masumiノート

何を書こうかな?
何でも書こう!

天然ガス輸送パイプライン@新たなエネルギーインフラの実現

2017年03月29日 | 切り抜き

天然ガス輸送パイプライン設置研究 舞鶴−三田間

兵庫県と京都府の「北近畿エネルギーセキュリティ・インフラ整備研究会」による日本海側の天然ガスインフラ整備に向けた研究が進んでいる。同研究会の提言を受けて国側も高速道路へのガスパイプライン設置の技術指針づくりを本格化。同研究会ではメタンハイドレートの開発を視野に、京阪神の経済効果や災害への備えなどのメリットをアピールし、新たなエネルギーインフラの実現につなげたい考えだ。(辻本一好)


 同研究会は2015年9月に発足。事務局の県、京都府のほか、大阪ガスや関西電力などのエネルギー関連企業、両府県の経済団体、近畿経済産業局などが参加している。

 同研究会での議論が注目される背景には、パイプラインなど天然ガスインフラで日本が極端に遅れている現状がある。

 石炭、石油から天然ガスへの転換を地球温暖化対策の柱とする欧米では数万から数十万キロの幹線ガスパイプライン網を整備しているが、日本では約2450キロにすぎない。「とりわけ日本海側は富山県から島根県まで幹線がまったくない」(事務局の県水エネルギー課)

 東日本大震災で仙台港のガス施設が被災した際、新潟から天然ガスを運ぶためにあったパイプラインが仙台市内のガス供給の早期復旧に活用されたことで、エネルギーセキュリティの面からも注目されるようになった。国家主導で幹線網を整備する中国、韓国にも劣る状況が課題として指摘されている。

 同研究会では、こうした状況を踏まえて研究を進め、15年12月、国に国内の整備計画の策定と財政支援制度の創設などを提言した。

 近畿における具体策として、京都・舞鶴湾の液化天然ガス(LNG)基地整備と、既存の幹線パイプラインが通る三田市までの幹線整備を提案。さらに舞鶴若狭自動車道を活用することで経費が一般道利用に比べ約3分の1の337億円(管径750ミリ)で済む試算を示した。

 これを受けて、一般財団法人・国土技術研究センターが高速道路にパイプライン設置する台湾の実例を調査するなどして技術指針を策定中だ。

   ◇

 背景のもう一つは、日本海に眠るメタンハイドレートの研究が本格化していることだ。資源エネルギー庁の調査では1742カ所で存在が見込まれ、うち新潟・上越沖の海底1カ所で、日本の消費量2日分に当たる約6億立方メートルの存在が確認されている。

 同研究会は、まず米アラスカやロシアからの安価な天然ガスを調達し、長期的には日本海のメタンハイドレートをパイプラインで供給することを目標としている。

 1月の第6回研究会では、パイプラインを計画する北近畿地域でのガス需要の試算や需要を増やすためのガス火力発電所の必要性などが事務局から説明された。

 これに対し、委員からは「京阪神の消費地にどれだけのコスト競争力のあるものが届けられるのかを示すことが必要」「日本のエネルギーの在り方を変える施策として必要性を訴えるべき」などの声が上がった。

 県水エネルギー課は「沿線と大都市への便益と費用について精度を上げ、パイプラインの意義を示していくことがまずは目標となる」としている。


 【メタンハイドレート】高圧低温の環境で水とメタンが結びついた物質。海底の地下深くにある太平洋側に比べ、日本海側は海底表面付近にあり、「表層型」と言われる。採取する技術が開発されれば低コストで無尽蔵の国産エネルギーになると言われている。


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。