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在スリランカ大使に聞く 国際協力のすすめ

2013-06-14 22:02:21 | 講演・講義・フォーラム等
 在スリランカ大使の粗(ほぼ)信二氏は云う。日本が世界で生き残っていくには、①イノベーション、②差別化、③グローバル化がキーワードだと…。 

          
          ※ 講演会が開催された会場の北大百年記念会館です。

 6月10日(月)午後、北大百年記念会館において在スリランカ大使講演会が開催され参加し、耳を傾けた。演題は「激動する世界と日本 ~ 国際協力のすすめ~ 」と題して北大の卒業生であり、現在のスリランカ大使である粗信二氏が講師を務められた。

 スリランカは私にとって全く無縁の国ではない。その昔、学生時代に海外を彷徨して歩き、インドのボンベイ(現在のムンバイ)から日本へ向けた船旅で一泊だけだったが当時セイロンと呼ばれていたスリランカに立ち寄ったことがあるのだ。当時のセイロンついては微かな印象しか残っていないが、インドに比べて穏やかな国という印象だったように記憶している。

 粗氏の話であるが、短い時間の中で多くのことを伝えたいという思いがあったようで、私の記録もなかなか付いていくことができなかったが、印象的なことを記しておくことにする。
 まず粗氏は世界経済のグローバル化が本格化したのはソ連崩壊後の1991年だと規定した。このことは多くの識者の一致するところである。このグローバル化の進展によって現在生起されているさまざまな世界的な問題が顕在化し、その中に当然日本も巻き込まれ現在のような状況が生まれているという。
 
 そのような中で、21世紀は「アジアの世紀」とも称され、経済成長の重心がアジア地域にシフトしてきているとした。この認識も多くの識者が指摘するところであるが、粗氏はさらにアジアの中でも特にインドを含めたインド東側が注目の地域であるとした。
 それらの地域は人口増加地域であり、インド洋を中心としたサプライチェーンも形成されつつあるとその兆候を語った。

          
          ※ 講演をする粗(ほぼ)信二在スリランカ大使です。

 また粗氏はJACAに在籍していた経験もあり、こうした可能性のある国々に対するODAが大変効力を発揮することについても語った。特に一時危機に陥ったインドネシア、バングラディシュなどがODAによって国を立て直した例をあげた。
 
 そして発展途上国と言われる国々の経済が発展するためには次の三つが欠かせないとした。それは、①公正な選挙、②地方分権、③格差是正、が実現して政治的社会的安定が確保されることが重要であると指摘した。

 このような背景の中、最初に紹介した日本が世界で生き残っていくため三要件を示したのだが、ここで最近とみにその存在感を増してきている中国と日本の国際援助の違いについて述べた。
 日本には中国と比較して圧倒的な技術力があると云う。さらに日本の国際援助は指導者だけを日本から派遣し、現地で人を育てようとしているのに対して、中国の国際援助は全てを自国民で賄おうとする国際援助である。つまり、日本の国際援助は人と人の繋がりを大切にしていて、必ずや相手国から信頼を得て、そのことが将来に繋がるであろうと強調された。

 こうした中、氏が赴任しているスリランカは発展するインド洋地域に属し、政治的にも安定し、ポテンシャルの高い国であると…。そのスリランカと日本の関係強化に努めたいと話を結んだ。

 常に世界的視野に立ちながら仕事してきた粗氏の話は論理性に富み、歯切れが良く聞いていても心地良かった。もちろんこうした見立てにはその立場、考え方によって異論反論は当然のように存在すると思われるが、日本の可能性を信じながら職務を遂行している大使の話を聞く機会を得たことは無駄ではなかったと思っている。

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