masumiノート

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請負人越後屋 №21

2010年05月22日 | 作り話
翌年の2002年、日の丸ダイヤ石油は太陽光線グルグル石油に社名を変更した。

石油業法が廃止され石油は完全自由化となり、元売りは販社を作り小売りを開始した。

広大な敷地面積にカーケアの為の設備も整えた立派なガソリンスタンドを新設し、従業員にはマニュアル通りの接客をセミナーを通して身につけさせた。
「国際標準」をキーワードに、海外でも活躍している人気のスポーツ選手を起用してテレビCMも大々的に流した。
但し、新設されたガソリンスタンドは全てセルフ方式だ。

同時期、既存の販売店のフルスタンドからセルフスタンドへの改装も盛んに行われた。
しかし、それは資本力のある企業に限られ、個人経営の店は資金が無いのはもちろんだが、敷地面積においてもセルフへの改装が困難な所が多かった。

セルフが解禁になった1998年当初はそれほどセルフ店は増えなかったのだが、ここに来て雨後のタケノコのように一気に乱立し出した。
セルフへ改装すると元売からセルフ補助として卸値をリッター3円程度安くしてもらえるのだ。


既存のフルスタンドの店主たちは最初、客は油で手が汚れることを嫌うだろうし面倒がってセルフを利用しようとは思わないだろう、と楽観視していたのだが、圧倒的な安値に客足を奪われるのは時間の問題だった。
最初は若者だけだったのだが、徐々に老人も利用するようになり、フルスタンドは益々苦境に立たされることになり、業転を取らなければ本当にやっていけない状況になってしまったのだ。

そんな状況のまま時は流れた。
全国のガソリンスタンドの数は、1997年には58263店あったものが2005年には47584店にまで減少し、山間部ではガソリンスタンド過疎地が出現する程にまでなってしまった。
もちろん閉鎖、倒産した販売店の中には、業転を取って凌いでいた店もあるし、元売マークを外してPBとして営業していた所もある。

しかし三沢たちの予想に反して、そんな状況にあっても業転に手を出さず堪えている系列販売店が全国には存在した。

業転を取っても取らなくても、潰れるところは潰れるし、潰れない所は潰れないのだ。

販売店の間では、業転を取ることは企業努力であり、安い業転玉を利用しないのは経営者として失格だと言いだす者もあったが、果たしてそうであろうか?

業転を仕入れるなどと言うことは簡単に出来る事であり、とても安易な方法ではないか。
又、一時世間を賑わせたネギやホウレン草の産地偽装のように、商品が消耗品でなく口に入る食品であったなら確実に問題になっている行為ではないのだろうか?

しかし、当の業転玉を出している張本人の元売としては、このまま世間が騒がないでいてくれることを願うばかりだ。
その為にもマスコミ対策としての広告宣伝費には巨額を投じなければならない。

つづく



※この物語はmasumiさんの被害妄想に基づくフィクションです(^^;
実在の人物及び団体とは一切関係ございません。

尚、加筆修正及びキャラの変更等もあるやも知れませぬことをお断り申しておきまする(^^;


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