明治乳業争議団(blog)

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明治ホールディングス株式会社 第6回株主総会に向け「事前質問書」を提出

2015年06月25日 15時29分18秒 | お知らせ

第6回株主総会開催通知を受け「質問書」を総務部グループ長を通して、松尾正彦社長に提出しました。
引き続き、筆頭株主みずほ銀行及び大株主日本生命、りそな銀行に対しても質問書持参のうえ説明。質問事項への理解と協力を求めてきました。

2015年6月17日
明治ホールディングス株式会社
 代表取締役社長  松尾 正彦 殿

 賛同株主37名の代表株主
       株主  小関 守 
       株主 篠崎 力 
                      
第6回 明治ホールディングス株式会社株主総会に対する「事前質問書」

はじめに
明治ホールディングス株式会社(以下、単に「明治HD」という)の第6回株主総会に対し、趣旨に賛同される株主の連名で質問書を提出します。今期株主総会の最大の問題は、昨年と同様に「経営統合」後の「相乗効果」が、いまだに発揮されずに業績が低迷していることです。その原因が、旧明治乳業時代から続く、三つの異常(不祥事・不正行為が絶えない。死亡災害が絶えない。長期に労働争議が絶えない)に象徴されるように、社員の人権と食の安全・安心が保障されない異常な企業体質が、その背景にあることは明らかです。
「経営統合」から6年も経過しているのに、旧明治乳業時代からの異常体質を放置してきた経営陣の責任は極めて重大です。これらの問題を踏まえ、今期株主総会に対し下記の質問を行います。全項目への回答を求めると同時に、総会議場での発言が異常に規制されることのないように厳しく申し入れます。 尚、6月24日までに文書で回答されることを求めます。



1、経営施策、経営理念に関する質問
(1)統合効果と経営責任について
 2009年に明治乳業と明治製菓が経営統合をしましたが、下記の通り相乗効果が発揮されていません。経営統合時に掲げた目標を踏まえた上での回答を求めます。

1) 経営統合から5年経過した時点で、松尾社長が「統合効果は、これからだ」と述べた
ように、いまだに相乗効果が発揮されない原因をどう分析し、どう打開するのか説明
を求めます。また、経営責任をどう考えているのか、説明を求めます。

2)2009年に定めた、2011年度までの統合後最初の中期経営計画での、売上高
1兆2600億円、営業利益450億円の目標は大きく未達に終りました。
そこで、明治HDは2012年~2014年中期計画を発表し、当初目標を大幅に
引き下げ、売り上げ目標1兆1190億円、営業利益400億に減額しました。
 明治HDは、「20年度までに売上高1兆5000億円、営業利益750億円を達
成する」という長期計画を発表していますが、目標達成の決意と達成へのプロセスの
説明を求めます。

3)3期連続で最高益を更新しているにもかかわらず、なぜ、円安・原材料高などを理
由に連続的に牛乳・乳製品の値上げをしているのですか。消費者感覚を逆なでする値
上げの理由について説明を求めます。また、この連続値上げが、売上高や業績にどの
ように影響しているのか、説明を求めます。

4)明治HDは、3期連続で最高益を更新し株主配当も増加と発表しましたが、4月上
旬をピークに株価は低迷、逆に雪印メグミルクの株価は上昇しています。
 この明治HD株価下落の原因と対策についての説明を求めます。

(2)「統合効果」と海外戦略について
  経営統合時に浅野社長と佐藤社長は、「世界的な食品メーカーに飛躍したいとの希
望が高まる中、あうんの呼吸だった」「両社とも3年で100億円を超えるコスト
ダウンはもちろんやるが、一番重要なことではない、むしろ売上を伸ばし成長路線
でカバーしたい」と抱負を述べました。
しかし、市場関係者の多くは、この統合計画に疑問符をつけ、「統合によるシナ
ジー(相乗)効果が見えないというのだ(PRESIDENT2009年8月17
日号)」と論評。統合後の経営状況を見ると、そのとおりの展開となっています。

1)「結果を出していくのはこれからだ。全体の売上高に占める海外比率の割合が、ま
だ低い」(松尾正彦社長 プレジゼント:14年9月)と述べています。経営統合から6年も経過していますが、なぜ海外事業が赤字ないのか、原因と責任の説明を求めます。

2)広大な中国市場が企業戦略の重要な柱の一つです。雪印メグミルクが中国広東省
で粉ミルクを発売するなか、明治HDは中国から「粉ミルクの撤退」を発表しました。
この差は重大、その原因と経営責任の説明を求めます。
また、「明治乳業(蘇州)有限公司」の、その後の経営状況の報告を求めます。

(3)「海外で投資家向け広報(IR)を実施」との新たな情勢のもとで、海外事業展開の障害となる明治乳業争議の解決への道筋について説明を求めます。

明治HDは、「海外で投資家向け広報(IR)を実施(日経)」すると発表しました。私たちは、明治HDに30年目に入った明治乳業争議を話し合いで解決することを求めています。明治HD以外の他の大企業は、同様の賃金差別争議をすでに解決しています。ところが明治HDは、東京高裁などの三度にもわたる和解提案を頑なに拒否をし、30年もの長期に及ぶ明治乳業争議をいまだに解決していません。
  一方、野村証券は11年にわたる男女差別争議を2004年10月に和解解決しました。
この和解解決にはスウェーデンの社会的責任投資格付け会社が野村証券を投資不適格と判断したことが大きな影響を及ぼしたと話題になりました。
 企業に求められているコーポレート・ガバナンスの目的は、(1)企業不祥事を防ぐということ、(2)企業の収益力を強化することの、2点にあるとされています。
  明治HDがこのような長期労働争議を抱えながら、海外で投資を呼びかけても信用されません。経営統合から6年が経過しますが、いまだに海外事業は赤字です。野村證券や他の大企業に学び長期争議を解決することが求められています。

・労働争議に対する従来の見解である、「司法の判断に待つ」だけでは国際化時代の経
営戦略として問題があると考えます。貴社の国際戦略を踏まえての説明を求めます。

2、牛乳・乳製品の放射能汚染への対応に関する質問
経営基盤を揺るがす食品事故は、2000年の雪印食中毒事件以降32件も発生しています。しかも、明治粉ミルクセシウム汚染事故は、発覚後5日間も隠蔽したことに対し、「隠蔽が
止まらない明治、情報開示に二の足」(東洋経済)と厳しく批判されました。また、この5月
に発生した「明治チーズ髪の毛混入」事故でも、通報後12日間も放置していたことが問題に
なっています。このように、不祥事・不正行為が後を絶たない状況であり、収益が伸び悩んで
いる最大の要因でもあります。特に、食材の放射能汚染問題は、子どもたちの健康と未来に関る長期的に重要な課題であり、食品企業の社会的責任とモラルが厳しく問われています。

1) 増加が心配される放射能汚染による健康被害をどのように受け止めているのですか。
消費者は、基準値に対し「それ以下なら安全」とは判断せずに具体的な汚染数値を知り、
特に子育て中の消費者は安心して商品が選べることを望んでいます。貴社は「基準値以下
の汚染なら健康被害はない」と判断しているのですか、具体的な説明を求めます。

○ 基準値以下でも数値を公表し、消費者の選択権を保障することを改めて提案したいと考え
ますが、経営陣の判断を求めます。

2) 低線量内部被曝から子どもたちを守ることは長期に及ぶ課題です。
原乳の汚染検査をクーラーステーションだけではなく酪農家単位でも行い、学校牛乳や粉ミルクなど乳児用製品の安全性を高めることについて、メーカーとして行政に提起することを提案いたします。経営陣の考え方について説明を求めます。

3、緊迫する「TPP問題」への対策などの質問
  日本乳業協会はこのほど、「TPPに関する乳業界の基本的考え方」を公表し、関税撤廃が国内の乳業市場に与える影響を試算していますが、それによると、国が何も対策を講じないとしたら、
1)国産バター、脱脂粉乳が輸入品に置き換わり、国内工場は操業停止。
2)安価な輸入乳製品を使った乳飲料などの製造で、生乳100%の牛乳、成分調整牛
乳市場の一部がこれに置き換わる。
3)国産ナチュラルチーズの殆どが輸入に置き換わり、北海道のチーズ工場は殆どが操
業停止。
4)そのため、北海道の生乳が飲用市場を席巻し、都府県の酪農・乳業は壊滅的な影響
を受けると予測し、トータルとして市場規模は1兆4889億円まで減少する(2009
年:2兆1785億円:経済産業省による)。このため貿易の自由化、国際化の進展
は日本経済にとって重要な課題と認識したうえで、「食糧安全保障の観点や地域雇用
の確保の観点では、(中略)乳業界としてはTPPへの参加には賛同できない。慎重な
対応を国に求める」としています(詳細は同協会HP )。

・TPP参加に日本乳業協会は「賛同できない」との見解を示していますが、明治HDの
基本的見解とTPPに参加した場合の対策について説明を求めます。

4、旧明治乳業時代からの「負の遺産」、長期労働争議の全面解決を求める質問
 (株)明治の異常企業体質の一つに、1960年代から労働争議が続いていることがあります。
現在、2件の不当労働行為・差別事件が継続していますが、健全な企業として飛躍するためには、差別・人権侵害が容認される企業体質の改善は避けられない課題です。
   明治HD社長が、浅野茂太郎氏から松尾正彦氏に交代して2回目の株主総会となりますが、旧明治乳業時代から半世紀余りも続く異常な労働争議は、「負の遺産」として早期に清算されるべきではないでしょうか。過去の事例でも明白なように、海外事業赤字の理由の一つは、労働争議を解決できない企業は世界に通用しないと言うことです

1)厳しい経営環境を直視するならば、「労働争議を抱えている場合ではない」ことは明らかで
す。経営陣の自らの経営判断によって、他の大企業のように労働争議が解決されるべきだと私たちは考えます。労働争議のさらなる長期化を避けるための、経営陣の説明を求めます。

2)多くの大企業争議は、ほぼ全ての事件が話し合いによる和解解決で終結をし、この種事件
では明治乳業争議が最後に残された大型争議となっています。
30年に及ぶ労働争議の一方の当事者である浅野茂太郎会長も争議団員も70歳代です
が、すでに64名の争議団員のうち12名が他界していることなど、人権上も道義的にも
早期の話し合い解決が切望される争議となっています。
浅野茂太郎会長の争議終結への考えと、その道筋についての説明を求めます。

◎ 上記、「事前質問書」に賛同されている株主は、下記の方々であることを付記いたします。
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