みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1428「苦手な人」

2023-11-02 17:39:48 | ブログ短編

 彼女にとって男性は全(まった)く別(べつ)の生きもの。なぜか彼女はそんな風(ふう)に感じていた。何を考えているのか分からないし、自分(じぶん)と価値観(かちかん)も違(ちが)うはずだ。そんな人と一緒(いっしょ)にいて楽(たの)しいはずがない。だから、誰(だれ)かとお付き合いするなんてまったく考えたこともなかったし、実際(じっさい)に誰かと親密(しんみつ)な関係(かんけい)になったこともない。
 そんな彼女の前に一人の男性が現れた。この男性、彼女とは真逆(まぎゃく)の性格(せいかく)のようだ。だからなのか、仕事(しごと)でも何かと意見(いけん)が食(く)い違い、彼はことあるごとに彼女に突(つ)っかかっていた。彼女はそのたびに同僚(どうりょう)の女友達(おんなともだち)に愚痴(ぐち)をこぼすのだ。彼女の頭の中は、彼のことでいっぱいになっているようだ。
 女友達は一通(ひととお)り愚痴を聞き終(お)えると、彼女に言った。
「こうなったら、あいつと付き合っちゃえばいいんじゃない」
 彼女は一瞬(いっしゅん)かたまった。そして、「何でそうなるのよ。あんな人と付き合うなんて…」
「だって、そんなに気になってるんなら、もっと近(ちか)づいちゃえばいいのよ」
「はぁ? やめてよ。そんなの…、あたしにはムリだから。もう変なこと言わないで」
「そうかなぁ」女友達は彼女から目線(めせん)を外(はず)して、「私には恋人同士(こいびとどうし)の痴話(ちわ)げんかにしか見えないんだけど…。まぁ、恋人にならなくてもいいけど、もう少し二人でおしゃべりした方がいいと思うよ。そうしてくれないと、仕事の効率(こうりつ)が上がらないんだから」
 彼女はふて腐(くさ)れる子供(こども)のような顔をして、「もう…。分かりましたぁ」
<つぶやき>誰でも苦手(にがて)な人っているよね。でもそれは、その人をよく知らないからかも。
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