学校教育を考える

混迷する教育現場で,
日々奮闘していらっしゃる
真面目な先生方への
応援の意味を込めて書いています。

特色ある学校の特色のなさ

2008-12-11 | 教育
特色ある学校づくりと学校選択制が
リンクして語られることが多いが,
もしその両者を合わせて考えるとすると
次のようなことが起こる。

特色ある学校の特色は,
できるだけ多くの保護者に選ばれなければいけない
特色でなければならないということになる。

ということはすなわち,
保護者の希望の最大公約数に
特色のターゲットを絞らざるを得ない。

ということはすなわち,
特色ある学校をめざせばめざすほど,
その目指す特色は
どの学校も似たり寄ったりになっていくのである。

また,保護者に選択してもらうためには,
広報活動に時間とお金をかける必要がある。
教育活動よりも広報活動に手間をかけざるを得ないという
はなはだおかしな現象が生じてくる。
逆に言えば,広報活動に成功すれば,
教育の実質がどうであれ,
一時的には顧客を集めることができてしまうのである。

本当の特色というのは,
選ばれる選ばれないに関わらず,
この教育が生徒のためになるのだという信念に
基づいて築き上げられるべきもので,
その信念が受け入れられないならば,
学校を潔く閉じるという覚悟があってはじめて
特色を打ち出すことができるのである。

あまりにも,
「特色ある学校」などというフレーズを
安易に使いすぎてはいないだろうか。

特色ある学校づくりを目指して,
逆に実質を失っていく学校教育の現状を見るにつけ,
悲しく思うのである。