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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0603「嵐を呼ぶ男」

2019-07-17 18:32:54 | ブログ短編

 私の彼はちょっと変わってるの。彼とのデートは、いつも何かが起(お)こるんだ。
 初めてのデートの時は、台風(たいふう)が来てしまった。だから、どこへも行けずに中止(ちゅうし)になった。次の約束(やくそく)の日は、突然(とつぜん)の大雨(おおあめ)になってしまって…。ずぶ濡(ぬ)れになった私は、風邪(かぜ)をひいて三日間寝込(ねこ)んでしまった。
 一週間後のデートの日は、大風(おおかぜ)が吹(ふ)いていて大変(たいへん)だった。彼は私に風が当(あ)たらないようにと風上(かざかみ)に立ってくれて…。それでも、私の髪(かみ)はグチャグチャになってしまった。スカートをはいて行かなくて良かったわ。
 彼は私に会うたびに、ごめんねって言ってくれる。そして、
「僕(ぼく)は、嵐(あらし)を呼(よ)んでしまう男だから…。きっと、これからも僕に会うときは大変かもしれない。それでも、僕と付き合ってくれるかい?」
 私は彼に答(こた)えたわ。「そんなの平気(へいき)よ。だって、あなたと会うときは、いつもエキサイティングなんだもの。これから何が起こるか、ワクワクするわ」
 そんなことを言ってしまう私って…。私も、変わってるのかもしれないわ。今日も彼とデートの約束をしている。窓(まど)の外を見ると、大きな雲(くも)が湧(わ)き上がっていて、遠(とお)くで雷(かみなり)のゴロゴロという音がかすかに聞こえてきた。――今日は、彼がプロポーズしてくれるかもしれないわ。私は胸(むね)を躍(おど)らせて、大きなバッグの中に雨具(あまぐ)をしのばせた。
<つぶやき>雨男(あめおとこ)ならぬ嵐男ですか。彼と付き合うには相当(そうとう)の覚悟(かくご)が必要(ひつよう)かもしれません。
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