◉ 元日草 (がんじつそう)
小書院のこの夕ぐれや福寿草 ・・・・・ 太祇
福寿草遺産といふは蔵書のみ ・・・・・ 高浜虚子
日の障子太鼓の如し福寿草 ・・・・・ 松本たかし
陰暦の新春に花を開くので、福寿草・元日草などの名があります。
名が縁起の良いことと黄金色の花色から、
もっとも一般的な正月の花として古くから用いられました。
新暦に変わった現在でも正月用に促成栽培されています。
福寿草は日本固有種で、
北海道から四国にかけ山地のやや寒冷な湿った落葉樹林などに自生し、
早春、菊に似た光沢のある黄金色の花を開き、葉は人参に似ています。
江戸時代より、鑑賞用として多数の園芸品種が作られました。
基本の花色は黄色ですが、赤花や白色、緑色の花を咲かせる品種もあり、
また一重咲きの他に八重咲きや千重咲き・菊咲き・三段咲きなど
色々変化した花をつける品種もあります。
[キンポウゲ科フクジュソウ属の多年草 : 毒草]
はらからの一堂に座す福寿草 ・・・・・ みなみ
フクジュソウ (福寿草)
日本固有種。
北海道~四国にかけて、
山地(主に石灰岩地)のやや寒冷な湿った落葉樹林などに自生します。
草丈は、15~30cm。
根茎は短くやや肥厚し、多数のひげ根を出します。
茎は太く直立し緑色で無毛、
下部には数個の広い鞘があって茎を抱きます。
葉は、長い柄を持ち、3~4回羽状複葉、小裂片は卵形または長卵形で羽状に深裂し、
さらに先の尖った線状披針形の裂片に分かれ、葉裏は無毛で互生します。
葉柄のもとには裂けた小形の葉片が対生し、
茎の根本の葉は大形の鱗片状の鞘にかわっています。
花時は小さく、花後に伸びて茂ります。
花期は、2~3月。
新葉と共に茎頂に蕾を持ち、光沢のある黄色い花を1個付けます。
大きく育った株では分枝したそれぞれの茎頂に1個の花を付けます。
日が当たると上向きに平開し、
径3~4cm、花弁は多数で細い長楕円形、上部のふちには微歯があります。
雄しべは多数で黄色、雌しべも多数、子房は短小で緑色、有毛です。
花柱はやや長く、柱頭はわずかに広がっています。
ガク片は数個、花弁と等しいかあるいは短く、緑紫色を帯びています。
日の光を求めて上向きに開き、花の内側の温度を外気より高くして、
昆虫(ハエやアブなど)を誘って受粉します。
果実は、痩果で頭状にあつまり、ほぼ球形で細毛があります。
江戸時代以降、園芸品種が多数作られ、
現在でも正月の鉢植えに促成栽培されています。
全草にシマリン・シマロール・アドニトキシンなどの強心配糖体を含み有毒、
生薬のフクジュソウコン(福寿草根)として、
根茎を強心剤・利尿剤に用いますが劇薬で危険です。
名は、金色の花からおめでたいとされ福(幸福)と寿(長寿)、
新年を寿ぎ祝福する草花として元日に飾られるので付いたそうです。
別名 : ガンジツソウ(元日草)・ツイタチソウ(朔日草)
↑ メジロ
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鵯の初声にして透りけり ・・・・・ 富安風生
初声の雀の中の四十雀 ・・・・・ 青柳志解樹 [山水]
帆柱に来て初声を高めけり ・・・・・ 茨木和生 [往馬]
元日の早朝に聞こえる、
いろいろな鳥の鳴き声のことをいい、
野鳥、飼い鳥を問いません。
改まった新年の心で聞くと、
鳥の声もいつもと違って清々しく感じられます。
初声や目白に雀四十雀 ・・・・・ みなみ
…スズメ
…シジュウカラ
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初雀ひとつあそべる青木かな ・・・・・ 長谷川春草 [春草句帖]
初雀翅(つばさ)ひろげて降りにけり ・・・・・ 村上鬼城
青籬の霜ほろほろと初雀 ・・・・・ 松本たかし [石魂]
元日の雀を言います。
人の住む付近に見られる身近な小鳥ですが、
その声や愛らしい姿も改まった気持ちで、
聞いたり見たりされます。
餌台をとほまきにして初雀 ・・・・・ みなみ