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小津安二郎監督『早春』

2021-12-22 11:52:00 | ノンジャンル
 小津安二郎監督・共同脚本の1956年作品『早春』をNHKプレミアムで再見しました。

 サイト「映画ウォッチ」のストーリーのあらすじに加筆修正させていただくと、
「六郷土手近くの長屋に住んでいる杉山(池辺良)は、丸ビルにある東和耐火煉瓦の社員。今朝も妻の昌子(淡島千景)に起こされ、出勤するために蒲田駅へ向かいます。駅のホームでは通勤仲間である青木、藤井、イチ子、それに金子千代(岸恵子)通称“金魚”などと合流し、一緒に大宮行きの電車に乗り込みました。彼らは休日も一緒に遊びに出かけるほど仲が良く、今度の日曜日も江ノ島にハイキングに出かけるつもりです。
 ハイキング当日、一同が疲れを覚えながら歩いていると、後ろからトラックがやってきます。その荷台には杉山と千代が乗っていました。遅れ気味だった2人は一緒にトラックを呼び止め、一気に他の仲間たちを追い抜かしてやろうとしたのです。
 これをきっかけに杉山と千代は仲を深めますが、それには千代の方が積極的でした。彼女は男性に対して気が多く、以前から同僚たちの噂の種になっています。今度は杉山がターゲットというわけです。
 一方、杉山の方は普段から鬱々としています。というのも昌子との仲があまり良くないからでした。大学時代、杉山は喜多川という行きつけのおでん屋の娘である彼女と恋に落ち、結婚したのですが、最初の子供を亡くしてからはその生活にも張り合いが失われ、2人の仲にもすきま風が吹いていたのです。そんな杉山を落とすのは千代にとって簡単なことでした。
 料亭で逢びきをしてから、杉山と千代は鈴ヶ森の海辺の旅館で体の関係を結びます。あっさりと浮気はしたものの、杉山は昌子を裏切った事が予想以上の負い目となります。
 やがて仲間たちに2人の仲が知られたこともあって、関係はそれ以上進みませんでしたが、家にいても以前以上に口数が少なくなります。しかも千代がいかにも愛人という態度でしばしば家を訪れるため、昌子も夫の浮気に勘付いてしまうのです。昌子は腹を立て、実家に帰ってしまいます。
 そんな折、杉山に転勤の話が持ち上がります。浮気と妻との不和で悩んでいた彼は、それを承諾することを決意。昌子にとりあえず知らせた上で、1人岡山の三石へと旅立ちます。
 新しい職場にも慣れ始めた頃、工場から下宿へ帰ってくると、そこには昌子がいました。杉山は改めて浮気の件を妻に侘び、昌子もそれを受け入れます。二人きりの生活になり、ようやく夫婦にも平穏が訪れたところで、映画は終わります。

 この映画はキャストがものすごいことになっていて、上記以外にも笠智衆、山村聰、杉村春子、浦邊粂子、三宅邦子、東野英治郎、加東大介、須賀不二夫、田中春男、中北千枝子、中村伸郎、宮口精二、長岡輝子、菅原通濟(特別出演)が出演していて、それを見ているだけでも楽しめました。また登場人物が団扇であおぐシーンがやたらに多いのも印象的でした。