海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「中国、パキスタンとインドの間で絶妙のバランスをとる」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2006年11月25日 | 中国の政治・経済・社会
ベルリン発:古い友人を頼るのが一番良いと昨日、胡錦涛主席は考えたかもしれない。と言うわけは、彼のインド訪問の経過は良くても「政治的に正確」と言えるかもしれないのに、彼は中国の古い同盟国であるパキスタンからあらゆる名誉を浴びせられたからである。木曜日には、ムシャラフ大統領とシャウカル・アジズ首相を含むパキスタン政府の閣僚の半分が彼を空港に出迎えた。金曜日の晩には、胡錦涛が演説をし、それはパキスタンのテレビによって生中継された。これまで、このような待遇を受けたのは、2000年にパキスタンを訪問したクリントン大統領だけである。
イスラマバードで、胡錦涛とムシャラフとは、自由貿易協定に調印した。来る五年間に、両国の通商は、現在の42億ドルから三倍になるはずである。両国は、17項目の協定を結んだが、その中には、初期警戒システムの開発における協力も含まれている。さらに中国は、原子力発電所の建設についてパキスタンを援助する予定である。中国の国営通信社新華社の報道によると、中国はパキスタンに発電のために六基の反応炉を売る予定である。もっとも、これまでは、米国とインドとが結んだような核条約については触れられていない。「われわれはパキスタンとわれわれとのパートナナー関係を新たなレベルに高めたい」と胡錦涛は、パキスタンのテレビでのべた。
パキスタンは、冷戦以来中国の密接な同盟国である。インドはそれに対してソビエト連邦に結びついていた。中国は、パキスタンのロケットと核武装計画を支持し、通常兵器の重要な供給者である。中国の援助を受けて、1999年には、東パキスタンに原子力発電所が建設された。4月には、両国は、更なる原子力発電所を建設することで一致した。450名の中国人技術者は、ベルチスタン州にグワダルの港湾を建設するのを援助している。北京が主な費用を負担している。グワダル港は、ペルシャ湾と石油輸送のための足がかりを中国に保証するはずである。
多くのインド人のアナリストにとっては、中国とパキスタンとの戦術的パートナー関係は、北京がライバルのインドとの和解を真剣に考えていない証拠である。「中国はインドを戦略上の脅威と見なしており、パキスタンを戦術上の衛星国に仕立て上げている」と政治顧問のスバシュ・カピラは言う。インド人の解説者は、中国はインドにとって不倶戴天の敵であるパキスタンに味方しないで、南アジアの平和と安定を望んでいるという胡錦涛の断言を「空虚な言葉」であると述べている。
インド首相のマンモハン・シンは、胡錦涛を空港に出迎えることを必要だとは見なさなかった。両国は、国境紛争を解決することができなかった。胡錦涛の訪問の前に、中国の駐インド大使は、インド北部のアルナチャル・プラデシュに対する中国の要求を強調することによってインド人の気分を害した。確かに両国は、2010年までに貿易を二倍に増やすことで一致したが、自由貿易は成立しなかった。なぜならば、インドの企業家達は、中国の安価な商品との競争を恐れているからである。その際、密接な協力の可能性は巨大である。現在、既に、この最大の人口をもつ二つの国の間の貿易は、中国とパキスタンとの間の商取引の五倍に達している。
[訳者の感想]中国とパキスタン、中国とインドとの経済的政治的関係が良く分かる記事だと思います。
コメント
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