海外のニュースより

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「イスラム民兵、ソマリアにおける軍閥支配を終わらせる」と題する『ガーディアン』紙の記事。

2006年06月06日 | 国際政治
ナイロビ発:米国によってバックアップされていた思われている軍閥の連合を敗走させた後、イスラム系民兵が首都モガディシウを制圧した。ラジオによる呼びかけで、連合イスラム法廷同盟の議長であるシェイク・シャリフ・アーメッドは、15年間の軍閥支配が終わったことを宣言した。「われわれはモガディシウにおける平和と安定を回復したい。わが国民の利害のために、われわれは誰とでも会う用意がある」と彼は述べた。
西欧に対するしているとか、アルカイダと結びついているという非難の応酬をしている二つの重武装した集団の激しい衝突は、今年、ソマリアの首都で350人の人命を奪った。最も多くの死者は、迫撃砲弾と飛行機による銃撃で殺された民間人であった。
1991年にモハメド・シアド・バレが倒されて以来、ソマリアは、有効な政府を持たなかった。国内およびモガディシウでは軍閥が力で支配し、港湾、道路、空港を支配下において、莫大な富を蓄積した。国民的権威目指す試みはすべて失敗した。
戦闘の終結は、モガディシウの住民に安心をもたらしているが、それは政府にとっては挑戦である。政府は、軍閥連合とイスラム法廷の両者の対立のせいで首都に定住することができなかった。
明らかな和解の動きで、政府は日曜日、反テロ連合と連携している4人の閣僚を解任した。だが、アナリスト達は、シェイク・アーメドと同席することは困難であることが分かるだろうと言う。
原理主義者を抑圧したタフマンとして名を成した元軍閥のアブドライ・ユスフ大統領は、
イスラム国家を作ることに断固反対した。「いまや問題は、政府と法廷とが話し合いをするか、それとも互いに対決するかということだ」と「アフリカの角」(ソマリアの別名)
のアナリストは言う。
 二月には、世俗的な軍閥の集団が、4人の閣僚とともにイスラム法廷同盟の増大する権威に対する防波堤として「平和の回復と反テロのための連合」を形成した。
部族の正義を省略する手段として、創設された「イスラム法廷同盟」は、近年、モガディシウでは人気が増大した。その厳格な態度によってではなく、いくらかの秩序感覚によって。だが、法廷のヒエラルキーの中に疑わしいジハードが現前していることは特にワシントンでは「ソマリアのタリバン化」が忍び寄っているという理由で恐れられている。
米国は、ジブティに基地を置いて反テロ主義を通じて多数の世俗的軍閥を経済的に支援し、見返りに疑わしいアルカイダを引き渡したり、彼らの動きについての情報を得てきたてきたと理解されている。
「これはアメリカの代理人による反テロ主義戦略にとっては大変な敗北である」と「アフリカの角」のアナリストは言う。米国は、報道を確認したり否定したりすることを拒否した。「それはまたソマリア政治における地すべり的な変化を現している。何十年かで初めて、ある種の行政を形成する新しい政治集団ができたのだ。」
[訳者の感想]ソマリアにイスラム原理主義的な政府ができるということは、イラクで手一杯のアメリカにとって大きな打撃でしょう。しかし、軍閥は民衆の心を捉えることはできず、秩序も回復する能力はなかったのだと思われます。アメリカが次にどういう態度に出るか大いに注意が必要だと思います。
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