海外のニュースより

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「米国は、力の独占を失うだろう」と題する『ヴェルト』紙の記事

2006年06月04日 | 国際政治
ベルリン発:中国は、アメリカを引き離して、間もなく大国ナンバーワンになるだろう。すべての他の国や組織は、もはやいかなる役割も演じないだろう。これは少なくとも中国人の自己評価であり、そのことをベルテルスマン財団の国際的研究が示している。確かに、回答者は他の国々にも権力の独占を見ているが、すべての人は、権力の移動をアメリカのせいにしている。アメリカ人自身も権力が移動するのはアメリカせいだと考えている。この根拠の一つは、世論調査の結果では軍事的強さの意味の消失である。ドイツ人は、自分たちを役割を異常に現実主義的に評価している。
 EMNID研究所は、ベルテルスマン財団の委託で、ブラジル、中国、ドイツ、フランス、英国、インド、日本、ロシア、米国で、1万人を対象として世論調査を行った。目につくのは、人々が明らかに増大する国際的な絡み合いを意識しているが、諸問題の解決は国民的な次元で見ているということである。「そこで国連が運命を操っているすべてに共通の課題は、単に手がかりとしてしか際だっていない」とベルテルスマン財団のプロジェクト・マネージャーであるシュテファニ・ヴァイスは言う。これらの見方は、特に民族的(国民的)であり、自分自身の経験、強さや弱さによって形成されている。そういうわけで、テロリズムは、9つの国すべてで、最大の挑戦であると見なされており、それに貧困と気候変動が続いている。例えば、ロシア国民は、他のすべての国民よりもはっきりと戦争を恐れている。多分、その背景には、チェチェン紛争がある。ブラジルや日本では原理主義は僅かの人々によってしか知覚されていないのに、フランス人は、明らかに彼らの国における暴動に過度に敏感になっている。
 軍備に何十億も費やすのは、回答者の意見では、殆ど国際的重要さには貢献しない。大国の持つべき8つの条件の内、「軍事力」は、第七位に置かれている。この判定の原因は、イラクにおける米国の問題である。軍備拡張の二大勢力である米国と中国は、彼らの軍隊に強さの前提を見ている。この世論調査によると経済力、政治的安定性、研究と教育、資源の豊かさ、グローバルな秩序機能を引き受けること、他国のモデルとなる性格のほうがもっと重要である。
 ドイツ人は、他の国民よりも、多国籍組織や国際的組織に重きを置いている。欧州連合に対しては、確かに総じて未来にとって、ロシアや英国に対してよりもより大きな役割が期待されている。だが、この全体像は、4分の3以上の人が欧州連合を将来の世界権力だと見ているドイツでの世論調査に結果によって生じた。同様に他の国の回答者とは大きな距離をおいて、ドイツ人は、国連を世界政治において支配的である見ている。米国やラテンアメリカやアジアでは、欧州連合と国連とはより下の位置に置かれている。
[訳者の感想]イラク戦争が国連を無視して行われたために、また国連が現状では余り頼りにならないという印象を与えるために、日本でも評価が下がったように思います。しかし、もう一度国連の評価をしなければならないでしょう。安保理の常任理事国になれないから国連の評価を下げるというのは、ちょっと手前勝手ではないかと私は思います。
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2 コメント

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国連改革 (kts)
2006-06-05 10:33:40
常任理自国なんかじゃなくていいですけど、

改革が進まなければ、愛想を尽かされるとは思います。
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コメント有り難うございました。 (medicus19)
2006-06-05 17:03:11
政府が常任理事会の席を欲しいと考える理由は何か私には良く分かりません。常任理事会に加わることで国連を改革できると言うのであれば、どう変えようとしているのかを説明する必要があるだろうと思っています。今のように対米追従外交ばかりが目立つようでは、日本にどのような国連外交があるのか分からぬという反論も一理あると思います。
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