海外のニュースより

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「海賊に対する戦いの中で役割についての論争」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2009年03月07日 | 外交問題
ベルリン発:二つの省が、海賊との戦いにおける役割について争っている。内務省は、外務省に対して、これまで、拘留された海賊の訴追についてドイツと第三国との協定を結ばなかったという理由で、外務省の怠慢を非難している。外務省はこの非難を退けた。
両省でそれと分かる不機嫌の原因となっている対立の背景は、今週、火曜日にドイツの商船「MVクーリエ」を攻撃し、救助に駆けつけた護衛艦「ラインラント・プファルツ」号に逮捕された9人の海賊を巡っている。
 一昨日、同艦上に抑留されている9人逮捕者の取り扱いを巡って管轄を超えた研究委員会は、何の結論も出せなかった。昨日午後、公表された委員会の説明では、「連邦政府は、海賊容疑者達が、刑事裁判を受けるように第三国に引き渡されるかどうか、熱心に検討した。」この決定は、まだされていないけれども、『ヴェルト』紙の入手した情報によると、「ラインラント・プファルツ」号は、アデン湾から公海に出て、モンバサに向かって航行中とのことである。明らかに海賊達は、このケニアの港町で裁判所に引き渡されるはずである。
 内務省と外務省の言い争いに火を付けたのは、ヴォルフガング・ショイブレ内相の報道官であるシュテファン・パリスである。彼は、一昨日、シュタインマイヤー外相に率いられた外務省が海賊引き渡しと裁判に関する二国間協定を第三国との間で先月中に作成しなかったと述べた。欧州連合が2008年9月に連邦内閣で決議された反海賊軍事作戦「アタランタ」に対するこのような規定を取り決めたということが、欧州連合に対して十分に働きかけられなかったと述べた。
 外務省の報道官は、この非難を退けた。第三国協定についての欧州連合とケニア政府との間の取り決めについては、十分に話し合われた。その取り決めは、近日中に、署名される予定である。
 外交筋では、内務省の攻撃について、遺憾の意が表明された。ショイブレ内相の代理は、欧州連合レベルでの話し合いに参加していたが、二国間協定も必要だとは主張しなかったそうである。
 内務省では、フランスと英国は、同様に、このような二国間協定を持っていると主張されている。しかし、そのような協定は、欧州連合との話し合いによって、ドイツにとっては不必要だと外務省は述べている。
 ベルリン政府は、難民申請に対する配慮から、海賊を裁判にかけたくない。確かに、「MVクーリエ」号はドイツの船であるが、それはドイツの国旗を掲げておらず、ドイツ人の船員もいない。それゆえ、「ドイツが刑事訴追する十分な利害関心はない」とパリス報道官は主張した。
 けれども、公海での海賊行為に対して責任を持っているハンブルク検事局は、水曜日に、船舶航行に対する攻撃未遂のかどで容疑者の逮捕状を請求した。
[訳者の感想]海賊を逮捕したのはいいが、そのあとどうするかで、外務省と内務省とがもめています。内務省はドイツで裁判にかけたいのでしょうか。そんなことをすると釈放されたあとで、元海賊がドイツに難民申請する可能性は大きいと思いますが。
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