海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「米国、北朝鮮と会談」と題する『ニューヨーク・タイムズ』紙の記事。

2005年07月26日 | 北朝鮮問題
7月25日、北京発:アメリカと北朝鮮から来た交渉役は、今日、滅多にない私的会合を行った。これは北朝鮮の核危機について火曜日に開かれる六ヶ国の非武装会談に寄せられた高まる期待と重大な関心を裏書きしている。
クリストファー・ヒル・アメリカ代表は、彼の75分間に及ぶ北朝鮮代表との午後の会合を重要視していない。しかし、ヒル氏が二国間の会談を公的に認めたという事実だけでも、アメリカの新しい態度を示唆している。以前の会談では、アメリカは、北朝鮮とのいかなる私的議論も公的に認めることを拒否していた。
「われわれはただ親しくなり、われわれがどのように事態を見ているかを再吟味し、記録を比べようとしている」とヒルは、北朝鮮との会談に先立って記者団に語った。彼は会合を「ディスカッション」であると言い、実際の交渉は、北京西部の国営のゲストハウスにおける火曜日の形式的会談の開始とともに始まると述べた。
「われわれは非常に一生懸命仕事をして、何らかの進歩をすることを期待している」とヒル氏は付け加えた。
アナリスト達は、この一番新しいラウンドが、2002年10月に始まった核危機以来もっとも重大なものだと考えている。
北京における以前の三回の交渉は、行き詰まった。このラウンドは、北朝鮮が13ヶ月前にアメリカの「敵意」を非難して交渉のテーブルから立ち去って以来の会談である。
結果に対する圧力の強まったことによって、3日あるいは4日間行われた不完全な交渉という以前の形式は放棄される。ヒル氏は、自分は必要なら、北京に1ヶ月滞在するかもしれないと言明した。
最近数ヶ月間、アメリカは、北朝鮮に交渉の席に戻るように説得するためにいくつかの段階を取った。つまり北朝鮮に安全保障を与えること、北朝鮮が主権国家であると認めるという段階を取った。
かって北朝鮮を「悪の枢軸」に含めたブッシュ大統領は、最近ではアメリカは北朝鮮を攻撃しないと述べた。過去には北朝鮮の指導者金正日を見くびっていたブッシュは、最近の演説では彼の名前にミスターをつけて呼んだ。
北京人民大学の国際関係論担当のシ・インホン教授は、「米国は大きな貢献をした」と述べた。
しかし、他の多くのアナリスト達と同様、彼は200万キロワットの電力を供給することで北朝鮮のエネルギー不足を助けるという提案で会談へのきっかけを作った韓国の功績を評価した。
日曜日に北京で会談した韓国と北朝鮮の高官は、朝鮮半島から核兵器を取り除くという原則に同意した。
会談が成功するか、失敗するかは、九月の胡錦涛主席の最初のアメリカ訪問の際の米中関係に影響すると予測されている。
今年初め、中国は、北朝鮮に対する硬直した態度のゆえにアメリカを非難したが、ブッシュ政権は、北朝鮮がテーブルに復帰するように中国がもっと大きな圧力をかけるべきだ中国に注文をつけた。
「中国は、もし何も起こらなければ、アメリカはもっと強硬な路線をとるだろう」とシ氏は言う。
会談が駄目になると北朝鮮が核計画を強化し、それが東アジアに軍拡競争をもたらし、それによって日本が独自の核兵器を開発することを中国政府はもっとも心配していると、シ氏は言った。「それは中国にとっては悪夢だ。」
クリントン大統領の下で国家安全会議のアドバイザーを務めたケネス・リーバーソールは、会談は難しくなるだろうと予測している。一番うまくいっても、北朝鮮の非武装に到るロード・マップを作るための真剣な交渉をどうやってつづけるかについての合意だろう。
リーバーソール氏は、困難の責任はブッシュ政府の以前の強硬路線にあり、それが行き詰まりを生じて、北朝鮮に核計画を拡大する時間を与えたのだと述べた。彼によると、北朝鮮は、3,4年前には原爆一個か二個分の核物資を持っていたが、現在は原爆10個分の核物質を持っている。
「北朝鮮が10個の核兵器か、10個の核兵器のためのプルトニウムを持っている世界は、心配でたまらない」とリーバーソールは言った。
[訳者の感想]拉致問題も重要ですが、やはり、核問題を解決することを第一に考えるべきだと思います。
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