ZAIZEN レポート(10月号)に続き、働き方改革総合研究所ブラック企業問題の専門家・新田龍さんの「職場ウオッチング」欄に、明治の職場をウオッチングした状況を11月号に掲載されていました。(是非、購読をお勧めします)
転勤の辞令は直前に通達 出世は派閥次第の「超・上意下達」企業と銘打っています。
12年から18年まで社長を務めていた川村和夫氏(現・明治HD代表取締役社長)が進めていた「選択と集中」路線により、新商品発売は減少。株価はこの4年間で40%も下落し、競合他社がコロナ禍の巣籠もり需要で総じて好業績をあげる中、今期は減収減益を記録するなど「ひとり負け」に近い状態にあると本誌10月号で既報した。とした上で、そんな明治の職場とはどのようなものかと聞き取り調査した内容が報告されています。
職場聞き取りウオッチングの一部を抜粋転載してみました。
①部署によっては残業多め
・良くも悪くも古き良き日本企業。
・外的には悪いイメージは持たれないが、内部からすると昔ながらの会社という印象。
・経営統合して10年経つが少しずつ交流が図られてきているが、自分の領域を守りたいメンバーが多く、風通しは悪い。
・典型的な年功序列。昇格は上が詰まっていて順番待ちの状況で、とびぬけて優秀な結果を出さない限り評価は一定。
②営業スキルは身につかない
・会社も個人も基本的にリスクをとらない。新しいことをしたいとか、世の中を変えたいといった考えの人には向かない。
・営業力や人間力より商品力の強さが圧倒的と痛感。営業スキルを高めたいと思う人なら他業界を勧めたい。
・全国転勤が当たり前、会社都合優先で個人の希望は通らない。決まってから辞令が直前に通達される。
③〝根性論〟上司も多数
・上司によっては放任主義で、適切なサポートを受けられないこともある。
・いまだに気合いと根性のような精神論を説く上司も多い。年齢構成も歪みになっている。
・総合職で3~4年ごとに転勤がある。単身赴任や子どもの転校を覚悟しなければ、今のままでは若者から忌避されるのではないか。
・海外事業を広げる方針だが、売上比率は低く、海外事業に精通した人材も少ない。
・仕事は出来ないが、昇格試験は得意といった偏った人間が昇格していき、部下が育たないという結果になっている。
・出世は派閥次第。基本的に上から言われたことを黙ってやれ。という社風なので、ひたすらやりがいを感じる人にはいい会社。
・選択と集中も良いが、最も大切な明治ファンを失っては意味がない。
・休日、家族との過ごし方を大切にしたい人は慎重に考えて欲しい。
◎最後に新田龍さんは、乳製品最大手の明治だが、若手のやりがいを阻害する面が多々見受けられたのは気掛かり、顧客のため、社員のため、時代に見合った社内改革が求められる。とウオッチングした感想を述べています。
○一読して思ったことは、私の現役時代とそう変わっていないなと感じました。製造現場は日々出勤時間が変わる変則勤務(当時5通り)。新職分制度が導入された中で、ワンフロワーで職分の違う者同士が、同じ作業を交替で作業するも、同一労働同一賃金に反し賃金格差が発生(職分間賃金差別)。仕事が出来なくても「上司におべっか」が横行(今の忖度)し人事考課査定に反映、作業効率の低下を招く。上司の口癖として、「言うこと聞かないと面倒見ないぞ」と従属させる。等々あり不公平が日常茶飯事でした。会社は、年功序列は存在しないと主張してきているが、職場の声は「典型的な年功序列」と言っていますね。
◆因みに川村和夫社長は、明治HD相談役、(株)明治名誉顧問の中山悠氏(旧明治乳業社長)の「鞄持ち秘書」を務め、労働組合中央執行委員長を歴任してきました。その功績から、中山悠相談役の強い後押しがあって社長に座ったと幹部社員から声が飛んできています。
長期にわたる労働争議(労働組合活動を嫌悪した賃金差別、仕事差別)の解決に対し、これまで、各機関から和解を打診されてもことごとく拒否し、未だに背を向け続けている限り職場は疲弊し、減収・減益で「一流企業」からますます遠のくのでしょうか!