海外のニュースより

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「幸福な爆弾は、われわれにとって、悪いニュースではない」と題する『ガーディアン』紙のコメント

2006年10月18日 | 北朝鮮問題
 北朝鮮の核実験とその第2回実験についての準備の噂は、吹き荒れる冷たい風をアジアに送り込んだ。平壌は、国際的な弾劾の嵐に注意を払っていない。平壌は、国連のギャングばりの制裁を戦争の宣言であると特徴づけた。そしてもし米国あるいは日本が北朝鮮の船舶の臨検を始めるならば、金正日の政権は報復すると予想されている。
だが、少なくともブッシュ政府にとっては、北朝鮮のいわゆる「幸福な爆弾」は、完全に悪いニュースだとは言えない。実験は、「悪者国家」と大量破壊兵器の拡散についての警告を劇的にした。米国の政策が問題を悪化させたにしても。ワシントンの見解では、それは地域的戦略バランスを形成し直す機会を作り出した。
 コンドリーザ・ライス国務長官は、日本・韓国・中国・ロシアへの明らかな開始を求めて主発した。「北東アジアの大国にとって、北朝鮮の振る舞いは、われわれが共有している戦略的利害を明確にした」と彼女は述べた。「この地域のどの国もわれわれの共通の安全保障の重荷と利益とを分け合わなければならない。」ライス女史のメッセージは、特に中国に向けられている。中国は、その新興の超大国という地位が含む責任を引き受けなければならない。ワシントンの立場からすると、それは中国が伝統的な非干渉と非同盟への執着を終わらせることを意味する。北京がその匹敵する者のない影響力を持っている北朝鮮の場合には、それは中国が主導権を握っていることを意味している。
 米国は、北朝鮮の爆発で窓を揺さぶられた日本や韓国との防衛同盟にてこ入れする機会だと見ている。
日本はそれ自身の核兵器を製造すべきだという東京の最近の示唆に反対しながら、ワシントンは、安部晋三首相の新しい政府が日本の軍事的能力を拡大するのを止めようとはしないだろう。
 米国はまた北に対する韓国の「太陽政策」がやりすぎだったという見解を推し進めるのにこの機会を利用するだろう。増大する反米主義にもかかわらず、北朝鮮の好戦性は韓国人が米国との同盟と自分自身の行動を新たに眺めるように促した。「実験がわれわれの参加政策を再考しなけらばならない状況を作り出したというのは本当だ」と盧武鉉大統領は先週述べた。
 にもかかわらず、危機はライス女史やボルトン国連大使が信じているほど戦略的な分水嶺であることを証明しないかもしれない。北朝鮮の攻勢がそれに変化を与えなければ、韓国はそのアプローチを根本的に変更しないだろう。韓国は、平和共存とうまくいけば再統一にコミットしたままである。状況がエスカレートした場合、直接の被害を蒙るのはソウルである。
 中国の観点では、日本の軍事力の再興と日米同盟の強化とは、平壌よりも北京を目標にしている。ロシアと同様、中国は、米国が望んでいる厳格さで制裁を強化するようには見えない。
 「カーネギー基金」のジョシュ・クランチックは、中国が米国のアメと鞭の政策とは重要な点で異なることをするために独自の道を展開していると指摘した。それは最終的にはもっと有効であるかもしれない。ワシントンがテロリズムとの戦闘に焦点を当てていた間、中国は「ソフトパワー」の新たな弁護人として台頭するように外交政策を完全に定位させたとクランチックは言う。その「ソフトパワー」とは、外交的活動と文化的魅力と経済力の組み合わせであって、それが他の国を中国の指導に従うように説得するのである。
[訳者の感想]米国、中国が今回の北朝鮮の核実験を巡って、どのような外交政策を取ろうとしているのか良く分かる論説だと思います。筆者は、『ガーディアン』にしばしば寄稿しているサイモン・ティスダルです。
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