ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

埼玉県川越市の伊佐沼では、カイツブリの幼鳥が元気に泳いでいます

2015年06月12日 | 季節の移ろい
 埼玉県川越市大字伊佐沼にある農業用溜池の伊佐沼は、現在は、満杯の水をためています。周囲の水田などに農業用水を豊富に供給するためです。

 伊佐沼の北側に設けられたハス田では、ハスが葉を茂らせています。だいぶ成長していますが、ハスの花の蕾は、まだ水面には出てきていません。



 このハス田の近くの水面では、カイツブリの産まれたばかりの幼鳥が数羽、水面を泳いでいます。





 身体がまだ小さいカイツブリの幼鳥は、数分ごとに水中に潜って、エサを必死に探しています。



 潜っていて、水面に浮上したところです。時々、鳴き声を上げます。

 ハス田の茂みの中に、カイツブリの巣(浮き巣)がないかを探しましたが、見つかりませんでした。

 伊佐沼の東側の岸辺には、水辺に草などが生えています。その中に、キショウブ(黄菖蒲)が点々と育っていて、花を咲かせています。



 このキショウブが育っている岸辺の近くでは、野鳥愛好家の方々が数人、チドリ目カモメ科のコアジサシの登場をひたすら待っています。早朝に1回、飛来したそうです。

 伊佐沼の岸辺近くには、トンボが飛んでいます。水辺近くのあちこちの植物の上に、トンボが留まっています。



 ヤマサナエかルリボシヤンマ、オニヤンマではないかと推定しています(トンボの種類の同定は難しいのです。実は種類をよく同定できません。オニヤンマにしては、やや小さい気がします)。
 
 どのトンボも、尾が巻いています。これは生殖のためなのでしょうか?

 伊佐沼の周辺にあるムギ畑では、麦秋になったムギ(コムギかオオムギか不明です)を刈り取ったところに、ヒバリが降り立ちました。



 伊佐沼では、これからハス田のハスが育って、ハスが大きな見事な花を咲かせ始めると、多くの方が観賞に集まります。そのころになると、伊佐沼の水位が下がり、水鳥がいくらか増えます。

三浦しをんさんの文庫本「舟を編む」を読み終えた話の続きです

2015年06月12日 | 
 人気作家の三浦しをんさんの大ベストセラーの文庫版として発行された文庫本「舟を編む」を読み終えた話の続きです。

 その文庫本「舟を編む」は、2015年3月12日に光文社から発行されました。



 この「舟を編む」を読んで感心した点は、作者の三浦しをんが辞書編集作業について、丹念に取材して書いていることです。小説家の城山三郎さん風にいえば「足で書いている」ことです。あちこちに足を運び、丹念に取材して書いていることです。

 大手総合出版社の玄武書房(げんぶしょぼう)の辞書編集部のベテラン編集者の荒木公平さんが、自分の後継者として社内から、主人公となる馬締光也(まじめみつや)さんとの出会いの場で、右という言葉の説明を質問すると、馬締さんは「体を北に向けたとき、東にあたる方」と答えます。

 さらに、島という言葉を質問すると、馬締さんは「まわりを水に囲まれ、あるいは水に隔てられた、比較的小さな陸地」と答えながら、これでは「ヤクザの縄張りを含んでいない」からと反省して、言い方をあれこれと工夫します。

 荒木さんは、「島」の語義を紡ぎ出していく馬締さんの言葉に対する姿勢に好感を持ちます。辞書に収蔵する各言葉を簡潔かついろいろな意味までを含めて説明することの難しさを、具体的に物語ります。

 小説の半ば過ぎで、平安末期・鎌倉初期の歌人・僧である「西行」という言葉には、人物の説明以外に、例えば「不死身」という意味を持っていたことを説明します。たぶん現在では“死語”になっていることでしょう。この意味は、西行が「富士山を見た」という物語から“富士見”となり、これが“不死身”という意味に発展します。昔の方々の洒落のようです。これ以外にも、大歌人の「西行」という人物をもじった、いくつかの意味があるそうです。こうした言葉遊びも、辞書の言葉の説明に含めるのかどうか、辞書編集者は悩み抜きます。

 女性向けファッション誌の編集記者だった岸辺みどりさんが辞書編集部に異動し、馬締さんから辞書編集のイロハを教えてもらうシーンでは、辞書の表記文字として「正字を使う」といわれて、戸惑います。「正字」とは「康煕字典」(こうきじてん)に基づいた正規の字体です。
 
 最近は、ワープロ・ソフトウエアで記事を書き、制作部員が誌面の文章部分に配置します。この時にほとんどが「正字」として文章が並べられます。しかし、たまに変換ソフトウエアの不備によって、正字でない文字が紛れ込みます。一般的には、文章を書いた記者本人ではなく、校正担当のデスク(あるいは外部のスタッフ)が正字に直します。
 
 これに対して、辞書編集部ではその言葉を担当した編集者自身が正字かどうかを調べて校正します。この「舟を編む」では、校正を“5校”まで実施しています。普通の雑誌ではあり得ない回数です。これでは校正コストがかかり過ぎます。その一方で、辞書編集では、編集担当者自身が念には念を入れる校正を担当するようです。
 
 辞書編集では、辞書をできるだけ軽くし、多くの文字をできるだけ収容できるように、特別の薄い紙を、製紙メーカーに注文します。製紙メーカーの担当者が、開発した薄い紙を評価用に持参すると、馬締さんは、辞書のページをしっくりめくれる“ぬめり感”が少ないと注文をつけます。製紙メーカーの担当者はこの注文に応えようと、あれこれ開発部門と工夫します。辞書の編集では、利用する紙まで究極の選択をしていることを学びました。
 
 この「舟を編む」は、辞書編集時の作業内容・工夫などについて、いろいろなことを教えてくれました。これは、三浦さんが丹念に微に入り細に入りと取材して書いた小説だと、再確認しました。