新潟在住俳人、田代草猫さんは、とにかくかっこいい女性だ。
奥付を見ると、「童子」に入られたのは、私より遅いし、年も私より若い。でもいつからか、私にとって、草猫さんは、手を伸ばしても届かないところにおられる高貴な方という印象を抱いているのだ。最初の頃は、そうびょうという読みは同じでも、「蒼猫」だったっけ。蒼い猫は、さらに手が届かない印象。草の猫になって、少しばかり身近な存在になったのかな? でも、今もまだ目の前にいらっしゃったら緊張して何も話せなくなりそう。
なぜ? 時折見ることができるお写真のたたずまいが、凜としていらっしゃるせいかもしれない。
いや、一番は、「あー、こういう句、私が作れたら、どんなにいいだろう!」という句を作り続けていらっしゃるからかだと思う。
だから、この句集は私だけでなく、「童子」にとって待ち望んだものだと思う。
小さな文庫サイズの句集が届き、(そうか、草猫さん、こうきたか)と思った。
読む。一句、一句、一句。
どれもいい。そりゃあ、厳選だもの。
ずーーっと読んでいって、(ああ、この句、草猫さんのだったか)と思うのも何句もある。作者がだれというところをすっとばして、ぐさっと印象的な句だったものたち。
恋猫のひときは魚臭きやつ
神童とかつて呼ばれし蟇
小麦粉に砂糖ふり入れ冬めきぬ
もう昇ることなき冬の入日かと
夏ゆくやタンゴは顎くと引きて 草猫
かっこいい。
俳句人口がどのくらいなのか、私にはわからないが、こういう方がもっともっと世間に知られてもいいのにと思う。俳句の総合誌は、結社の主宰と若手俳人の句だけではなく、こういう実力者にも目を向けてほしいものだ。
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