田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 155 MAZE マゼ~ 南風~

2016-02-25 16:33:45 | 映画観賞・感想

 高知県の漁村を舞台にして、無骨だが温かい人情や家族の絆と和解、少年のトラウマの克服と成長などを描いた映画であるが、ベテラン俳優蟹江敬三の確かな演技も加わって見応えのある佳作に仕上がった映画である。 

                  

 何か月かぶりに「ちえりあ映画会」に顔を出してみた。
 「ちえりあ映画会」は、札幌市生涯学習センター(通称:ちえりあ)が平日の午前に無料で映画上映をするという、シニア対象の事業である。
 その「ちえりあ映画会」が2月23日(火)午前、ちえりあホールを会場に行われた。
 そこで取り上げられた映画が「MAZE マゼ~南風~」であった。

 「MAZE マゼ~南風~」について、ネットで検索してみると、ちえりあ映画会にしては珍しく(?)ストリー性のある、楽しめる映画かな、と思われたので参加を決めた。
 会場に着いてみると、私と同じようなシニアがわんさかと詰めかけていた。

            
            ※ 港の場面のメイキング画像では?と思われる一枚です。

 映画を観終わった後、率直に「いい映画を観たなぁ」という思いが私の中に残った。
 それは、近年の日本では親子の絆を断絶するような事例が日常的にニュースとして流れ、まるで親子や人間の愛、友情といった大切なものが失われていったのだろうか、と疑いたくなる世相である。そんな中、本作では無骨な漁師である祖父とやむを得ず暮らすことなった少年との日々や少年が転入した学校での級友との触れ合いを描きながら、人間愛や友情という、私たちにとって大切なものを思い起こさせてくれたからである。

 今は亡き主演の蟹江敬三が何と云ってもいい味を出していた!まさに無骨な漁師・弦次郎を地でいっている感がある。彼の表情、仕草、セリフ、全てが無骨な漁師・弦次郎そのものであった。勘当した娘のことを、実は心配していたり、その娘の忘れ形見の孫につらく当たりながらも心の底では可愛がっていたり…。そんな弦次郎を違和感なく演じていた。

 一方、少年役の大沼健太郎君は見方が分かれるだろう。私は辛い見方かもしれないが、子どもの演技から抜け切れていないとみた。最近のテレビなどでの子役たちの芸達者と比べると、残念ながら一つ一つの演技に幼さが残っているように思えた。
 監督(岡田圭)の映画全体の演出には、観客を感動させる腕があると見たが、子役の演技指導はイマイチと云えるのではないか。

 映画はそのほとんどを高知県香味郡夜須町手結港を中心に、高知県下でロケして、2005年に制作されたそうだ。今見てもまったく古さを感じさせない。現代の殺伐とした世相の中で、このような映画にもっと光があたっていいのでは、と思えた映画だった。

            
            ※ ロケの中心となった高知県香味郡夜須町手結港の様子です。

 マゼ(MAZE)とは、諸説あるようだが、高知地方の漁師が南から吹く風のことを云い、この風が吹くと気象が変わるということのようだ、実際に映画の中でも「マゼが吹いたから漁を止めて帰港しよう」という場面で使われていた。