寺町通を覆うアーケード。お店全体の建物が見えないのが残念。
三条通の北にある「書林 其中堂」も、アーケードの隙間から見える建物が素晴らしいお店です。


さすが目ざといミモロは、このお店の中に入ってみたくて、いつもその前を通るたびに思っていました。
「本屋さんらしいけど…なんか美術書専門店かな~古本屋さんかなぁ」と、ちょっと普通の本屋さんとは雰囲気が異なり、ミモロには敷居が高そう。

それでもやはり気になるので、ある日、思い切って中へ。

板張りの床…高い天井には、電灯がさがり、見るからに歴史を感じさせる佇まい。
店の奥には、大きな木の机…そこにご主人らしき方が座っています。

「なんのご本があるんだろ?」と棚の本を見てゆきます。



「う~なんかむずかしそうなご本…」漢字がいっぱいのタイトル…。
それもそのはず、ここは仏教書の専門店。仏教関係の新刊本、和本、古本がそろっています。
天井近くまで聳える棚には、ぎっしりと古い和本が積まれています。

あまりにむずかしそうなので、ミモロは、まずは建物に興味を移しました。
「あの~この建物は、いつ頃建てられたんですか?」とご店主の三浦さんに伺うことに…。

現在4代目となる三浦さん。そもそも創業は、なんと明治13年のこと。もともと名古屋に本店があり、京都のお店は明治38年に出店。終戦後、名古屋のお店は閉め、ここだけに。
「昔は、仏教関係の本を出版し、それを販売していたんです」と。
大きな机には、昔の版木が、今は机を飾るように組み込まれています。

「この建物は、昭和5年に建てられたものですよ」仏教書のお店らしく装飾は、どこかお寺の装飾を彷彿させるもの。


お店の屋根の内側やガラス窓に、独特の雰囲気が漂います。
「このお店落ち着く~」と、ミモロはご店主の前の椅子でリラックス。仏教書専門店だけに、店内の空気には静かさと落ち着きが感じられます。
椅子に座りながら店内をグルリと見渡すミモロ。
入口の上にかかる額が気になります。「あの~あれ、なんて書いてあるんですか?」


「あれは、『応作如是観』で、金剛経の一節で、まさにかくのごときかんをなすべし。まぁ、すべて実体のないもので、捉われ固執しても意味がないということです。哲学者の西田幾多郎の書です」
「え~あの哲学の道の学者さんでしょ…」このお店とのお付き合いも長く、2代目ご店主が本を届けにご自宅に伺い、その折りいただいたものだそう。
仏教思想と近代哲学を融合させた独自の哲学を展開した西田幾多郎。「この本屋さんとも深いおつきあいなの、わかるね~」とすこぶる納得したミモロです。
「あ、あれはなんですか」と今度は壁を飾る木を見て…

「あれは確か孔子の言葉が書かれたもの、天明7年と書いてありますね~」これも版木です。
ミモロがお店にいると、法衣姿の若いお坊さんが来店。「探していたご本取りに来たんだって…」
京都には、お寺の数も多く、仏教を学ぶ人も多いため、今も10軒ほど仏教書の本屋さんがあるそう。
「あの~なんど般若心経の解説本読んでもよくわからないし、法華経の文庫本も読んだけど、全然理解できないんですけど…」と全く知識が身につかないミモロです。
「もっと簡単な解説書から読んでみたら…まぁ、理解するのはむずかしいでしょうね~」
ここに入荷する新刊本は、全部目を通すというご店主。「こういう本ありませんか?」というお客様の質問に即座に回答。「すごい…」とそばで見ていたミモロ。
「あのね~ミモロ、座禅したり、説法聞きに行ったり、いろんなお寺参拝してるんだけど…」と、仏教の本を読めば読むほど、わかんなくなるミモロです。
もちろん、わかるわけがありません。でも、いろいろな本を読むのは大切。
「あ、こっちになにがあるの~」と店内の階段へ。ミモロそっちに行っちゃだめ~上は倉庫なんだそう。立ち入り禁止。

「あ、そう…」と引き返します。
「あの~また遊びに来ていいですか?ここすごく落ち着くんで…」「はい、どうぞ…」とご店主のやさしい笑顔に見送られ、お店を後にしたミモロです。

*「書林 其中堂」京都市中京区寺町三条北 075-231-2971 平日10:00~19:00 日曜・祝日12:00~18:00 第2.4日曜休み

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