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佐藤真監督『Self & Others』

2008-10-07 18:23:19 | ノンジャンル
 DVDで佐藤真監督の'00年作品「Self & Others」を見ました。写真家の牛腸茂雄さんの、最後の作品集を作るまでを描いたドキュメンタリーです。
 住宅街の芝生に立つ木。子供たちの遠景写真とアトリエ。牛腸の写真。彼の生い立ちが写真で綴られます。カメラを見つめる人々の写真。'83年6月2日、心不全のため36才で死去。写真集「幼年の『時間』」の中の作品。上京して写真学校に入った当時の映像。当時の牛腸が姉に書いた手紙と当時の作品。69年に姉に書いた手紙と当時製作した映画の映像。日記の映像。再び姉への手紙と当時の作品。家族写真。写真集「日々」の中の作品。幼少時を語る文章。住宅街の中の前進移動と昔の子供の写真。女性たちのイメージ映像。ロールシャッハテスト。写真集「Self & Others」に至る経緯を語る文章とノートの映像。「Self & Others」の中の作品。81年1月21日のノートの文章が、消え行くような声で語られます。姉への手紙で入院を語る。当時被写体になった双子の姉妹の証言。姉への手紙で「Self & Others」出版への経緯を語ります。その作品。当時の住居ミントンハウス。部屋の写真。81年3月18日のカセットテープの声で映画は終わります。
 終始牛腸さんの作品と文章の朗読で映画は進みますが、最後になって牛腸さん本人の声が流れるに及んでショックを受ける仕掛けになっています。監督自身も、牛腸さんの声が録音されているカセットテープが発見され、この映画の成功を確信したと書いています。牛腸さんの写真は普通のポートレートのように見えながら、そこには何か被写体となった人たちの無防備な表情が横溢していて、映された人も映された瞬間にみな居心地の悪さを感じたことが証言されています。そうした写真の魅力と相まって、とても面白いドキュメンタリー映画になっていると思いました。オススメです。