みけの物語カフェ ブログ版

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0815「しずく78~謎の紳士」

2020-02-24 18:19:52 | ブログ連載~しずく

 千鶴(ちづる)の部屋にあったスマホが鳴(な)り出した。でも、部屋には誰(だれ)の姿(すがた)もなかった。着信音(ちゃくしんおん)が何度か繰(く)り返されて、また静寂(せいじゃく)に戻(もど)った。その頃(ころ)、千鶴は落ち着かない気持ちで来客(らいきゃく)を待っていた。
 ――時計の針(はり)は夜の十二時を過(す)ぎようとしていた。双子(ふたご)の姉妹(しまい)は自分(じぶん)達の部屋に入り、寝息(ねいき)をたてているはずだ。千鶴は大きく息(いき)を吐(は)くと、玄関(げんかん)へ向かった。
 ちょうど玄関のロビーに着いたとき、玄関の扉(とびら)が音もなく開いた。そして数人の男たちが入って来た。千鶴は顔をこわばらせた。最後(さいご)に入って来たのは初老(しょろう)の紳士(しんし)だ。その紳士は威圧(いあつ)するように千鶴を見たが、すぐににこやかな顔に戻って声をかけた。
「突然(とつぜん)すまないな。しかし、この時間の方が都合(つごう)が良いだろう?」
 その低音(ていおん)の声は、以前(いぜん)にかかってきた電話の相手(あいて)だ。紳士は千鶴の前に立つと、
「早速(さっそく)だが、例(れい)の娘(むすめ)に会わせてもらおうか。案内(あんない)してくれ」
 千鶴は緊張(きんちょう)した顔つきで、紳士の先(さき)を進んで行った。二人の男たちがその後に続いた。
 しずくが寝かされている部屋に入ると、紳士はしずくの顔をまじまじと見つめて言った。
「これが救世主(きゅうせいしゅ)か…。私には子供(こども)にしか見えないが。あの予言(よげん)は確(たし)かなのか?」
「私には、分かりません。彼女が本当(ほんとう)に救世主になるのかどうか…」
「まあ、いい…。不安材料(ふあんざいりょう)は早めに処理(しょり)するに限(かぎ)る。君(きみ)は、そう思わないかね?」
<つぶやき>まさか、しずくを…。この先(さき)、どうなってしまうのでしょうか? 大変(たいへん)です。
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