田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

オリンピックの影響力を考える

2015-11-17 16:13:05 | 大学公開講座
 オリンピックは世界同時生中継されるビックイベントとして、単なるスポーツイベントの枠を超え、社会的にも大きな影響を与えるコンテンツとなった。2020年の東京オリンピックを前に、その影響について考える講座だった。 

 平成27年度の札幌大学公開講座として、「オリンピック・パラリンピックから考える~文化・生きる力・マネジメント~」という4回講座が開催されると札幌大学から連絡があった。生憎私はうち2回は会議がバッティングしていたのだが、問い合わせたところ2回だけでも出席可との回答をいただいたので、第1回目に出席した。

 11月11日(水)午後、札幌大学において「オリンピック・パラリンピックから見える社会の変容」と題して、札幌大学の瀧本誠樹教授が講義した。

               
               ※ 講義をする瀧本教授です。

 オリンピックが世界に与える影響力、それを最初に利用したのが1936年のベルリンオリンピックがナチス・ヒトラーの宣伝に利用されたのは有名な話である。以来、オリンピックはしばしば政治に翻弄されてきたことは誰もが記憶するところである。
 最近では2014年のソチ冬季オリンピックにおいて、ロシアの人権問題などを非難し、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなど西欧主要国の首脳が開会式の参加を拒否した。(日本の安倍首相は出席)
 また、ソチパラリンピックにおいては、ウクライナ選手団がロシアへの抗議の意味を込め、表彰台でメダルを隠すようなパフォーマンスもみられるなど、オリンピック・パラリンピックが政治的プロパガンダに利用されることがあった。

 一方でオリンピックはその影響力の高さから、国力を世界に誇示する場ともなる。そのため開催国は、競技会場はもちろんのこと、インフラ整備に莫大な予算が投じることが繰り返されてきた。
 前回の東京オリンピックで東京の街が劇的に変容したことは有名であるし、1972年の札幌冬季オリンピックでも、札幌の街は地下鉄の運行をはじめ周辺道路の整備が一気に進められた。
 2014年のソチ冬季オリンピックも、莫大な経費をかけて雪がほとんど降らないようなロシアの保養地ソチに冬季オリンピックの舞台を築き上げてしまった。

               
               ※ ソチに造られたオリンピック施設群です。

 莫大な経費をかけたことが、その後に良い影響を与えるのなら、それはそれで意義のあることである。最近流行語のように語られる「オリンピックレガシー」である。
 しかし、豪華な施設を造ったものの、その後の活用が図られずに、国の負担だけが重くのしかかる、いわゆる「負のオリンピックレガシー」が問題ともなっている。

 また、冬季オリンピックは広大な自然が競技会場となるため、自然保護や環境問題との関連も難しい。札幌冬季オリンピックのときは、適当な滑降コースがなかったために、冬季オリンピックだけのために恵庭岳の森林を切り拓いてコースを造成したが、現代ではとても許されることではないだろう。

                    
                    ※ 札幌オリンピック時に造られた恵庭岳滑降コースです。

 すでに決定した2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2026年の冬季オリンピックの開催地に立候補を検討している札幌市。ともにその影響力の大きさからあらゆる面に配慮しながら開催に向けての準備を進めることが求められている。
 なあ~んだか、つまらない結論になってしまった。札幌市は果たして正式に立候補を表明するのだろうか?