015/05/15 撮影


2015/05/17 撮影

2015/05/19 撮影

2015/05/23 撮影


2015/05/24 撮影


2015/05/29 撮影

2015/06/02 撮影…閉鎖花

2015/06/04 撮影


2015/06/05 撮影

2015/06/13 撮影
〃…実

2015/06/15 撮影…閉鎖花の青い実
〃…実


<  2011 年  >
2011/05/15 撮影



<  2010 年  >
2010/05/16 撮影


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

タンチョウソウ ( 丹頂草 )

2015-07-02 |  4月 の花たち

                            ↑ 2015/04/04 撮影





[ ユキノシタ科イワヤツデ属の多年草、朝鮮半島・中国東北部原産 ]

朝鮮半島~中国東北部にかけて、
多くは山地の渓谷・岩場などの湿った場所に自生します。
草丈は、10~30cm。
太い根茎から、春に葉と花茎を出します。
葉は、長い柄を持ち、円心形で掌状に5~11裂し、
裂片は狭い卵状披針形で、質がやや厚く、縁に鋸歯があります。
葉の展開と開花が同じ頃で、
冬に枯れます。
花期は、4~7月。
花茎の先は分枝し、
集散状に径約5mmの白い5弁花、時に6弁花を密に付け、
花弁はガク片より小さく3~5mm、
雄しべは5~6本、花柱は2本です。
ガクは5~6片に深く裂け、裂片は長さ5mmの狭い披針形で、
白色の花弁状です。
観賞用に栽培されています。
名は、「丹頂草」は蕾の先端が赤くなるのを丹頂鶴の頭に見立て、
また「岩八手」は葉の形が八手に似ていることから付いたそうです。
別名 : イワヤツデ(岩八手)

淡紅色をおびた蕾が開きだす頃の姿は、
美しく新鮮です。
花が終わると葉がたくましく育ち、
印象が変わります。


2015/03/25 撮影…蕾
2015/03/26 撮影
2015/03/29 撮影


2015/03/30 撮影

2015/04/04 撮影



2015/04/10 撮影



2015/04/12 撮影

2015/04/19 撮影


2015/04/24 撮影

2015/04/29 撮影

4104/05/01 撮影

2015/05/06 撮影

2015/05/09 撮影

2015/05/16 撮影




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする