Information
『みちのく山のゆなな』(国土社)『ファミリーマップ』、エンタメシリーズ『家守神』1~4巻、『おはようの声』幼年童話『ヘビくんブランコくん』『オンチの葉っぱららららら♪』、短編集『友だちの木』・歴史物語『アテルイ 坂上田村麻呂と交えたエミシの勇士』他、好評発売中です。原稿・講演など各種ご依頼は、左側のメッセージからお願いいたします。
サブタイトルは、「記憶をつなぐー被災地の紙本・書籍保存修復士」。イギリスで、紙本修復の技術を取得し、出身地大船渡に帰っていた金野聡子さん。金野さんは、そこで震災に遭遇します。幸いご自宅は残ったものの、電気も水もなく、避難所で炊き出しをしながら、生活を再開。そして、被災したアルバムなどの修復に乗り出しました。最初は人が生きるか死ぬかのところでがんばっている中、相手にしてもらえなかった訴えも、やがてだんだん支援者が出てきて、軌道にのります。写真の修復は時間が勝負。水洗いできるものかできないものかの見極めから始まり、一枚一枚丁寧で根気の必要な作業をやり続け、人々の思いでをレスキューしていらっしゃるのです。
大船渡は、私も震災後真っ先に行った町。あの惨状の中、自分のすべきことをきっちりと見すえてやってこられた金野さんに頭がさがります。大船渡市には気仙言葉の研究をして、気仙言葉で聖書を訳すというユニークな医師がいることもかねてから知っていたのですが、その方の古い聖書を修復したこともあるとのこと。
先日盛岡の博物館で教科書や古文書を修復している友人を紹介させていただきましたが、きっとどこかでつながっているのではと思います。Yちゃん、きっと私が紹介するまでもなく、この本を手にしているのでは?
そして作家の堀米さん。8時間かけてバスで大船渡まで往復され、この本を書かれました。地図で見ると近いようですが、交通の便がとても悪いのです。本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。金野さんの「修復しているのではなく、治療をしている」という言葉が胸に迫りました。