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安倍政権の「外国人単純労働者の受け入れ拡大」は経団連のための低賃金政策

2018年11月26日 17時51分09秒 | 日記




























安倍政権の「外国人単純労働者の受け入れ拡大」は経団連のための低賃金政策
(古賀茂明氏記事参照)




自民党政権は、経済界の「人手不足だ!労働者が足りない!(安くて質のいい)労働者を頼む!」の悲鳴に応えるように、これまでも国際的な水準よりも「日本の労働者の賃金」を安く抑える政策を一貫して行ってきた。
 生産年齢人口(15歳~64歳)の少子高齢化での減少への対応ということもある。が、基本的には、「構造改革なき延命策」として、競争力を失った日本の産業にこの政策が採られたというのが真実だ。
 どういうことか?
労働条件を向上させる方向に舵を切らなければならなくなるのは先進国の義務だ。その根底には、生産年齢人口の減少で労働者の立場が強くなるということもある。また、経済的に豊かになり、社会全体に余裕が生まれ、より人間的な生活を保障すべきだという国民の声が高まる。その国民の期待の声に対して、政治家や企業経営者が対応せざるを得ない。
 労働時間も短くし、賃金を上げ、休暇を増やすことにより、労働条件は全体的に向上するだろう。しかし、企業にとっては、それは、負担増である。生産性の向上によって、その負担が吸収できれば良い。が、そうした活力を失った産業・企業では、対応力がだんだん弱まり、「労働条件向上の流れを何とか止めたい」という欲求が高まる。企業体力の弱い中小零細企業では、より早い段階からこうした声が出てくる。
大企業もそうだが、企業体力の弱い中小零細企業ならなおのこと「(安い賃金で質の良い)労働者が欲しい」と願うだろう。「働く意義のある仕事」なら、少しばかり賃金が安くても労働者は確保できるだろう。だが、低賃金で単純作業の繰り返しの工場労働や、運送や建築や農業などの「重労働」をしたがる日本人は少ない。
 こうした国内の構造的要因に加え、世界一といわれた80年代の日本企業も、90年代以降、国際競争の優位性を急速に失うという状況が生じた。本来なら、日本の大企業はこの時点で、「(労働条件を引き上げても競争できる)ビジネスモデルへの転換」を図らなければならなかった。が、それをしなかった。その転換にイギリスやオランダやドイツは20年以上を費やした。が、日本は最初から企業転換を諦めた。そして、競争力を維持するために労働コスト引き下げるという、より安易な方向に逃げようと考えた。
 有名な「新時代の『日本的経営』」というレポート(95年に日経連が提出した)はこの動きを象徴する。レポートでは、正社員(正規雇用)中心の雇用から、残業代ゼロ法案でも問題とされた派遣などの切り捨て用雇用と高度な技術職のパート雇用を併用した新たな雇用戦略を取るべきだと提唱していた。今から20年以上前に大企業の経営者たちが描いた設計図通りに日本の雇用が動いたのである。
 日本にも企業経営者の団体だけでなく、労働組合という団体もいる。が、労働組合や社会的弱者の声を反映した政策を掲げる政党は、万年野党で、政権に就くことはほぼない。一方、一貫して与党であった自民党は、企業献金と企業の選挙応援によって選挙を勝ってきた政党なのだ。企業の既得権と一体となった政策を採り続けてきたのは当たり前だ。
 だからこそ実施されたのが、企業の労働コスト削減を支援する「労働者派遣拡大政策」だ。事実上、「正規雇用」から「非正規雇用」への大転換による労働コスト削減支援策である。これでほとんどの労働者が「非正規社員」となり、経営者達に搾取される原因となった。また、「派遣労働」の改悪である。86年には、労働者派遣法が施行された。原則派遣は禁止としながらも、例外的に、13業務については派遣を認めることになる。次に、99年の派遣法改正で、これまで専門的な仕事に限定されていた派遣対象業務が、製造業を除き、原則自由化。さらに、04年の改正では、製造業への派遣も解禁(建設、警備、港湾運送などを除くほとんどの職種で派遣労働を導入)することが認められた。例外だった派遣労働が、ほとんど自由になったのだ。派遣がこのようにして一気に拡大した。
この政策支援は企業にとっては、ありがたいものだった。しかし、製造業の企業は、ほとんどがアジア諸国の工場や労働力や生産性の追い上げにあって、競争力に負け続け、有効な手も打てないまま、競争力を急速に失っていく。不景気になれば派遣労働者は「企業の調整弁」として雇用をすべて切られた。経営者の能力が著しく欠如していることが日本の産業の最大の問題だった。が、誰もそれを気付きながら、治そうとも、改革しようとも、しなかった。
日本企業をさらに苦しめたのが、円高だ。競争力のない企業にとって円高は悪夢である。
2012年末に政権に就いた安倍政権は、アベノミクスの第一の矢として(企業の声に応え)異次元の金融緩和を掲げた。お金をじゃぶじゃぶにして金利を下げるというのが目的だ。が、その本当の目的は円安だった。円は、一気に120円まで下がった。
 円高は確かに外国から輸入する企業にはありがたい、が、それよりも日本企業は円安のほうがありがたいのだった。特に自民党の支持母体である大企業は、ほとんど輸出で儲けている企業ばかりである。また、中小零細企業も円安のほうがありがたいのだ。
つまり、国際的に見て、日本の労働者の賃金は3分の1カットされたことにもなるのである。円安とは、日本の価格がすべてドルベースで見れば大安売り状態になるのだ。が、労働も当然のことながら安売りになるということを意味する。
 究極の労働高コスト切り下げ政策だともこれはある意味において言える。輸出大企業はこれで一息つくと同時に、円安による大増益を実現してほくほくだった。
 が、円安が未来永劫進み続けるわけはない。結局、日本の企業の競争力がこれで蘇ることはなかった。企業経営者が、単なるコスト競争ではない、「新しいビジネスモデルへの転換」を行うことができないまま、(政府のカンフル剤)派遣規制緩和、円安などを続けているから、その効き目がなくなると、また元の木阿弥になるのである。
 それでも、どうしてもやって行けない「駄目駄目企業」のために繰り出されたのが、外国人労働者受け入れ拡大策である。これまでも、ずっと、静かに外国人単純労働者を受け入れる政策を、自民党政権は続けてきた(3K労働環境への外国人実習制度という「奴隷」。「技能実習」で国際貢献というのは、真っ赤な嘘。低賃金単純労働者を労働生産性も上げることができない分野に供給する仕組みだ)。国営の「奴隷労働者派遣事業」。
技能実習生が、ブローカーに搾取され、労働現場でもブラックな企業に搾取されるという悲惨な例が、いくつかという話ではなく…まさに「奴隷労働」。重労働で逃げ出せば、国外退去(追放)。間に入ったブローカーに搾取され、物凄い「低賃金労働」を強いられ、作業で手の指を切断しても「自己責任」。医療費さえ払わない。
まさに「奴隷制度」。
留学生が増えていると聞けば、「海外の勉強熱心な外国人のあいだで日本の人気が高まっているのか」と思う人が多いかもしれないが、それは全くの間違いだ。
大学生や大学院生などの高等教育機関の増加は非常に緩やかであり、圧倒的に伸びているのは日本語学校生だ。過去5年では、3倍以上、増えている。かなりの部分彼らは、コンビニやファストフードなどの飲食店でアルバイトをしている。日本で働くためにやって来ているという側面もあり、外国人労働者全体128万人のうち、学生アルバイトは23%も占めていて、アメリカなどに比べて日本の学生労働条件が非常に緩い。これらの政策は、事実上コンビニなどの業界を支援するため留学生を増やす政策になっているのだ。
「技能実習」も「留学」も、自民党政権が陰に隠れてやってきた「単純労働者導入政策」でしかない。だが、これらを実施しても、なお、低賃金労働奴隷なくしてはやって行けない「低生産性産業」や「駄目駄目企業・団体・組織」が大量に存在するというのが悲しい実態だ。
つまり、「外国人単純労働者」を増やすより、「能力のない経営者」をなくせ、ということだ。元・日産のゴーン元・社長兼会長などのような毎年十億円以上貰っても更に搾取して、辞任の時には八十億円もらう予定だった……みたいなのが駄目を生むのだ。
“即戦力か”?“外国人材法”。「人手不足」が深刻。これはある意味事実だ。日本の会社の99%は中小零細企業だ。2025年度までに人手不足で127万社が倒産するという。中小企業は“労働条件”をよくしようとすると“負担増”で倒産したり、多くの仕事を受注しても倒産するリスクがある。黒字なのに倒産する“隠れ倒産”も。奴隷しかないところも多く、女性とか高齢者での活用でも無理なところも。実習生死亡「3年で69人」6人は自殺。
時給300円で二十時間労働させる悪質なところも。悪質なブローカーへの厳罰化と、日本語教育や家賃の行政の保護など、外国人材の行政の支援が必要だ。日本で労働する外国人は128万人。そのうち工場労働が六割である。“奴隷”扱いする業者の摘発しかない。
悪質な業者やブローカーを排除し、“労働環境”を改善しなければ、「外国人労働に選ばれない日本」になってしまう。できの悪い悪質な企業はつぶす覚悟でいてほしい。
「低賃金の温存とは、低生産性の温存と言い換えても良い」と古賀さんは言う。
古賀氏「「人手不足」と言うが、今、国会に出されている「単純労働者受け入れ法案」の対象となる14分野のうち、賃金、休暇、労働時間などで、他の分野に比べて非常に良い条件を提示している分野がどれだけあるのか。もし、他よりも低い条件しか提示できないなら、そこに人が来ないのは人手不足の問題ではなくて、単に、低生産性の問題である。この状況は、自民党が採ってきた経営者のための低賃金政策の当然の帰結と言って良い。
しかし、今回の法案は、来年の選挙に向けて、経済界を「買収」するためにはどうしても必要な法案だと、いまだに安倍政権は考えているようだ。選挙のために、できの悪い経営者の言いなりになっているのだ。
 考えてみれば、安倍政権になって、12年から17年の間に実質賃金は4%以上下がった。これから上がると言うが、2019年10月の消費税増税で、また実質賃金は下がるだろう。12年の水準に戻るのは相当先になりそうだ。今の政策を続けている限り、日本の生産性は上がらない。生産性が上がらない中で実質賃金を上げるには、企業の取り分を減らして労働者の取り分を増やす(労働分配率を上げる)しかないが、それは永遠には続けられない。
 安倍政権は、今までの政策を根本から見直し、まずは、日本の企業経営者に、今よりもはるかに良い賃金、休暇、労働時間の条件を提示できる新たなビジネスモデルへの転換を強力に促す政策を始めたらどうか。」
 古賀さんの意見はまさに至言であり、安倍政権の財界へのずぶずぶの関係ゆえの今回の「外国人単純労働者「奴隷」」「事実上の移民政策」であるといえる。「日本に一番必要なのは、外国人単純労働者ではなく、高い労働条件を提示できる経営者だ。それができない経営者には退場を迫るべきだろう。」古賀さんの意見にはさすがと唸るものがある。
流石は、と思うとともに自民党や安倍政権がここまで卑劣とは反吐が出る。
これで本当に「美しい国」といえるのだろうか?首をひねらざる得ない。

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