Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(482)

2023-11-15 00:10:00 | コラム
へん「しん」→「しん」ぱしー

ある映画を好きになる理由。

語り口のリズムが自分にあっている―だから脚本と編集は映画の要となる、、、ということは以前に述べたけれども、
それ以上に、登場人物に共感・共鳴するっていうのがあるはずなのよね。

英語でいえば、シンパシー(sympathy)。
共感し、彼ら彼女らのドラマをわがことのように感じ、怒り泣き笑い喜ぶ。

あのひとも・このひとも…と、やたらめったら共感する。っていう映画ファンも居るでしょうが、自分は少しひねくれているので、そんなに沢山の人物を自己投影することもなく。


すぐに挙がったのは、以下の5本の映画です。
まぁ分かり易いでしょうが。


『タクシードライバー』(76)

筆頭は、やっぱりコレ。
結局トラビスは、なにがしたかったのか自分でも分かってないのですよ。

ただ自分が負け犬であろうことだけは分かっている。
同僚のウィザードにいわれなくったってね。



「お前のいいたいことが、さっぱり分からん。女を抱け。遊べ。どう足掻いたってどうにもならん。俺たちは負け犬だ」

トラビスがえらいのは、そのことに自覚的でありながら、なんとかそれを変えようと思っているところなのです。

この映画を観て「暗い気持ちになる」というひとも多いでしょう、
でも一周回って? いや回らなくても、なんらかをこじらせている男からすると痛快な物語にも思えてきて、すごく元気が出るのですよ。

だってトラビス、死んでないのだもの。
死のうとはしたけれどね!!


『キャリー』(76)

またまた、76年の映画。だから自分は、70年代症候群を自称しているのです。

キャリー・ホワイトの半生は最期まで悲惨だった?
ように見えるが、彼女は、彼女が持つ才能を最大限に発揮して死んでいったわけで。

これまた痛快じゃないか!!



『ロッキー』(76)

また76年!!
マジかよ!? というか、この年って凄すぎじゃね??

トラビスが報われたケースが、ロッキー・バルボア、、、っていう単純な話でもないが、ロッキーは「俺はゴロツキだ」と呟くしね、「負け犬」とほぼ同義語でしょう。

この映画が素晴らしいのは、同じように負け犬っぽいエイドリアン、ミッキー、ポーリーをも輝かせているところでしょう。


『ゴーストワールド』(2001)

21世紀の映画は、たったひとつだけ。

青春が痛いことをこれほど繊細に捉えた映画はないと思う。
自分の世代から上、さらには下の世代の映画ファンにも共感されまくっているこの傑作が、いよいよ今月末スクリーンに戻ってきます!!


『モダン・タイムス』(36)

何度も観ている作品だが、これは最近「そう思うように」なった。

もう5年ほど派遣社員をやっているからね、工場や倉庫関係の。
合理化を進めればこうなることは分かっているし、それで生活出来ているのだから感謝もしているが、給与以外に得られるものはゼロだなと、こころの底から。。。



次回のしりとりは・・・
しんぱ「しー」→「しー」おぶらぶ。

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明日のコラムは・・・

『背中だけ汗!』
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シネマしりとり「薀蓄篇」(481)

2023-11-14 00:10:00 | コラム
かんけつ「へん」→「へん」しん

変身モノといっても、望まないのに変身してしまうものと、運命宿命と捉え変身することに自覚的なもの、、、のちがいがあって。
さらにいえば、いちど変身してしまったら「元へは戻れない」ものも居て。

元へは戻れない変身―自分が蒔いた種とはいえ、『ザ・フライ』(86)の主人公は悲劇よね。

世界的な大発明だったはずなのに、一匹の蝿が紛れ込んだために、あんなことに・・・。




ちなみにオリジナル作品、『ハエ男の恐怖』(58)は特撮的にいま観ると微笑ましいところがある、、、ものの、よく出来たホンでこれが当時「劇場未公開」なんてひどいな!と思います。



いちおうの理屈・理由はつけられているものの「もっと不条理感」のある変身は、塚本晋也の大傑作『鉄男』(89)。

平凡なサラリーマンが、突如「鉄」と化していく恐怖。

『ザ・フライ』のクローネンバーグと塚本は互いに尊敬し合っている関係にあり、なんかよく分かるよね^^

おそらく両者とも変身モノの金字塔、フランツ・カフカの『変身』を意識していることでしょう。

誰もがいうことだけれど、あんな芋虫みたいになったことを理解しても主人公は「なんとかして出社」しようとするのよね、そこがオモシロ怖かった。


変身モノの映画はビジュアルの効果がキモとなり、映画のテクノロジー史と密接な関係にあります。

狼男の映画史を見つめていくと、それがよく分かる。

『ウルフ』(94)におけるジャック・ニコルソンの変身メイクとか感心したもの、大袈裟でなく、とてもリアルで。
(メイクアップ担当は、この業界の巨匠リック・ベイカー)



葛藤はあったろうが、変身することに自覚的であるもの―その筆頭は、やはり『スーパーマン』(78~)でしょう。



日本産からひとつ。
ヒトではなくアンドロイドの設定ではあるが、如月ハニーの活躍を描いた『キューティーハニー』(2004)も変身モノといえばそうなるかな。

監督は鬼才アンノ。

サトエリは「大」好演ではあったものの、失敗作とされており。


今年公開の『シン・仮面ライダー』は、その失敗を踏まえた作品なのではないか―というのは多くの識者やファンから言及されているのですが、
先にいっちゃいましょうか、数日後の総括「今年のワースト映画」で『シン』を入れています。
それは、そのときに述べましょう(^^;)(^^;)


あすのしりとりは・・・
へん「しん」→「しん」ぱしー。

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日本女優別10傑(86)風吹ジュン

2023-11-13 00:10:00 | コラム
~風吹ジュンのキャリア10傑~

少なくとも40代以上の男はみんな好き?


といい切っちゃいますか、そんなジュンさんも71歳ですって!

アイドルとして人気が出るも移籍問題で躓き、一時期は干されたりして。
ただそれによって開き直り、演技の幅も広がったと。


(1)『コキーユ・貝殻』(99)

共演・小林薫、監督・中原俊で描く中年の恋の顛末とは。

すごくよいです、とにかく観てほしい。



(2)『蘇える金狼』(79)

優作と共演し、ラブシーンも堂々とこなす。


まだアイドルだと思われていたから、当時はそーとー衝撃的だったようで。

蛇足ですが・・・。
この時代はよいのだけれど、令和になったのだから、たとえば『花腐し』における「さとうほなみの演技」を「体当たり」とかいうのやめようぜ?


(3)『五番町夕霧楼』(80)

水上勉の代表作を、奥田瑛二・松坂慶子の主演で映画化。
ジュンさんは、松坂と同様に遊女を演じる。


(4)『毎日が夏休み』(94)

金子修介によるライトコメディの快作。

登校拒否の娘・佐伯日菜子と、出社拒否の旦那・佐野史郎に挟まれるジュンさんもかわゆいです^^



(5)『ザ・中学教師』(92)

長塚京三が主人公の教師をクールに熱演―タイトルで観る気が失せるひとも居るかもしれないが、90年代日本インディーズを代表する佳作。


(6)『カリスマ』(2000)

黒沢清が温めつづけていた企画を漸く出産、1本の木「カリスマ」をめぐる哲学のような物語。



(7)『無能の人』(91)

孤高の漫画家・つげ義春の代表作を竹中直人が監督。

映画俳優・風吹ジュンのキャリアが本格的に動き出したのは、じつはこの作品からだった―と思っている。



(8)『男はつらいよ 寅次郎の青春』(92)

シリーズ45作目のマドンナ、理髪店を営む蝶子役。


(9)『かまち』(2004)

エレキギター演奏の練習中に感電死したとされる高校生、山田かまち(享年17歳)の生涯を描く青春映画。

ジュンさんは、かまちの母親役。


(10)『スリ』(2000)

職業としての「スリ」を描く、黒木和雄の力作。
あまり話題にもならなかったが、主演の原田芳雄は素晴らしいし、ジュンさんはもちろん、真野きりなや石橋蓮司も好演していて見応えあり!


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3ヵ月予報?予想?計画??

2023-11-12 00:10:00 | コラム
今月、来月、再来月の、おおよその計画を^^

11月23日…北野武最新作、『首』初日鑑賞

11月25日…塚本晋也最新作、『ほかげ』初日鑑賞(じつは観てますが、あらためて)



12月24日…ケンタ+ケーキ馬鹿喰い、ワイン阿呆呑み

12月31日…「RIZIN.45」生観戦


これら非日常に臨むために日常があり、市井の民はコツコツと働くほかはありません。
というわけで、1月の計画は「ひたすら労働」。

えぇ、がんばります!

で、来年は2年ぶりに帰省しようかと^^


※日常に戻る…そんな結末だから、『8Mile』が好きなのです



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放送も配信で。~2023回顧(5)~

2023-11-11 00:10:00 | コラム
2023年度の回顧特集、第5弾は「映画以外のメディア」を展開。

テレビ番組・配信番組・ラジオ番組・映画の予告編などが対象。


観たいテレビ番組があったとしても「必ずしも」録画しなくなりました。

「観なくてもいいや」ではなく、見逃し配信のサイトが出来たから。
ここでチェックすれば、テレビに接続しているハードディスクをフル稼働させなくてもよい―うん、素直によい時代だと思います^^


①ドキュメント「シン・仮面ライダー」 ~ヒーローアクション挑戦の舞台裏~(NHK)

本編よりもおすすめ出来る、異様かつ衝撃的なドキュメンタリー。

これはちょっと凄いですよ、みなさん。
観てないひとは、本編はいいので「とりあえずこれだけでも」どうにかしてチェックしてください。
(大きな声ではいえないけれど、動画サイトに転がってます)

段取りを「悪しきもの」として排除しようとするアンノ監督と、段取りあってこその映画だろうよ!? と疑問を抱きつづけるアクション監督の対立は、チームの雰囲気を最悪なものにさせる…。


アニメーション出身の監督だから―といういいかたはしたくないが、ちょっとこの感覚は理解出来なかった。


②量産型リコ ―もう1人のプラモ女子の人生組み立て記―(テレビ東京)

プラモデル制作にアイデンティティを見出す女子―まさかの続編制作に、1作目のファンは歓喜した。

一部俳優の過剰な演技に「・・・」となったところもあるが、とくに後半の展開はよかったんじゃないかな。




③有吉クイズ LINEの回(テレビ朝日)

「やりとりが途絶えた」LINEのグループに投稿し、3分以内で「既読」がついたら負け、、、という現代的なゲーム。
腹を抱えて笑った、この画像のせいやさんくらいマジで爆笑した^^



④BLACKHOLE(配信番組)

高橋ヨシキ・柳下毅一郎・てらさわホークによる映画談義。

スピルバーグ論、スコセッシ論とても見応えがありました!!


⑤RIZIN.42煽りV(スポーツ興行・配信)

関係者死去を受け、YMOで統一したのが素晴らしかった。




⑥キング・オブ・コント(TBS)

コント芸人の日本一を決める大会、今年も面白かった。
というか、年々レベルアップしていてすごい。


⑦WBC中継(各局)

やっぱり、スポーツ中継は地上波があったほうがいいんじゃないかなぁ!!


⑧爆笑問題のカーボーイ 中田敦彦問題を語った回(TBSラジオ)

松本人志に噛みついた中田あっちゃんの心情を読み取ろうと、太田さんがかなり頑張っていた。


あっちゃん。
どうでもいいけど、ちゃんと自分でケツを拭かないと。


⑨益若つばさチャンネル(配信番組)

単にファンなので、コスメとか自分とは無関係な動画もチェック^^


⑩有吉ミュージックフェス(テレビ東京)

藤井兄弟の演奏で『白い雲のように』を聴けただけで大満足!!


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