学校教育を考える

混迷する教育現場で,
日々奮闘していらっしゃる
真面目な先生方への
応援の意味を込めて書いています。

「夢はかなう」の欺瞞

2009-03-09 | 教育
「夢をもて」「夢は必ずかなう」などという言葉が
よく教室で聞かれるようになった。

果たしてこれは教育の場で言われるべきことであろうか。
前にもこのブログに書いたことだが,
生徒に語るにふさわしい言葉は,
「夢」などというあやふやな言葉ではない。

「夢は必ずかなう」にいたっては,嘘である。
世の中には,
夢がかなった少数の事例と,
夢がかなわなかった多数の事例があるだけである。
夢がかなった人と夢がかなわなかった人の間に,
優劣があると果たして誰が言い得るであろうか。
自分の目の前にいる生徒の幾人が
夢を実現し得るのであろうか。
そのことを考えるだけで,
「夢は必ずかなう」などという怖い言葉は
口に出来ないはずなのである。
そんなことを言うのは,
自分の夢がかなったと思っている人間の驕りである。

いくら一所懸命やっても,夢はかなわないことがある。
そのことをきちんと教えるべきなのが学校教育である。

そのうえで学校教育において,生徒に語るべきことは,
「目の前にある為すべきことを誠実にやり遂げよ」
「他人のために為すべきことを為せ」というに尽きる。

報われても報われなくても,目の前にあることをこつこつと,
自分のためだけでなく他人のために為すことの出来る人間を育てるのが,
学校教育の純粋な目的であろう。

大事なのは,「夢」などではないのである。

しかし,どうもこのような考えはすでに少数派のようである。