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中島京子『さようなら、コタツ』

2008-10-24 15:18:50 | ノンジャンル
 今朝早く父が死にました。先週入院し、その後回復していた途上での突然の死でした。当たり前ですが、生きていた父しか知らないので、遺体を見ても死んだ父という実感が少しも湧きません。初めての肉親の死とはこんなものなのかもしれません。

 さて、高野秀行さんがファンであるという、中島京子さんの'05年作品「さようなら、コタツ」を読みました。様々な部屋にまつわる短編集です。
 「ハッピー・アニバーサリー」は、初めて娘の部屋に行った父が、娘の仕事のパートナーであり、娘の恋人でもある女性が、仕事を始めた一周年記念で娘の部屋にやってきたのに会う話。
 「さようなら、コタツ」は、それまでの生活と決別するために引越し、15年ぶりにできた恋人をその部屋で待つ女性の話。
 「インタビュー」は、イラストレーターが持ち家のインテリアを取材しに来た雑誌記者のインタビューに答えながら、ホームステイに来たスウェーデン人の若者の誘いに乗って妻と3Pをやり、妻に去られたことを思い出す話。
 「陶器の靴の片割れ」は、結婚間近の男の部屋を、数年前まで同棲していて海外留学から帰ってきた女性が訪れ、当時片方ずつ持っていた陶器の靴の片割れを見つけて持って帰る話。
 「ダイエットクイーン」は、母親の恋人に身の危険を感じ、ダイエットクイーンになることを逃げ道にして、身を守るために太ることを決意する小学生の女の子の住むアパートの住人たちの交流を描いた話。
 「八十畳」は、八十畳の部屋で寝起きする若手力士たちの話。
 「私は彼らのやさしい声を聞く」は、一軒家に独居し、死んだ妻と会話しているように見える大叔父の話、です。

 「陶器の靴の片割れ」は、昔の恋人に未練を残す男の心情がよく理解でき、「ダイエットクイーン」は登場人物たちの面白さで楽しめました。この小説もとてもオーソドックスな書き方で、中島さんは題材で読ませる人なのかなあと思いました。短編好きの人にはオススメです。