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泉麻人『シェーの時代 「おそ松くん」と昭和こども社会』

2008-10-22 15:39:25 | ノンジャンル
 泉麻人さんの'08年作品「シェーの時代 『おそ松くん』と昭和こども社会」を読みました。赤塚不二夫さんの「おそ松くん」を時代で読みくだいた本です。
 第一章「『おそ松くん』が生まれた時代」では、「おそ松くん」の連載が「週刊少年サンデー」に開始された昭和37年4月の時代背景、連載が開始された「週刊少年サンデー」昭和37年4月15日号の内容、筆者がその時に「少年」を定期購読していた話、その頃の町の風景・流行り言葉・事件が語られます。
 第二章「松野家の全貌」では、おそ松くん一家、つまり松野家の家の構造、六つ子のキャラクター・ファッション・両親などについて語られます。
 第三章「漫画とテレビと歌謡曲」では、「おそ松くん」に引用されているクレージーキャッツらのギャグ、同時代のテレビ番組、引用されている流行歌が語られます。
 第四章「名優チビ太の考察」では、チビ太のモデル、その性格、演じた役柄、持っているおでんの構造が語られます。
 第五章「怪優イヤミとシェーの時代」では、イヤミの性格の変遷、その起源、シェーの流行の様子、シェーの全盛期の様子、イヤミの性格俳優への転身、イヤミのファッションなどについて語られます。
 第六章「脇役たちの横顔」では、トト子、ハタ坊、デカパン、ダヨーンのおじさん、それ以外の常連・一回限りの印象的キャラクター、そして作風の変遷と赤塚ギャグの先進性について語られます。
 第七章「漫画『おそ松くん』から派生したもの」では、当時のライバル漫画「丸出だめ夫」との比較、テレビ番組前に発売されたソノシート、アニメの「おそ松くん」、映画「駅前漫画」について語られます。
 第八章「昭和こどもカルチャー」では、塀への落書き、「現代っ子」という言葉、「ちびっこのどじまん」、「おそ松くん」での学校、「もやしっ子」と「肥満児」、フルーツとしての「バナナ」と「スイカ」、オリンピックと戦記物、切手・モデルガン・トランシーバーなどについて語られます。
 そして最後に「平成20年、『おそ松くん』ゆかりの町を歩く」という文章が載っています。

 「おそ松くん」の実際の漫画を引用しながら、そこに見られる当時の文化を検証し、キャラクターの性格や登場の仕方を分析するという面白い本です。漫画の引用ができなかったら、こんなに楽しい本にはなっていなかったでしょう。その点で、版権を持っているフジオ・プロの方々に感謝しなければなりません。
 分析自体は非常にオーソドックスで、文体も真面目なものです。泉さんが吹き出すというギャグはそれほど面白くなく、笑いのレベルが私とはかなり違うと感じました。
 しかし、赤塚不二夫がレギュラー出演していたクイズ番組があったことを知ったり、当時トランシーバーが少年たちの憧れだったことを思い出させてくれたり、昭和30年代に生まれた者としては楽しめる本でした。同世代の方にはオススメです。