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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

冬の石狩川河岸を遡る 32(最終章)

2019-02-13 16:49:14 | 冬の石狩川河岸遡行スノーシュートレッキング

 大函 ⇒ 大雪ダム  トレッキング期日 ‘19/02/09

 「銀河トンネル」の部分をパスしたことで、この日のスタート地点の大函の駐車場から目的地の「大雪ダム」はそう遠くはなかった。しかし、石狩川の最上流部は簡単に私を近づけてはくれなかった。最終日はスリリングにとんだトレッキングとなった。

  ライブレポでも伝えたがこの日(2月9日)、道内は強烈な寒波に見舞われ、大函に向かう私の車載温度計はマイナス27度を示していた。この表示を見た私の気持ちはすっかり萎えてしまった。そんな寒気の中での野外活動は無理じゃないかと…。

 ところが不思議なことに山間に進むにつれて気温は上昇(?)し、大函付近ではマイナス19度になっていた。 

 一度萎えた気持ちを立て直すのに時間がかかったが、意を決めて車外に飛び出した。寒気が頬をピリッと刺激したが、寒さは疲労した気持ちを忘れさせてくれる効果もあるような気がした。

          

          ※ 大寒波が襲来した朝、日の出直後の「大函」です。

 大函のところから直ぐに石狩川の河岸に向かった。すると、地形図上では「本流ダム」と記されているが、川の流れを堰き止める施設があり、一帯はちょっとした湖のような様相を呈していた。そのため河岸を少し行くと、やがて水辺が国道近くまで迫り、私は国道の方へ追いやられるような形になった。しかし、私は国道には降りたくなかった。目を遠くに移すと、灌木の林が見えたので国道から急角度に落ちる斜面を慎重に渡っていった。一歩間違えると水辺(といっても凍っているが)に落ちかねないので、一歩一歩スノーシューを蹴るようにして雪面に足の置き場を確保しながら進んだ。

           

          ※ 大函のからすぐ上流では石狩川が堰き止められ、小さな湖を造っていました。

          

          ※ 堰き止められた石狩川は、ご覧のように広い流れ?(水溜まり?)となっていました。

          

        ※ 広くなった石狩川は、道路ギリギリまで迫り、右下には氷が気味悪く顔を出しています。

          

         ※ 道路と石狩川の間の狭いところを私が通った跡です。もし、足を踏み外したら…。

 この「本流ダム」で水を溜めるのは、どうやら下流にある「層雲峡発電所」に送る水を確保するためらしい。その取水口を確認することができた。小さな湖の辺りはまだ進むのがそれほど困難ではなかった。

          

          ※ 写真の奥に「層雲峡発電所」の取水口が見えます。

 やがて、石狩川はふたたび上流らしい細い川の流れになった。水の流れはけっこう勢いがあるように見えた。

          

          ※ ようやくこれまでと同じような河岸になったと思ったのですが…。

           

          ※ 元の細い流れになった石狩川が顔をみせました。

 そこからは細い川の流れに沿って上流へと向かったのだが、やがて掘割というよりはもっと大きな流れが目の前に現れた。右側は本流の流れが、目の前にはもう一つの流れが…。

          

       ※ 写真の奥では、石狩川が二手に分かれています。その後の流れは4分、5分していました。

 行き場を失った私はもう一つの流れが途切れそうなるところまで後退せざるをえなかった。流れに雪が被っていて何とか渡れそうなところが見つかると、慎重にそこを渡り前へ進んだ。

          

          ※ 写真のよう複雑な地形となり、前へ進むことが困難となりました。

 そうしたことが2度、3度と続いた。やはり最上流部が近づいてくると水の流れも複雑になってきたようだ。

 私の感覚の中ではかなりダムに近づいたのではないかと思われたころ、ついに支流の流れが崖のすぐ横を流れる状況になってしまった。逃げ場がない。先を見ても同じような状況が続いていそうだった。

 ここで私は観念した。これ以上河岸を歩くことは困難であろうと…。

          

          ※ やがて私はこのような斜面に押し付けられる形となりました。 

          

          ※ 頭上にある取り付け道路を目ざして、この斜面を四苦八苦して上りました。

 頭上には道路が走っている。そこまでよじ登らねばならない。素人目にはその崖の斜度は45度を超えているように思えた。ようやく雪が張り付いている感じである。私はジグを切りながら慎重に上り始めた。一歩間違って転んだりすると、そのまま川面まで転落してしまう。悪戦苦闘、どのくらいの時間を要したのだろうか?ようやく道路へ出ることができた。

 ところがその道路の交通量がとても少ないような気がした。というより、除雪はしっかりされているのに車がまったく通らないのだ。「おかしいな?」と思いながらダム方向を目ざした。ほどなくして先方から一台の車が走ってきた。私は手を挙げて「この道路はどこへ通じているのか?」と聞こうとしたら、先方から「ここは北電の所有地なので、退去してほしい」と注意を受けた。えーっ?私は知らず知らずのうちに立入禁止区域に入っていたらしい。

 私が歩いていた道路は、どうやら北電の取り付け道路らしかった。私は来た道路を反対に歩いて国道に向かった。

          

          ※ 私はこの取り付け道路の奥の方の斜面を上って道路に出たのでした。(左上が国道です)

 ようやく国道に出て、スマホのGPSで現在地を確認したら、「大雪ダム」まではまだ残り1キロ前後あった。 

 ここからはひたすら国道上を「大雪ダム」へ向けて歩を進めるのみだった。国道を歩くこと30分、午前9時40分。私はとうとう「大雪ダム」に到達した!

          

          ※ トンネルは北見方面、手前から右手に曲がるとダムを通り、帯広方面に抜けます。

 「大雪ダム」は「豊平峡ダム」のようなアーチ型をしたダムではなく、ロックフィル型ダムといって、岩石を積み上げて水を堰き止める方式のダムだったことを、その形状を見て思い出した。ダムの下には「北電 大雪発電所」の建物があり、先述の取り付け道路はそこまで伸びているようだった。

          

          ※ ロックフィルダム方式の「大雪ダム」の躯体です。

          

          ※ ダムの下には「大雪発電所」の施設がありました。取付道路はここに通じていたようです。

 反対側のダム湖はもちろん氷結していて一面真っ白だった。そこから「大雪ダム到達!」のライブレポを発信したが、素手ではかなり堪える寒さだった。

          

          ※ 2枚の写真は、ダムの反対側、通称「大雪湖」と呼ばれているようです。

          

 石狩川河口から32日間かけて到達した「大雪ダム」だったが、あまりの寒さに感激もどこへやら、そそくさとダムを後にして、本日のスタート地点の大函の駐車場に向かった。             

 スタート地点から「大雪ダム」に到達するまで要した時間が2時間30分だったのに対して、国道を下った復路はわずか1時間程度だった。スノーシューで河岸を往くことがいかに時間の掛かることかを如述に示すデータではないだろうか?

 帰路、前日は雪に隠れて見えなかった「流星の滝」、その横にある「銀河の滝」を写真に写し、さらにはライブレポでも触れたとおり「層雲峡ビジターセンター」に寄って情報を収集した後、一路札幌を目ざした。

               

               ※ 「流星の滝」が氷結した様子です。

               

               ※ すぐ隣にある「銀河の滝」です。クライマーが二人登っていました。

           

          ※ 「層雲峡ビジターセンター」の正面です。

 かくして年老いたオヤジのちょっとした冒険は完結したのだが、明日はこの「冬の石狩川河岸を遡る」全体を振り返ってみることにしたい。 

※ この日の歩数 16,661歩 距離 11.6km(前半の行きはスノーシュー、帰りは国道上をツボ足の歩数)



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2 コメント

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今晩は (マレさん)
2019-02-13 20:25:06
初志貫徹おめでとうございます。
信じられないくらいの難行苦行、文字通り修行の域ですね。更に一回り人間も大きくなられたのではないでしょうか。厳寒の中での歩行、撮影・・・感服です。
マレさんへ (田舎おじさん)
2019-02-14 11:06:29
 コメントありがとうございます。
 ご指摘いただいた“修行”などとは思っておりません。確かに簡単なことではありませんでしたが、私にとっては心楽しい日々だったと振り返っています。
 まずは、設定した区間の状況がどうなっているのか?そこに至る交通機関はどうするか?宿は取るべきか、それとも日帰りすべきか?などいった事前の計画を立てる楽しみがありました。

 そして実際に石狩川の河岸に立った時、立ちはだかった倒木を前にどのように進もうか?あるいは、どこかに掘割が潜んでいるのではないか?厳寒の中での行動の要諦は?等々、常に問題解決を求められる中で、自分なりに考え、自分なりに解決策を見い出しながらのトレッキングはけっこう楽しい作業でした。

 そうしたことを繰り返しながら、確実に前へ進んでいることを実感できることがこのトレッキングの楽しみでした。

 ともかく歳が歳ですから、安全第一を心がけながら、なんとか当初目的を果たすことができたことに、今は心から安堵しています。

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