海外のニュースより

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「日本政府は、北朝鮮のミサイル発射を冷静に受け止める」と題する『ヴェルト』紙の5月3日の記事。

2005年05月03日 | 国際政治
北朝鮮は、明らかに短距離ミサイルを日本海に向けて発射した。隣国の日本と韓国は、--平壌の脅しに最も関わりがあるのだが、--動揺した様子はない。日本と韓国は、昨日、ミサイルを意識的に軽視した。日本の官房長官は、「このようなテストは、時々行われている。射程100キロのミサイルは、日本にとっては危険ではない」と述べた。「このようなミサイルが核弾頭をつけているかもしれないということは、ありそうにない。このミサイル発射テストは、実際の核問題とは全く関係がないと、彼は述べた。
 この点に問題がある。平壌の問題になっている核計画を巡る北朝鮮とアメリカとの間の争いは、先鋭化している。隣接諸国は、憂慮している。言葉はますます激しくなり、刀をガチャつかせる音がますます大きくなっている。ワシントンは、先週末、ある報告を公表したが、それによれば、北朝鮮は、6月にも地下の核実験を行う予定である。来月には両国の間の対決が行われるだろう。
平壌は、ブッシュ政府が北朝鮮の要求を呑まないならば、今後三ヶ月以内に燃料棒を取り外し、核兵器の製造をするだろうと告知した。これに対して、ワシントンからは、昨年六月に開催された六ヶ国会議が一年後に開かれない場合には、北鮮のどたばた劇に対するアメリカの堪忍袋の緒が切れるだろうという声が聞こえる。核戦力のデモンストレーションは、確かに、後戻りの効かない一歩であるだろう。金正日総書記は、もはやアメリカの譲歩を望むことはできないだろう。アメリカは、当然、北朝鮮に対してもっと厳しい処置をとることができよう。
核実験は、金正日政権がこれまで貫いてきた戦略的な両義性、つまり脅迫的態度と外交的な乞食行為を壊してしまうだろう。明白さが欠けていたので、隣国はこれまで北朝鮮を公式に核保有国だと宣言することを避けてきた。そして、それに対応する帰結を引き出すことを避けてきた。東アジアの安定性を極度に危険にする帰結を避けてきた。
 そういうわけで、北京とソウルと東京は、火に油を注ぐ代わりに、話し合いをしようとしてきた。北京のバランス外交は特に困難であった。アメリカによって主要な仲介者に選ばれたので、中国政府は、北朝鮮を確かに抑制しようとしているが、隣国における混乱と避難民の流入と政権の崩壊に対する恐れから、余りに大きな圧力を加えることを避けてきた。韓国も接近と兄弟国をなだめる試みの政策に賭けている。
しかし、アメリカは、北朝鮮の策略にうんざりしている。アメリカは、この議題を国連総会にかけようとしている。だが、中国と韓国はそれは避けたい。なぜなら、その場合には彼らは立場を明確にしなければならないだろう。既に一度、国連の原子エネルギー査察委員会が2003年2月に北朝鮮の件を常任理事会にかけようとした際に、中国の抵抗で失敗したからである。
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