◉ 花八手 (はなやつで)・天狗の羽団扇 (てんぐのはうちわ)
八ツ手散る楽譜の音符散るごとく ・・・・・ 竹下しづの女
立つ人に困りて八ッ手の花もよし ・・・・・ 高浜虚子 [定本虚子全集]
みづからの光りをたのみ八ツ手咲く ・・・・・ 飯田龍太 [山の木]
北風の吹く、花の少ない時期に幹から白い花梗を出し、
白く小さな花を球のようにかたまって付けます。
落ち着いた静かな花が寒気の中に咲いている様子には逞しく凛々さを感じます。
生き生きと咲く花の甘い蜜に、蝿や虻・蜂などが集まってきます。
江戸時代に庭木として植えられるようになりました。
[ ウコギ科ヤツデ属の常緑低木 ]
禁煙をはじめて四日花八つ手 ・・・・・ みなみ
子供の頃兄たちと、実を竹鉄砲に詰め、
飛ばして遊んだことを思い出します。
ヤツデ (八手)
福島県以南~沖縄にかけて、
沿海地の温暖な山林に自生します。
樹高は、2~3m。
株立ち状になります。
葉は、長い柄をもち、大型で掌状に深く7~9裂し、
質が厚く光沢があって、互生します。
花期は、11~12月。
茎頂から大きな円錐花序を出し、
白い5弁の小花を球状に多数付けます。
同じ花に雄性期と雌性期があって、雄→中性→雌へと性転換します。
果実は液果で球形、翌年の5月頃に黒く熟します。
日陰や大気汚染にも強く、丈夫で、
庭木として親しまれ、斑入りなどの園芸品種もあります。
葉を生薬の八角金盤(はっかくきんばん)として、
煎じて飲んだりうがいをしたり、
去痰・鎮咳の薬に用いました。
また葉などには、ヤツデサポニンが含まれているので
かっては殺虫剤として利用され、
手洗いの近くに植えられたりしました。
大きな葉で福を招くという縁起があり、
疫病や魔物などを追い払うとも言われて、
玄関の脇や裏口の脇に植えられたりしました。
名は、手に似た大きな葉に切れ込みが多数あり、数のよい8をとつて
付いたそうです。
別名 : テングノハウチワ (天狗の羽団扇)
2010/11/21 撮影…つぼみ
2010/12/05 撮影