海外のニュースより

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「家名に泥を塗ったという理由による殺人--判決が理解できない」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2006年04月22日 | 政治と文化
イスタンブール/ベルリン発:「更なる犯罪を招く」とトルコ在住の女性政治家は、いわゆる「家名毀損による殺人」についてのベルリン地方裁判所の判決を評価した。「判決はとても間違っている。このような判決は、女性に対する圧力を強める」とガイェ・エルバトールは言った。エルバトールは、いわゆる「家名毀損による殺人」の問題を議論しているトルコ国会の調査委員会の議長である。「トルコは、この違法行為ともっとよくたたかうために法律を厳しくした」と彼女は、昨年施行された刑法改革を考慮して言った。他の国々もこの改革を行うべきである。
 ベルリン地方裁判所は、殺害されたトルコ女性ハトウン・シュリュキュの一番下の弟が彼女を射殺したのを有罪だと判断した。彼は9年3ヶ月間の刑に処せられた。だが、彼の二人の兄は釈放された。彼らには犯行に加わったということが立証されなかった。殺されたトルコ女性の行状は、家族の気に入らなかったのだ。
 このような「家名に泥を塗ったという理由での殺人」は、注意深く計画されたものだとトルコの女性センターのナイム・カルダシュは報告している。「死刑判決」は、決して個々の犯人によって下されたものではなく、家族会議によって決定されたものである。7ヶ月間の裁判の間、最年少の弟が死刑執行者として選ばれただろうという憶測がなされた。ハンブルグ大学の社会学者ネクラ・ケレクの推測によると、伝統的な家族構造においては、しばしば、刑を軽くするために、最年少者が選ばれる。だが、判決によると、家族がハトウン殺人の計画に加わったかどうかは証明されなかった。
 「緑の党」の政治家ヨゼフ・ヴィンクラーとイルムガルト・シェーヴェ・ゲリクの見解では、「家族会議」の沈黙が問題である。ハトウンの家の「家父長的役割図式」は、解明されなかった。そのために、二人の兄が共犯者であったどうかも証明されなかった。
 トルコの新聞は、9年間の懲役刑は軽いと評価された。アイヤン・シュリュキュ(犯人の名前)は、軽い刑で免れたと大衆紙『サバハ』は述べた。他の新聞は、判決が出た後のシュリュキュ一家の振る舞いを批判した。他の新聞は、犠牲者であるハトウン・シュリュキュのほほ笑んでいる写真を掲載した。もう一つの写真では、アヤンの兄の一人が笑ってVサインをしている。『ヴァタン』紙は、「彼らは恥知らずにも笑っている」とコメントをつけた。
 エッセン市にある「トルコ研究センター」のファルーク・センは、いわゆる家の名誉を傷つけたという理由による殺人に対する刑法上の追求は行われなかったと指摘した。「トルコ人社会は、この犯罪の温床をなくすために、もっと多くの圧力をくわえねばならない。」
[訳者の感想]この後日談として、ドイツ政府がシュリュキュ一家に出している生活保護も打ち切りにし、一家をトルコに送還すべきだという意見が出ています。彼らが住んでいるのは、学校内暴力で問題になったベルリンのノイケルン地区のようです。トルコの新聞が地方裁判所の判決が軽すぎると言っているのが面白いと思いました。親が決めたトルコ在住の見ず知らずのトルコ人と結婚させられたのを嫌ってドイツに逃げ帰ったことを男の兄弟達が「家の名誉を傷つけた」と考えたようです。
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1 コメント

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信じられません。 (kts)
2006-04-23 12:40:51
話には聞いていたけど。
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