私の住んでいる街で、たまに、ある男性を見かけることがあった。
髪の毛が腰あたりまで長くて、素足にくたびれたサンダルを履いている。
いわゆる「ホームレス」だと思われたが、
なんだかよくわからない、畏怖の念のようなものを抱かせる人なのだ。
最初、彼に会った時はどきりとした。
道の暗がりで立っていて、何か小さなものを片手に持ち、うつむいていた。
一見、携帯電話でメールを打っているふうだったけど、
いまどきの携帯電話にしてはちょっとサイズが大きい。
一心不乱に、それをピコピコやっている。
怖かったので、その道を通らずに遠回りした。
それから何度か彼に遭遇したが、いつ見ても彼は何かを片手にピコピコやっている。
私はひそかに「戸塚の主(ぬし)」と名づけていた。
そんな折、出産前だったK子と義兄と3人でいたときに
カラオケボックスの脇で見かけた。
私が義兄に「彼はいつも何かピコピコやっている」という話をしたら、
義兄がこっそりと見に行ってくれた。
結果、主が持っていたのは携帯電話ではなく、計算機らしいと判明。
冬に入るころから、主を見なくなった。
どこでどうしているのだろう。
いったい何の計算をしていたのかなあ、と今でも不思議に思う。
そして、実は誰だったんだろう、とちょっと疑問に感じる今日このごろだ。
ホームレスのふりをした、なにやらすごい力を持った人だったのかもしれない。
髪の毛が腰あたりまで長くて、素足にくたびれたサンダルを履いている。
いわゆる「ホームレス」だと思われたが、
なんだかよくわからない、畏怖の念のようなものを抱かせる人なのだ。
最初、彼に会った時はどきりとした。
道の暗がりで立っていて、何か小さなものを片手に持ち、うつむいていた。
一見、携帯電話でメールを打っているふうだったけど、
いまどきの携帯電話にしてはちょっとサイズが大きい。
一心不乱に、それをピコピコやっている。
怖かったので、その道を通らずに遠回りした。
それから何度か彼に遭遇したが、いつ見ても彼は何かを片手にピコピコやっている。
私はひそかに「戸塚の主(ぬし)」と名づけていた。
そんな折、出産前だったK子と義兄と3人でいたときに
カラオケボックスの脇で見かけた。
私が義兄に「彼はいつも何かピコピコやっている」という話をしたら、
義兄がこっそりと見に行ってくれた。
結果、主が持っていたのは携帯電話ではなく、計算機らしいと判明。
冬に入るころから、主を見なくなった。
どこでどうしているのだろう。
いったい何の計算をしていたのかなあ、と今でも不思議に思う。
そして、実は誰だったんだろう、とちょっと疑問に感じる今日このごろだ。
ホームレスのふりをした、なにやらすごい力を持った人だったのかもしれない。