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神戸まろうど通信

出版社・まろうど社主/詩と俳句を書く/FMわぃわぃのDJ/大阪編集教室講師など多様な顔を持つ大橋愛由等の覚え書き

sora歌会

2010年09月23日 23時03分05秒 | 文学
わたしは歌人ではないけど、「sora歌会(第50回)」にオブザーバーとして参加した。

自作品を出稿していない時は、評者になりきり自在に語れるので愉快だ。

俳句に比べ、短歌の語法は豊かである。また〈気付き〉を〈気付き〉のままに作品化している短歌も、少なからずあったのは意外な事実であった。

詩誌『豹樹12号』

2010年08月24日 12時43分29秒 | 文学
詩誌『豹樹12号』が届く。良い作品が多い。

ゲストの神屋信子氏の散文詩「桜の精霊」は幻想掌編小説風。龍神雅子氏「進水式」は父の思い出記。松木俊治氏(発行人)「瞼が触れる」は深い心象描写。田中紀子氏「雨音」は〈わたし〉と〈母〉の詩的交歓。この人のエッセイ「野辺山にて」も散文詩の趣きがある。

文学イベントさまざま

2010年08月23日 13時14分08秒 | 文学
8月から9月にかけて、いくつかの文学イベントがありますので、お知らせしておきます。

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◆1.--第13回ロルカ詩祭への感謝
◆2.--第55回『Melange』読書会・合評会のお知らせ(8月29日)
◆3.--「金時鐘・詩的邂逅とその軌跡」のお知らせ(9月4日)
◆4.--高谷和幸さんの詩集『ヴェジタブルパーティ』出版記念会のこと(9月11日)
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◆1.--第13回ロルカ詩祭への感謝
今回の朗読作品は、各個人から発信された作品群ではあるものの、浮かび上がってきたテーマは、“声”だったような気がします。言葉にならなかった声、言葉にできなかった声、さけび、かなしみ……などが、詩作品の中に、表れていました。

そして今回の朗読は、スペイン語から始まって、日本語に転じ、最後は韓国語が吟じられるという多彩なものでした。伴奏をしていただいたベーシストの中島直樹氏の演奏も素晴らしかった。

そして、第13回ロルカ詩祭実行委員会世話人・寺岡良信氏からのメッセージが届いていますので紹介します。

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ゲスト出演ありがとうございました。

上野都様     中島直樹様
金里博様     イ・ヨンボ様
岸田将幸様
生野毅様
鼓直様
平岡けいこ様

今年のロルカ詩祭も、ゲストの皆さまの熱演で盛り上がり、無事に終えることが出来ました。遠方から来て下さったに方には交通費さえ支給できず、しかも限られた時間進行を強いてしまったことが、誠に申し訳なく、改めてお詫びと感謝を申し上げ
ます。
しかし様々な世代と作風の詩人が一堂に会するこのささやかな催しは、今年も多くの文学的稔りを生みました。これを機会に、今後とも私どもと息の長い交流をお願いする次第です。
皆様方の一層のご活躍、ご健康をお祈りします。

2010・8・23

第13回ロルカ詩祭実行委員会世話人 寺岡良信
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みなさま、また来年(2011年)の8月第三土曜日(予定)に、第14回ロルカ詩祭の会場で、お会いしたしましょう。

◆2.--第55回『Melange』読書会・合評会のお知らせ(8月29日)

われわれは、ロルカ詩祭の余韻にひたる間もなく、次なる詩のイベントを実施いたします。例年は、ロルカ詩祭のある8月は、『Melange』読書会・合評会はしないのですが、ゼロ年世代を代表する詩人の一人である安川奈緒さんをゲストとして迎えて
、29日(日)に開催することにしました。(安川さんが9月から渡仏されるため、その直前に日程を組んだのです)。

ナビゲート役は、高谷和幸氏。テキストとして『詩集 MELOPHOBIA』(思潮社)と、2010年の現代詩手帖の年鑑に書かれた「詩の存在論的倨傲について」。内容は「ゼロ年代詩がなにを目指しているのか? そしてわたしたちが詩を書くことにおいて、
見落としてきたもの。瀬尾育男さんが言う「決然とした抒情」とは何か? などを話し合えたらと考えています」(高谷氏)。

また、この日合評会もします。詩稿の締め切りは、26日(木)です。
ちなみに、第1部を「読書会」としますが、スタートは午後2時です。いつもより1時間遅らせての開始です。お間違えなく。第2部は、午後4時開始予定です。


◆3.--「金時鐘・詩的邂逅とその軌跡」のお知らせ(9月4日)

『70年代の金時鐘論 日本語を生きる金時鐘とわれらの日々』(松原新一、倉橋健一著、砂小屋書房)『在日と50年代文化運動 幻の雑誌「チンダレ」「カリオン」を詠む』(チンダレ研究会編、人文書院)『失くした季節 金時鐘四時詩集』(金時
鐘著、藤原書店)といった三つの書籍刊行を祝う発刊記念シンポジウムが、9月4日(土)に行われます。(会場は、今野和代さんの職場になります)

場所/大阪産業大学付属中学校高校5号館3階 06-6939-1491 
時間/9月4日(土)午後3時~5時(開場午後2時30分)
参加費/資料代として500円
問い合わせ/今野和代さんまで 090-1149-4042 要予約です
参加者/(綜合司会)細見和之(詩人、ドイツ思想)
    パネリスト(1)宇野田肖哉(日本思想史)
    (2)金時鐘(詩人) (3)倉橋健一(詩人) 
    (4)松原新一(文芸評論家) (5)今野和代(詩人)

◆4.--高谷和幸さんの詩集『ヴェジタブルパーティ』出版記念会のこと(9月11日)

いよいよ、待望の詩集『ヴェジタブルパーティ』出版記念会が9月11日にスペイン料理カルメンで行われます。会場ではいくつかの仕掛けがあるようです。楽しみにしています。

◇また、高谷和幸さんの詩の教室「エクリ」が、たつの市のガレリアで9月6日(月)11時から行われます。 詩稿を自ら10部程度コピーして持参してください。
この時に店主の井上さんにお願いして、名物のそうめんを用意していただく予定です。

アクセス (JR神戸駅から/なにぶん、たつのに行くのは少し時間がかかります)
新快速    神戸   午前9時40分発
       姫路   10時16分着
JR姫新線  姫路   10時24分発
       本竜野  10時45分着
徒歩でガレリアまで   15分

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ロルカ詩祭を終えて

2010年08月22日 12時46分29秒 | 文学

ロルカ詩祭のこと--13回も重ねると、レギュラー出演組の詩人たちも、その表現のありようが卓越してきたことを実感する。特に今野和代さんは近年詩の朗読会を重ねていることもあり、伴奏者のフリージャズベーシスト・中島直樹氏とのコラボも息がぴったり。朗読詩の醍醐味を充分に堪能させてくれる。


--今年80歳になるも壮健な鼓直氏は、我々の詩祭の宝である。今年も翻訳したてのロルカ詩をひっさげての参加。かのラテンアメリカ文学を日本に本格的に紹介した有為なる翻訳者が、われわれと同じ神戸の街に住み、かつロルカ詩祭に参加していただけることの至福を感じざるを得ない。


--そしてぼくの作品は、詩祭のために書き下ろしたもの。「周回道」と題し、「永久に死に続ける」ロルカを探す内容も含まれている。ぼくが自作詩を朗読するようになったのは2005年から。それまで第一部のロルカ詩朗読のみの参加だった。そしてこの年、様々な意味でぼくは変った。


--二年ぶりに参加した富哲世氏。第一部「ロルカ詩」で、「イグナシオ・サンチェス・ メヒーアスへの哀歌」を朗読。その圧倒的な表現力量は、聞く者を感動させる。われらの詩祭の見せどころの一つである。スペイン文学者の鼓直氏がその朗読を聴いて、深く感動されていたのが印象的。


--ゲスト詩人たちも多様であった。「反テキスト」的な朗読で異彩を放ったのが、生野毅さん。俳句作品(摂津義彦)を冒頭に、提示したテキストに依らず、声に近い音を重ねながら、身体表現をも声と同じく即自的に展開。テキストに依拠し、それを変容させていく詩人たちをも刺激した。

第13回ロルカ詩祭

2010年08月17日 19時29分19秒 | 文学
第13回ロルカ詩祭の案内

今年も、夏恒例の「ロルカ詩祭」を行います。
今回はゲスト朗読者が豪華です。
みなさん、楽しみにしてください。

▼ゲスト詩人------
生野 毅 / 平岡けいこ /  岸田将幸
上野 都 / 金 里博       〈朗読予定順〉

▼スケジュールと出演者
 ★開 場/午後5時
 ★第1部/午後5時30分~ロルカ詩の朗読 1.アグスティン2.今野和代 3.富 哲世 4.鼓 直
 ★第2部のA(自作詩の朗読)/5.福田知子 6.大橋愛由等 7.にしもとめぐみ 8.安西佐有理 9.大西隆志 10.高木冨子
      11.高谷和幸 〈10分休憩〉
      12.生野 毅 13.平岡けいこ 14.岸田将幸
 ★ 第2部のB(朝鮮・韓国と在日をモチーフにした自作詩の朗読)/
      15.寺岡良信 16.今野和代 17.富 哲世 18.上野 都  19.金 里博
      ◇演奏/中島直樹(ウッドベース)

◆日時/2010年 8月21日〈土〉
◆料金/1.コースA特別コース 3500円(スープ+サラダ+メインディッシュ(A.黒豚ロース肉の香味焼き B.マルタミコ(カツオの漁師風煮込み)のどちらか選択)+パエリア+デ ザート+コーヒー+チャージ料・税込)
2.コースB 2000円(One Drink +One Food +チャージ料・税込)One Foodは、1.スペイン産生ハム 2.チョリソー 3.タコとポテトのアリオリソース 4.ムール貝のアリオリソース 5.西洋キノコのガーリックいため 6. フラメンカエッグ のうちいずれかひとつ。
◆場所/神戸三宮 スペイン料理カルメン
◆問い合わせ先/ 078-331-2228

▼ロルカ詩祭への誘い……高木富子

 セマナサンタ「聖週間」にグラナダを訪れたことを思い出す。その夜、音楽隊、磔のキリスト、マリアの山車の行進をホテルの窓から見た。昼の雰囲気と異なり、女たちの衣裳が印象的だった。黒い服 胸にクルス、髪を高く結い上げた頭頂からイスラムの影響といわれるレースの大きな肩掛けマンティリャを垂らし、スペイン櫛でとめていた。行列はゴメレス坂をアルハンブラ宮殿の方へ登っていった。これは……葬列なのだ……。黒い馬と赤い月、ロルカの死を思った。アルバイシン、アルハンブラの夜空が薄暗かった。
 グラナダ、ロルカが少年期を過ごした街、マドリッドやアメリカに過ごした時も夏には戻り家族と過ごし執筆に励んだ街。
 1936年7月16日グラナダへ、18日内戦勃発、8月16日逮捕、19日銃殺された。
 何故フランコひきいる反乱軍の手により慌しく銃殺されなければならなかったか? 
 フランコ支配のスペインで久しく語ることさえ憚られた彼の詩と死。
 ロルカ38歳の死の意味……当時の国際義勇軍と右翼フランコの対峙や主義思想以前の問題として、もっともスペイン的なるもの、蔑まれ傷めつけられた人々の魂の声を代弁していたからこそ彼は殺されたのだ。最期の地は今「ロルカ公園」となり、荒地
にオリーブの木があるという。その一本のオリーブの木にロルカをスペインの魂を重ねる。自身の運命を予告するかのように彼は歌っていた。
 「若々しい裸形の空想は身を焼かれるごとく……」
 わたしたちは思う、願う。裸形の空想は受け継がれ生きていく、と。
 歴史を辿り記憶を這って 今なお繰り返され遠ざからない悪夢を超えてぺシミズムに絶えず馴らされるとしても 口噤まないこと、とわたしたちは集う、ロルカ詩祭に。

疾駆する柳人

2010年07月23日 13時44分00秒 | 文学
ぼくと同世代の気になる川柳作家がいる。吉澤久良氏。〈蝶濡れて首都に繁殖する神話〉〈朧夜の荒野野菊を分け老婆〉(「Leaf Vol.2」より)。知の透視眼により作品を成立させている。〈閑かさや仁王の鱗剥がれゆく〉。俳句作家の気配も残しつつ、季語など俳句的規範から解放された柳人は疾駆する。

新詩集

2010年07月14日 23時51分14秒 | 文学
詩集『ヴェジタブルパーティ』(思潮社)を出したばかりの高谷和幸氏が訪問。8月は第13回ロルカ詩祭があるので、出版記念会は9月にしようかと話しあう。そして詩祭のことも話題に。氏の包含する思考に首肯する。出演者が多いけど、時間が延長してもいいではないかという発想だ。あの秘教的、かつ詩人たちの祝祭的な雰囲気は魔術的である。

「ア・テンポvol.38」

2010年07月08日 13時15分24秒 | 文学
昨日到着した詩誌「ア・テンポvol.38」を読む。今号は秀作多し。「そこにある無辺」「雁」大西久代さん、「雲の感情」玉井洋子さんに注目。梅村光明さんの連作(「夜半亭発句取」)も安定している。赤坂恒子さんの句は〈天網をこぼれおちたる桜花〉〈花吹雪浴ぶ人の科痛し痛し〉等数句に共鳴。

神戸の詩誌

2009年12月13日 11時30分46秒 | 文学
神戸で発行されている詩誌を二誌読む。

まず玉井洋子さんから送ってもらっている「ア・テンポ Vol.37」。
詩誌に掲載されている俳句に、凡句が多く、俳句は一行で詩と拮抗しうる表現世界を
持っているのにと、忸怩たる思いをいだいていたが、赤坂恒子さんの作品はいい。
〈白玉やをみなはあはき不実もて〉〈白南風や詩心に吹かばなほ美しき〉〈たちあふ
ひ転生といふ水音聴く〉〈草蛍いつしか我に開かずの間〉。作品が凛としている。有
季定型なのだが、その規範性を超える詩心がある。
詩作品では、梅村光明さんの「夜半翁発句取 その六」がいい。一行を短く区切って
リズムを作っている。いつも感心する玉井洋子さん、山口洋子さんといった二人の
「洋子シスターズ」の作品は中程度の感銘。

松木俊治さんから送ってもらっている「豹樹3No.10」は、編集担当の松木氏の性格が
現れて実直な誌面づくり。今回は、同人の龍神雅子、田中紀子、松木3氏だけの作品
で構成され、ゲスト詩人はなし。それぞれ詩風の異なった3人のうち、田中紀子さん
の「海風」「空」「挨拶」を何度か読み返す。この人のリリカルな作品世界が気に入っ
ている。「挨拶」の中にでてくる「あなた」は、透明感がある。この人の作品に一貫
して言い得ることだが、厚い叙情性の手がのびる対象としての「あなた」ではなく、
〈そこにいながら不在であるあなた〉が書かれている。田中さんの次の詩集が読みた
い。

「震災文学シンポジウム」

2009年12月02日 18時42分50秒 | 文学
来月の1月17日で、ちょうど15年となる阪神・淡路大震災の前日(16日)に、「震災文学」に関するシンポジウムを、神戸文学館で催します。


2010年1月16日(土)に神戸文学館(神戸市灘区)で行いますシンポジウム「震災文学を語る〈詩・短歌・俳句・川柳〉--阪神・淡路大震災から15年」の内容をお知らせしておきます。

☆日時/2010年1月16日(土)午後1時30分~3時30分

☆テーマ/震災文学を語るシンポジウム
〈詩・短歌・俳句・川柳〉--阪神・淡路大震災から15年

☆内容/阪神・淡路大震災から15年たった今、もういちど、あの震災によって産まれた表現を振り返ることで、なにが詠まれ、なにを紡ごうとしたのか、詩・短歌・俳句・川柳の各ジャンルの表現者たちによって検証することで、震災からの立ち位置を確認していく。

☆参加者/司会・大橋愛由等(図書出版まろうど社代表)
☆バネラー/(詩)たかとう匡子
  /(短歌)彦坂美喜子
  /(俳句)野口 裕
  /(川柳)小池正博

☆文学表現といっても、ジャンルが違えば、随分と位相も異なってきます。今回わたしが各ジャンルに対して想っていることは、
(詩)--たかとう氏が書いた作品から語りだし、詩はなにを表現したのか。
(短歌)--震災や戦争など大事態を、時世を超えていつまでも詠い続ける反復の詩型としての短歌から生まれた作品について。
(俳句)--震災が絶筆の動機とされている林田紀音夫(被災当時、芦屋市在住)の作品について。なにが彼の筆を置くようにしたのか。
(川柳)--直近の事態を詠み込む即時性・時事詠を特性としているものの、記録されることへの感度が高くない川柳はなに
を詠ったのかを振り返る。

年末の『Melange』読書会・合評会予定

2009年11月02日 13時29分43秒 | 文学
詩誌『Melange』が行っています読書会・合評会のこれからのお知らせです。

◆1.--『Melange』読書会のお知らせ(12月6日〈日〉)
「六甲道勤労市民センターC教室」で開催します。午後1時から5時まで借りています。
ここは、JR六甲道駅の南にある市民センターです。陸橋を渡っていけばすぐ到着するビルの中にあります。
第一部の読書会では、富哲世氏が河津聖枝さんの詩集 『新鹿(あたしか)』について語ります。河津さん本人も参加の予定です。

◆2.--『Melange』今年最後の合評会(12月27日〈日〉)
2009年の最後となります合評会が、スペイン料理カルメン(078-331-2228)で行われます。この日は、読書会はありません。午後2時に集合します。午後5時30分ごろから『Melange』忘年会を同じ場所で開催します。忘年会だけの参加も歓迎です。なお、詩稿の締め切りは、12月24日(クリスマスイヴ!!)です。大変な日の設定となりました。この日が多忙な方は早めに送稿してください。
ちなみに、この日に出稿される詩とエッセィを掲載する「月刊めらんじゅ(第48号)」は、今年最後の号となります。


めらんじゅ合評会のお知らせなど

2009年09月14日 13時34分22秒 | 文学
詩誌『Melange』に関連するイベントなどのお知らせです。

今年の九月は残暑が終息するのが早いのでしょうか。朝夕は少し冷え込むようになりました。みなさん、風邪をひかれていませんか。

今回のメールニュースは、いくつかのお知らせで構成しています。

9月の『Melange』合評会は、27日(日)。詩稿の締め切りは、24日(木)です。
今回はお知らせする事項が多くなっています。

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◆1.--同人・日出山陽子さんの出版について
◆2.--同人・栗山要さんの出版記念会について
◆3.--「月刊めらんじゅ」45号が発行されました。
◆4.--10.26「安重根決起百年の日に集う会」のお知らせ
◆5.--第45回『Melange』合評会のお知らせ
◆6.--11.21フラメンコ・カンテ祭と詩の朗読会
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◆1.--同人・日出山陽子さんの出版について

お知らせが遅れましたが、われらが同人である日出山陽子さんが新著『尾崎翠への旅--本と雑誌の迷路のなかで』(小学館スクウェア、四六上製本140頁、本体1500円、発行日は16日)を上梓されました。カバーはブルー地の素敵な本です。日出山さんがずっと関心を抱いてきた作家について、評論やエッセーを一冊にまとめた本です。

巻頭にはこう書かれています。「尾崎翠に出会う旅のなかで、架けられなかったたくさんの橋があります。私には不可能でもいつか誰かが可能にしてくれるのではないか……そんな思いから本書をまとめました。尾崎翠を愛する方が橋を架けなおしたり 尾崎翠に届く新たな橋を架けてくださったらと、心から願っています」 


◆2.--同人・栗山要さんの出版記念会について

今秋は、同人各位にとってひとつの大きな結束点を迎える方が何人かいらっしゃいます。栗山要氏もその一人。大きな仕事を成し遂げられました。今年84歳になられる栗山氏は若い頃薫陶を得た国文学者・阿部國治氏の古事記解釈を、次世代に伝えるべく出版を続けてこられましたが、このたび七巻上梓をもって、無事その責務を果たされました。

その出版を祝う会が10月25日(日)に開かれます。「ホテルオークラ神戸「有明の間」にて、「新釈古事記伝 全七巻完結出版記念会」が、正午から開催されます。会費は1万円。問い合わせは078-997-0181まで。

◆3.--「月刊めらんじゅ」45号が発行されました。

8月は、『Melange』読書会・合評会はなく、毎年「ロルカ詩祭」が行われます。なので、月刊めらんじゅは休刊するのですが、毎年重ねてきた朗読の会も、熟達の度合いを深めていって、書き下ろし作品も多く、それを記録しておきたいと思い立ち、月刊めらんじゅの一巻として編集しました。45号には、ラテンアメリカ文学者・鼓直氏の本邦初訳のスペイン詩、安西佐有理さんによる英語詩からの翻訳によるそれぞれの「ロルカ追悼詩」も含まれています。

◆4.--10.26「安重根決起百年の日に集う会」のお知らせ


何年かぶりに、月刊誌「世界」(岩波書店)を購入(10月号)。同誌に掲載された安重根の「東洋平和論」を読むのが目的です。その解説を読んでいると、来月の10月26日(月)がちょうど、安重根が決起して伊藤博文を暗殺した日から百年であることにきづきました。 

安重根は「義士」と言われています。私は今夏、この<義>という概念が気になっているのです。いま読み続けているのが、旧約聖書の「ヨブ記」。神に対して<義>を貫いたヨブを考えていると、<義>とは何者かとの契約によって成り立つのではないかと思うようになったのです。ではその言説に従って考えると、ヨブは、安重根は、なにと契約することで、<義>を貫いたのでしよう。

私の思惟は続きますが、せっかく来月に〈安重根決起百年〉を迎えるのですから、この安重根の百年前の行為を、いまの日本・韓国のひとびとの目線から振り返ってみたくなったのです。安重根に対する評価はさまざまです。そうした評価にまなざしを向ける一方で、政治的評価を越えていまのわれわれに訴えてくるものを、感じ取れる会になればと思っています。

そこで、10月26日に、〈安重根決起百年〉をテーマとするささやかな会合を企画しました。会合では、畏敬する金里博氏に、安重根について語ってもらい、また日本側からも伊藤博文の政治史的な立ち位置を解説してもらう予定です(話者は交渉中)。さらに、里博氏はかつて母国語で安重根についての詩を書いたこともあるので、その朗読をしてもらい、われわれも安重根に関係する詩を創作して朗読しようかと思っています。

ちなみに、10月26日は、韓国政治史の中では大きな意味を持っています。朴正煕大統領が側近に射殺されたのも10月26日(1979)。暗殺側は、安重根が伊藤博文を暗殺した日をあえて選択したと聞きます。

》》》》》》安重根決起百年の日に集う《《《《《

☆日時/10月26日(月)午後6時~
☆場所/枚方市・サンプラザ生涯学習市民センター
〒573-0032 大阪府枚方市岡東町12-3-508 京阪電車枚方市駅東口サンプラザ3号館5
階(京阪電車「枚方市駅」の駅ビルの中にある枚方市の施設です)
☆会費/資料代程度(未定)


◆5.--第45回『Melange』合評会のお知らせ

9月27日(日)に行います。第1部は午後1時から詩の合評会。第2部は午後3時半から、『Melange』本誌の合評会をします。読書会はお休みです。第1部の詩稿締め切りは、9月24日(木)です。会場は、スペイン料理カルメン(078-331-2228)。

◆6.--11.21フラメンコ・カンテ祭と詩の朗読会

二年に一回開催している「神戸ビエンナーレ」共催事業として、「12.5回ロルカ詩祭」を、ビエンナーレ開催時期の11月21日(土)に、カルメンでおこないます。秋の深まりと共に、スペイン・アンダルシーアの根の歌謡文化であるフラメンコカンテ(うた)の世界と詩とのコラボレーションを楽しみたいと思っています。


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☆第45回『Melange』合評会の会場=神戸・三宮のスペイン料理カルメン
(カルメンの場所は以下のサイトを参照してください。阪急三宮駅西口
の北へ徒歩1分の場所にあります。 
http://www.warp.or.jp/~maroad/carmen/)。
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ロルカ詩祭について

2009年08月11日 13時26分50秒 | 文学
第12回「ロルカ詩祭」の案内です。

今年のゲストは、H氏賞詩人の杉本真維子さん、ラテンアメリカ文学者の鼓直さんです。今回も素敵なゲストをお招きいたします。どうぞみなさん、楽しみにしてください。(鼓さんには、ロルカが属していた「二七年世代」の詩人たちによるロルカ追悼詩〈おそらく本邦初訳〉と、スペイン内戦中に共和派によって刊行された『内戦詩集』を翻訳・朗読してもらいます。スペイン人・アグスティン君には、原語で「夢遊病者のロマンセ」を読んでもらいます)。


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◆--「ロルカ詩祭」について<12回目は8月15日(土)>
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夏が巡り、ロルカがわれわれのもとに甦る!! 
今年は、ロルカと同世代の〈二七年世代〉詩人たちの詩と死が、
七〇年を経て翻訳される!!

-ロルカ詩祭についての説明━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「ロルカ詩祭」は、スペインの国民的詩人であるフェデリコ・ガルシア・ロルカの生誕100年にあたる1998年から神戸で行われている詩の朗読会です。1936年にロルカがファシストによって殺された8月19日に近い日に開催しています。第一部は「ロルカ詩作品」の日本語、スペイン語による朗読。第二部は、ロルカ的世界に身を委ねた詩人たちによる自作詩の朗読です。みなさん、夏の一夕を詩の朗読会でお楽しみください。          
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★朗読する人たち/
1.鼓 直 2.杉本真維子
3.安西佐有理 4.大西隆志 5.大橋愛由等
6.今野和代 7.高谷和幸 8.寺岡良信
9.富 哲世 10.中堂けいこ 11.にしもと めぐみ
12.福田知子 13.アグスティン
★演奏する人たち/
1.中島直樹(コントラバス)
2.福森慶之介(フルート)


★日時 2009年 8月15日〈土〉 開場午後5時00分
★構成 第1部/ロルカ詩の朗読/午後5時30分~(スペイン語、日本語)
    第2部/詩人たちの朗読/午後6時00分~8時30分
★料金 (1)コースA 特別コース(パエリア付き)3500円(チャージ料・税込)
    (2)コースB 2000円(One Drink+ One Food +チャージ・料込)
★場所 神戸三宮 スペイン料理カルメン
    〒650-0012 神戸市中央区北長狭通1-7-1
★問い合わせ先 078-331-2228 スペイン料理カルメン


/////////詩祭への誘い  寺岡良信///////////////////////////////

友を奪われた怒りが詩人に激しい言葉を吐かせた。滾り立つ血をはらわたに漲らせてマチャードは書く。「グラナーダで犯罪が行われた!」と。

 友よ、墓を刻め、
 石の、また夢の墓を、―
 アランブラの宮殿の中に、
 かの詩人のため、
 水の泣く泉の上、
 グラナーダで犯罪が行われた!
 彼のグラナーダで! と

 星もまばらな未明の荒地に曳き立てられ、自らの墓穴を掘らされたあげく、無辜の死を、なぜロルカは死ななければならなかったのか。猛々しい政治という暴力。人間の尊厳など一片の感傷に過ぎぬと鼻先でせせら笑い、ぎらついた権力への志向のみを価値の座標に据える叛乱者どもが、檸檬の実の青く薫る沃土を軍靴で蹂躙したとき、恐怖と密告と阿諛は低く囁き交わし、混濁するこころの水位を不信と猜疑に沸騰させて、人々は、詩人からその美しい歌声を永久にもぎ取ったのだ。
 フェデリコ・ガルシア・ロルカ、行年三十八歳。
 不条理なその死を悼むために、不条理なすべての死を悼むために、私たちは今年もこの港町のたそがれに集う。
 二千九年八月十五日、神戸。
 ロルカ銃殺から七十三年。
 アジア太平洋戦争終結から六十四年。
 死者たちのいまだ止むことのない慟哭をふたたび胸に刻もう。そして大地震が愛する郷里と愛する人々を呑みこみ、繁栄する都市文明が巨大な残骸と化した、あの凍結した記憶をも。
 二千九年八月十五日、神戸。潮騒に合歓の花弁がほどけるこの町に、私たちは集う。



参考に--------------------------------------------

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内戦終結から70年たつも
ロルカの瑕は、まだ深い  大橋愛由等
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 わたしが副会長を務める神戸日西協会の創立三〇周年記念事業のひとつとして、神戸とスペイン文学に関するシンポジウムが、神戸文学館(神戸市灘区)において、六月二七日(土)に行われた。企画と司会進行はわたし(大橋)。パネラーには、安藤哲行氏(摂南大学教授)、鼓直氏 (法政大学名誉教授)、富哲世氏(月刊めらんじゅ)、吉富志津代氏(NPO法人・多言語センターFACIL代表)に参加してもらった。

シンポジウムが始まる前に、スペインを感じてもらうため、フラメンコの演奏をお願いした。中西雄一氏(ギターラ)、カンテ(唄)は吉川あゆみさん、カホン(ペルー発祥の打楽器)は南出真依子さんが担当。アンダルシア出身のガルシア・ロルカが大切にしていたフラメンコのカンテホンドを聴いてもらったのである。フラメンコの世界では今でもロルカの作品が歌われていることはよく知られている。、当日は、その中から(1)「夢遊病者のロマンセ」(2)「LA TARARA」の二曲を披露してもらった。会場である神戸文学館はもともと関西学院大学発祥の地に建てられたチャペルなので、音響効果は佳く、シンポジウムの冒頭から印象深いスタートを切ることが出来た。

 このうち、今回は鼓直氏の報告を中心に書きためておきたい。鼓氏、安藤氏ともども世代は異なるものの、ラテンアメリカ文学の翻訳者として、際だって佳い仕事をしている人たちであるので、今回はどちらかというと専門外のスペイン文学について語ってもらうことになったのは、少々気の毒なことであった。それでもお二人は、今年ちょうど終結から七〇年を迎えるスペイン内戦(一九三六--三九)に関する文学について密度の濃い報告をしてもらった。 

 鼓氏は、去年上梓した『ロルカと二七年世代の詩人たち』(土曜美術社出版販売)の編訳を担当していて、ロルカの文学世界にも深く関わっている(かつて牧神社から「ロルカ全集」を上梓したのだが、版元が倒産してしまって今では古書でも流通していないという)。シンポジウムのために翻訳したのは、ロルカと同世代の詩人達(「二七年世代」と云われている)のロルカを追悼する詩であった。スペイン内戦が始まったと同時にロルカがファランヘ党によって虐殺されたことの衝撃は大きく、殆どが共和派側についていた「二七年世代」の詩人たちは、中南米などのスペイン語圏国に亡命していくのである。その詩人達の中には、一生スペインに戻ってこずに亡命先で客死した者もいれば、フランコが死去(一九七五年)してのちにようやく帰国を果たした者もいた。いずれにしても詩人たちの心の中には、文学同志であるロルカが生き続けていたのである。鼓氏はさらに、内戦の途中に出版された『内戦詩集』(エミリオ・プラドス編)のことを取り上げた。原書をある人に貸与していたのを、今回のシンポジウム参加と、今年のロルカ詩祭のために、返却を要請。ロルカ追悼詩ともども、今年のロルカ詩祭(二〇〇九年八月一五日)で朗読してもらう予定である。ゆ
くゆくは、私が主宰する図書出版まろうど社で刊行することを考えている。こうした果実があったこともあり、わたしにとってこのシンポジウムを実施した意味ははかりしれず大きいものがある。
 ロルカが「二七年世代」の詩人たちの一人であることは、恥ずかしながら知らなかったのだが、その彼らの多くがアンダルシア出身であることに深い興味をいだく。沖縄の戦後詩壇の多くが宮古出身者であることにも関連づけてこれから私なりに思惟していきたい。
(月刊めらんじゅ 09.07月号より)

ほんき(本記)NOTE--07

2009年07月25日 12時59分06秒 | 文学
☆エウリピデス作「メディア」を読む。
10歳代から繰り返し読んでいる作品であるが、あらためて読むと、味わい深いものがある。
それは今生きるわたしの時点から読むので、人生の経験の重なりから、読むことになるからだ。
一文にまとめきれないので、箇条書きにすることにしょう。

1.夫・イアソンと妻・メディアの丁々発止のやりとり(内実は非難合戦)は、現代でも十分通じる内容であり、男と女のいさかいというのは、2000年たってもあまり変わりないのだということを思い知る。

2.メディアの人物描写が、キメ細かく、気の強い女性の普遍的な姿を活写している。ピエル・バウロ・バゾリーニ監督の「王女メディア」の主演女優にマリア・カラスを撰んだのも、むべなるかな、といった印象を持った(マリア・カラスもまた気性がはっきりしている攻撃的な女性だった)。かつ、一方的な気の強い巫者として描くのではなく、子どもをあやめる際には、心の葛藤も吐露するなど、決意の揺れも語らせ、ギリシア悲劇のレベルの高さを知ることができる。

3.コロスが、「世間の声」「倫理の声」として機能していて、劇そのものを、立体的に構成するのに役立っている。主役たちの次の動因になることはないが、反面的な補足を語ることで、ドラマツルギー(主役の悲劇性)を盛り上げている。

4.それにしても、メディアの徹底した夫・イアソンに対する復讐は見事である。自分を棄て結ばれようとしている若妻を死に至らしめ、我が子をも殺害する。なにもかも夫への復讐のために、巫者としてのあらんかぎりの能力を駆使している。メディアはイアソンと相思相愛の時期もあっただろうが、復讐に燃えるメディアに一切の斟酌はない。

5.今回再読しておやっと思ったことがある。メディアがすべてを打ちすてて、コリントスを去ったばかりではない、ということである。明日にもコリントスを追放されようとしている時、偶然コリントスを訪れたアテナイの王・アイゲウスと出会い、便宜を計ったことから、コリントスを去った後に、アテナイのもとに身をよせる保証を得たのである。いわば、メディアは、アテナイの王の庇護を得ること(もっと具体的にメディアはコリントスを去ったあとに「アイゲウスどのといっしょに暮らすことになりましょう」(139段)と述べている)で、イアソンとその二人の愛の証しの子どもたちも殺害して、新しい男のもとに走ったのである。なんだそういうことかと思った時、メディアが最後に乗る龍車も、ただ逃亡のためのものでなく、新たな愛の始まりのための凱旋のための乗り物なのであることが分かる。

6.コリントスに残されたイアソンはどうなったのだろう。この戯曲には、メディアの出身地は蕃地であり、イアソンは「ギリシア男」という自覚を持っている。つまり文明が進んでいる地としての矜持がこの名称の背景にあるだろう。こうした差異化は、文明の「中心」に位置する者が抱きやすい幻想で、時を超えたものであることが興味をひく。

7.もういちど、メディアの所行について考えてみよう。よくこの作品を読むと、イアソンの言い分にも整合性をもたせようとしている。いわば熟達したバランス感覚をエウリピデスは表現しているのである。メディアとイアソンのあらがいは、男と女が地球上に共棲するかぎり繰り返される幕切れのない劇なのであろう。ただ、この作品では、メディアが霊能者であり、秘術・魔術を行使する宗教者というエスパーであることが違っている。これは女性たちが男とのあらがいを超克する際に、所有したいと願う能力であることに違いないので、メディアは刮目され続けるのだろう。


ほんき(本記)NOTE--05

2009年07月22日 23時50分11秒 | 文学
7/22☆奄美は、この皆既日食の日をどれほど待っていたことだろう。今春から、奄美の日刊紙である南海日日新聞を購読するようになって、紙面ごしからではあるが、この世紀の天文ショーが奄美で見られることの悦びが伝わってきていた。

そろそろ太陽がかけようとしていた午前10時40分ごろ、奄美市名瀬にいる森本真一郎氏の携帯に電話をしてみた。名瀬の拝み山に登っていた彼は、暗黒化していく名瀬の様子をライブで伝えてくれた。日食の直前には蝉はなきやみ、カラスたちは羽根をたたんで制止していたという。太陽が月に隠れた後は、まるで名瀬の街が夜のようになってしまっていると興奮気味で伝えてくれた。

また、沖永良部の前利氏は、皆既日食ではないものの、ドラキュラ伯爵のトランシルバニア地方に出てくる月のようで、あるいはもっと今風にいえば、マイケルジャクソンの「スリラー」のプロモーションビデオに出てきそうな日食の写真を送ってきてくれた。やはりこの天文ショーのおもしろさは、現地でみることだろうと思いなしたのである。

ロロさんによれば、皆既日食があった地域は、終わってからも数年間、なにか象徴的なことが起こり続けるだということ。