蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

言葉は、正直

2009-12-22 | 
今、私が住んでいる家は、8年前に新築したのだが、
竣工直後、初めて、義父、義母、義姉が、来訪した時のことをふと思い出した。


家を建て替えるにあたり、私は各社のプレゼンテーションを受けた。
数々の設計図の中から厳選したものを選び、業者を絞り込んだが、
後に業者が変わったりして、時間やお金も無駄になったり、紆余曲折もあった。
設計図の手直しも度々重ね、
床の高低や棚の深さ、高低、ありとあらゆる設計を一つ一つ、細かく詰めていった。
トイレや、洗面所、お風呂などの水周り機器、
エアコン、室内乾燥機、床暖房などの空調設備、どれもこれも全て、決めた。

インテリアも、そう。
全ての内装を、一つ一つ、丹念に選んで決めた。
壁紙、照明、天井、カーテン、造作家具、システムキッチン・・・・
カーテンや壁紙は、特に時間がかかった。
質感、色、柄、ティスト、家具とのバランス、・・・
コンセプトが揺らいだり、また、一からやり直したり・・・
私の度重なる変更や、優柔不断ぶりに、
キレることなくお付き合いしてくれたインテリアコーデネーターN女史、
その根気強さ、忍耐強さには、敬服、感謝しても余りある。

家が完成した当日、想い、構想が具体的なカタチとなった家を見て、
平面が立体化した感激、夢とも現実ともつかない感覚、大きな感動を味わった。
その日の夜は、
めらめらと湧きあがる熱い何かが、気炎となって立ち上がるような、そんな夢を見た。
色で言えば、濃いオーク、マホガニー色、豊潤なワイン色。
持っている全辞書をフル稼働しても表現しきれないぐらい、とにかく、感動した。


まあ、そういういきさつで、家は出来たのだが、
私も平日は仕事があったので、まだ荷物もちゃんと納まっていない状態だった。
義父は重い病気だったこともあり、
生きているうちに、一日も早く完成した家を見たい、という強い要望があったため、
荷解きしていない荷物を一部屋に集め、天井近く積んだままの状態で、お呼びした。

義父の第一声「いい家や・・・」
義母の第一声「このトイレ、白くないから健康状態がチェックできないね。
玄関に入るまでの、この階段、とても危ないわ」
義姉の第一声「・・・(忘れました・・・ごめんなさい)」

義父は、建築費を聞いて、びっくりしていた。
彼が想像していたより、はるかに高かったからだ。
そして、義母のご指摘のトイレだが、色は、グリーン。
壁紙も手洗いも、すべて、白を基調にグリーンでアクセントをつけて統一し、
照明も、花と葉っぱのついたものを選び、
床は、色を抑え気味にグレーの素焼きタイルを用い、ちょっと趣のあるものにした。

価値観の違い、好みの違い、というのは、こういうところに如実に現れる。
現実主義、加齢による健康志向、ふところ具合(経済的主導権の有無)、
かたや、夢いっぱいの、ふわふわ嗜好、非現実志向。まだ、若いから、そうなってしまう。

とにかく、こうも違うものだと驚いたが、私が住む家なので、なんと言われようが関係ないのだが、
今もトイレに行くと、時々、義母の言葉を思い出す。

ちなみに、吟味に吟味を重ねた、2階の寝室のファブリック(カーテン、ベッドカバー)は、
新築お披露目の時に、ご近所M女史に、
「わぁ、ラブホ(=ラブホテルのこと)みたい~」と言われた。
カーテンとお揃いのベッドカバーは、清水の舞台から飛び降りたつもりで、
高かったが、決めたものだった。


新築のお宅を訪ねる時は、たとえどう感じようが、
自分の発する言葉には、少し慎重になろうと、しみじみ心に決めた次第だ。


付録(おまけ)
実母の第一声「ゴミ箱が、合ってないね」

これは、ショックでもなんでもなかった。
まあ、ゴミ箱ぐらいなら、カンタンに取り換えられるし、
それぐらいの小さなマイナス評価なら、まあ、いいや、と、自分では納得。
なぜなら、私は、室内装飾をはじめとする美的なものに関しては、
母に多少影響を受けている。
さっそく、メイン洋室には、クリームイエローにゴールド縁、フラワーモチーフの
油ペインティングを施した木製シリーズを設置した。
たかが、ゴミ箱、されど、ゴミ箱、だ。

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