プロ棋士の経歴を持つ投資家・桐谷広人氏は「シニアこそ株主優待のある株に分散投資すべき」と主張する。自らも株主優待制を活用し、リタイア後の生活を謳歌しているという。飄々とした話しぶりの桐谷氏のお話を聴いた。
11月25・26日の日程でロイトン札幌において「道新みんなの終活フェア」が開催された。(同日程で「道新資産運用フェア」も同時開催されていた)
私は昨年に引き続き、フェアの参加を申し込んだ。その内容は、11月25日が「若々しい高齢者が実践しているたった一つのこと」、特別講演「シニアのための株主優待生活」を、翌日26日は「じん臓を守って元気に生きる」、特別講演「介護は突然やってくる。その日のために」、以上4講座を申し込んだところ、幸いにも全講座の参加が許された。そこで二日間にわたって、その様子をレポートすることにする。
最初に受講した「若々しい高齢者が実践しているたった一つのこと」は、コスモスイニシアという不動産売買の会社の協賛セミナーということで多分に我田引水的なところがあったが、「高齢者は同年代の人たちが多く住む集合住宅(いわゆる高齢者向けマンションなど)に住み、多くの同年代の方々と交流し、楽しく老後を過ごすべきである、という趣旨のお話だった。説得力のあるお話で、将来の選択肢としては参考になったお話だった。
続いて特別講演の「シニアのための株主優待生活」であるが、この講演は「終活フェア」、「資産運用フェア」参加者共通の講演として設定されたものだった。
講師の桐谷広人氏はザックを背負い、非常にラフな格好で演壇に現れた。桐谷氏は免許証を所有しておらず、株主優待の特典を消化する目的のために自転車を移動手段としているそうだが、そのままの姿・格好で演壇に登場したようだ。
桐谷氏は自らの株主優待生活ばかりでなく、株式取引でも失敗談も含めて飄々と語った。
桐谷氏が株の世界に入ったきっかけは証券会社の将棋部の指導をしていたことが契機だそうだ。最初は株主優待株だけを購入していたのだが、徐々に株の売買にまで手を広げ、一時は億を超える資産を手にしたものの、信用取引が裏目に出て資産の大半を失うという体験もしたそうだ。
それからは信用取引には手を出さないようにして、もっぱら株主優待株専門に投資するようになったという。そうした現在は、株主優待で得た商品券、お食事券などを巧みに利用し生活しているとして、実際にザックから多数の商品券、お食事券などを出して見せて、有効期限別に整理して活用していると語った。
そして株に未体験なシニアに対して、まずは20万円くらいを用意して、株主優待制度を採用している会社株を5社くらいに分散投資すべきだと説いた。桐谷氏は「株主優待制度」は日本独自の制度だとも話されていた。
お話を聴いていて、桐谷氏の話がとても魅力的に聴こえてきた。ちょっと気持ちがグラついたところもある。しかし、お聴きするのが遅かったぁ。私の年齢が年齢である。今さら、という思いが強い。話は話として聴いておこうと思った桐谷氏の魅力ある(?)お話だった。