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フレデリック・ワイズマン監督『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』その2

2021-12-25 11:58:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。

 ジェファーソン・マーケット分館で19世紀アメリカの奴隷制についての女性研究者によるセミナーが開かれる。誰もが自由な社会は存在したことがないとして、奴隷制を肯定した南部主義者ジョージ・フィッツヒューを取りあげる。彼にとって、北部の労働者は主人のいない奴隷であった。フィッツヒューと反対に、カール・マルクスとリンカーンを自由な社会を肯定して奴隷制を否定した論者として取り上げる。
 公共図書館ライブではミュージシャンのパティ・スミスが登場。好きなのはフィクションで、回想記なんか書くことがないと思っていた彼女が回想記を書いた。大好きなジャン・ジュネの『泥棒日記』とのつながりを語る。
 幹部たちの会議では、蔵書購入の方針が論じられる。紙の本に比べて電子本の需要が大きく伸びていた。
 公共図書館ライブでは、ムハンマド黒人文化研究図書館館長が作家のタナハシ・コーツを迎える。黒人コミュニティー内部の暴力を自作で扱った彼だが、それは黒人への抑圧に関係していると言う。「我が家ではマルコムXが神でした」と語るコーツ。
 本館内部に巨大なクリスマスツリーが飾られる頃、幹部たちは来年度の予算獲得へ向けて話し合いを始める。
 ハーレム地区のマコームズ・ブリッジ分館をムハンマド黒人文化研究図書館館長が訪れ、一般利用者の話に耳を傾ける。アフリカ系住民の抱える様々な問題が取り上げられる。女性教員はマグロウヒル社の地理の教科書が、あたかもアメリカの黒人は自由意志で移住したかのような嘘の記述をしているという大問題を取り上げる。ムハンマド館長は子供たちが真実を学ぶことのできる場所として、この地区に黒人文化研究図書館があると言う。
 公共図書館ライブでは陶芸家のエドムンド・デ・ワールが自作を朗読する。モデレーターがデ・ワールの人生と創作に欠かせない音楽の一つとしてグレン・グールド演奏のゴルトベルク協奏曲をかけ、その曲と共にこの映画のエンド・クレジットが流れる。」

 3時間半を超える映画でしたが、楽しく観ることができました。また改めてワイズマンの映画ではカメラが動かないことに気づかされました。