フレデリック・ワイズマン監督『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』その1
フレデリック・ワイズマン監督・政策・録音・編集の2017年作品『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』をWOWOWシネマで観ました。
サイト「映画ウォッチ」の「ネタバレあらすじ」の一部を修正して転載させていただくと、
「カメラは五番街と42丁目との交差点に位置するニューヨーク公共図書館(NYPL)本館へ。回転ドアを開けて中に入る。今日は出入り口近くで「利己的な遺伝子」で知られるイギリスの進化生物学者・動物行動学者リチャード・ドーキンス博士のトークが行われている。それは気軽に誰もが立ち見ができる。ドーキンスは真実への愛を語り、無宗教者の立場から、進化論を否定するキリスト教原理主義者を忌憚なく批判する。
NYPLは多くの司書を抱える。彼らの電話応対は、電話の相手の借り出し状況の説明から、極めて専門的な文献調査にも及ぶ。もちろん本館で司書から直接、資料についてアドバイスを受ける人もいる。
NYPLは財源をニューヨーク市と民間の寄付から半分ずつ得ている。トニー・マークス館長は公民協同の重要性を語る。そして市からの財源が増えれば、民間からの寄付も増えるという相乗効果を期待する。加えてインターネットの利用促進と資料のデジタル化という課題を語る。
NYPLの特徴あるコレクションの一つがピクチャー・コレクション。担当者が課外授業の高校生にコレクションを説明する。1915年に誕生して以来、ニューヨークの多くのアーティストが利用してきたコレクションだ。ここでは、収集された写真イメージが「動く犬」等のカテゴリーに分けてフォルダーに入れられている。
NYPLの本館や分館では「図書館」というイメージを超える多彩な事業が行われている。舞台芸術図書館では音楽会が開かれ、ブロンクス分館の就職フェアでは消防署等の職員による説明会が開かれる。著者を招いてのトークもある。西アフリカを研究対象とする歴史家ルドルフ・ウェアは、奴隷制に反対するイスラム聖職者を王が奴隷として売った史実を話し、イスラム教と奴隷制度を関連付ける主張の嘘を暴き立てる。そして公共図書館ライブで、かつてアンチ・サッチャーソングを歌ったエルヴィス・コステロは認知症になって亡くなったイギリスのサッチャー元首相について、今も彼女が国にしたことを許していないと語る。
ジョージ・ブルース分館ではネット環境のない人のために、ネット接続用機器貸し出しについての説明がある。一方でシニア向けのダンス教室が開催されている分館もある。
そうした地域に密着した分館のほかに、NYPLには舞台芸術図書館を含む四つの研究図書館がある。その一つ、黒人文化研究図書館の前や内部の廊下に多数のキャンドルが飾られ、火が灯される。今日は黒人文化研究図書館の90周年を祝う式典の晩である。ムハンマド黒人文化研究図書館館長が挨拶をする。
幹部たちの会議ではホームレス問題が議論される。図書館はあらゆる人に開かれるべきだが、はたしてホームレスの人たちが眠るためだけに図書館に来るのを、どこまで許容していいのか。館長は、最終的に変えるべきはこの街の文化、私たちのホームレスへの態度だと考える。
(明日へ続きます……)
フレデリック・ワイズマン監督・政策・録音・編集の2017年作品『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』をWOWOWシネマで観ました。
サイト「映画ウォッチ」の「ネタバレあらすじ」の一部を修正して転載させていただくと、
「カメラは五番街と42丁目との交差点に位置するニューヨーク公共図書館(NYPL)本館へ。回転ドアを開けて中に入る。今日は出入り口近くで「利己的な遺伝子」で知られるイギリスの進化生物学者・動物行動学者リチャード・ドーキンス博士のトークが行われている。それは気軽に誰もが立ち見ができる。ドーキンスは真実への愛を語り、無宗教者の立場から、進化論を否定するキリスト教原理主義者を忌憚なく批判する。
NYPLは多くの司書を抱える。彼らの電話応対は、電話の相手の借り出し状況の説明から、極めて専門的な文献調査にも及ぶ。もちろん本館で司書から直接、資料についてアドバイスを受ける人もいる。
NYPLは財源をニューヨーク市と民間の寄付から半分ずつ得ている。トニー・マークス館長は公民協同の重要性を語る。そして市からの財源が増えれば、民間からの寄付も増えるという相乗効果を期待する。加えてインターネットの利用促進と資料のデジタル化という課題を語る。
NYPLの特徴あるコレクションの一つがピクチャー・コレクション。担当者が課外授業の高校生にコレクションを説明する。1915年に誕生して以来、ニューヨークの多くのアーティストが利用してきたコレクションだ。ここでは、収集された写真イメージが「動く犬」等のカテゴリーに分けてフォルダーに入れられている。
NYPLの本館や分館では「図書館」というイメージを超える多彩な事業が行われている。舞台芸術図書館では音楽会が開かれ、ブロンクス分館の就職フェアでは消防署等の職員による説明会が開かれる。著者を招いてのトークもある。西アフリカを研究対象とする歴史家ルドルフ・ウェアは、奴隷制に反対するイスラム聖職者を王が奴隷として売った史実を話し、イスラム教と奴隷制度を関連付ける主張の嘘を暴き立てる。そして公共図書館ライブで、かつてアンチ・サッチャーソングを歌ったエルヴィス・コステロは認知症になって亡くなったイギリスのサッチャー元首相について、今も彼女が国にしたことを許していないと語る。
ジョージ・ブルース分館ではネット環境のない人のために、ネット接続用機器貸し出しについての説明がある。一方でシニア向けのダンス教室が開催されている分館もある。
そうした地域に密着した分館のほかに、NYPLには舞台芸術図書館を含む四つの研究図書館がある。その一つ、黒人文化研究図書館の前や内部の廊下に多数のキャンドルが飾られ、火が灯される。今日は黒人文化研究図書館の90周年を祝う式典の晩である。ムハンマド黒人文化研究図書館館長が挨拶をする。
幹部たちの会議ではホームレス問題が議論される。図書館はあらゆる人に開かれるべきだが、はたしてホームレスの人たちが眠るためだけに図書館に来るのを、どこまで許容していいのか。館長は、最終的に変えるべきはこの街の文化、私たちのホームレスへの態度だと考える。
(明日へ続きます……)