みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0138「隠しごと」

2018-01-12 18:41:39 | ブログ短編

 最近(さいきん)、彼の様子(ようす)がおかしい、と言うかめっちゃくちゃあやしい。明らかに、私のことさけてるし、彼の部屋(へや)に行っても中に入れてくれないの。私、彼のこと、誠実(せいじつ)で嘘(うそ)なんかつかない人だと思ってたのに。こうなったら、浮気(うわき)してるとこを突(つ)き止めてやるわ。
 私は探偵(たんてい)のように彼の会社(かいしゃ)の前に張(は)り付いた。彼は、私とデートしない時は真(ま)っすぐにアパートに帰るはずよ。――思った通り、彼は自分のアパートの方へ歩いて行った。
 私はちょっとホッとした。浮気じゃないかも…。でも次の瞬間(しゅんかん)、彼は脇道(わきみち)へそれて行く。えっ…? どこへ行くのよ。私は、胸(むね)がドキドキしてきた。
 彼は、とあるお店に入った。私は店内(てんない)を覗(のぞ)こうとして、思わずくしゃみが飛(と)び出した。何だか、鼻(はな)がむずむずして。ダメだ、ここってペットショップじゃない。私、猫(ねこ)アレルギーなの。しばらくして、彼は紙袋(かみぶくろ)を手に出てきた。何を買ったのよ? きっと、浮気相手(あいて)は動物好きなんだわ。彼、猫好きだったし…。彼は、そのまま自分のアパートへ向かった。
 もう、こうなったら現場(げんば)を押(お)さえるしかないわ。彼の部屋のドアをノックして…。彼は、私の顔を見て驚(おどろ)いた様子。すかさず私は、彼を押しのけて部屋へ突入(とつにゅう)! だが、そこには女の影(かげ)はなく、私はくしゃみが止まらなくなった。彼は、そんな私を部屋の外へ連(つ)れ出して言った。
「ごめん。友だちが旅行(りょこう)するからって、猫を預(あず)かってて…。それで…」
<つぶやき>隠(かく)しごとはしないようにしましょ。そうしないと、誤解(ごかい)の連鎖(れんさ)が始まります。
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