重くのしかかるカード手数料
仕切価格の上昇分を小売価格に転嫁すればするほど、燃料油マージンの減少を招く皮肉な現象に、東北地区のSS販売業者は頭を痛めている。
※燃料油マージンはいつまで経ってもリッター当たりいくら。
しかしカードの手数料は売上額の何%で計算されるため、値上げするほどガソリンマージンは圧縮される。
「発券店値付けカードに潰される」
大阪市内のSS店主は「クレジット会社系の発券店値付けカードが増えてきており、SSの利益が一段と侵食されている」と憤っている。
「最近は超優良顧客が軒並みピンポイントで狙われており、現状のままでは市内型SSは発券店値付けカードで全滅してしまう」と危機感を募らせている。
同SSの優良法人客の粗利益はリットル15-18円。
以前はオイルやタイヤ交換などメンテナンスも殆ど任せてくれていた」といい、優良客は1社で月間50-100万円の利益が出ていたという。
しかし、「軒並み発券店値付けカード客になってしまっている」と嘆く。
「今まで適正利益が出るように手塩に掛けて育ててきた優良顧客が一夜にして、メンテナンスも一切ダメ、わずか7円の給油手数料のみの(※)最低ランクのカード客になってしまう。系列SSに対する暴挙だ。元売はなぜ系列店の経営を圧迫するカードを容認するのか理解に苦しむ」と、元売のカード戦略に疑問を唱える。
※当店は10年以上前にコレに遭いました。
リッター当たりのマージンが15-20円の、月に150万円以上の売り上げがあった企業が、信販系の発券店値付けカードを利用されることになったのです。
メンテナンスも任せてもらっていたので、冬場のタイヤチェーン装着やシャンプー洗車などはサービスするなど、大切にしてきた取引先が一夜にして“(※)最低ランクのカード客”になってしまいました。
けれども、給油に来られる従業員の方に、その違いが分かるはずもありません。
そして、それまで同様に「洗車」や「ちょっと○○して」と、利益が発生しない注文をされていましたので、
もし当時の私がこの発券店値付けカードのシステムについて知っていたとしたら、精神的にきつかっただろうと思います。
(因みに現在は取引はしていません。発券店がかわって(?)他元売のカードになったようです)。
あの頃、実感としてはまだなかったものの景気が下向きかけており、経営コンサルタントを導入する企業も増えました。
その経営コンサルタントの意見に従い、社有車をリース車に替えたり、掛け取引での給油ではなく発券店値付けカードでの給油に替えたりした企業も多かったと思います。
給油に来られたら、灰皿・窓拭き・タイヤエアチェックなど行うことは一緒です。
けれども、自店の掛けのお客さんならリッター当たり15-20円の粗利を得られたものが、
発券店値付けカードを使われることによって軽油で5円、レギュラーで7円の手数料(粗利)しか得られなくなってしまうのです。
もし月に10キロリットルの取引なら、150,000円~200,000円あった粗利益が、
やることは同じなのに、軽油なら50,000円、レギュラーで70,000円と、半分以下の粗利益になってしまったのです。
社有車をリース車にされて、オイル交換などの油外収益も得られなくなる・・・
(※リース車の給油口の蓋には「この車はメンテナンス契約車です。油脂交換など一切しないで下さい」というステッカーが貼ってあります。
こんな企業が数社ともなれば、とても大きな痛手です。
経費は変わらないのに収益が激減して敗退していった販売店も多かったことでしょう。
(全国的にガソリンスタンドの減り方は凄かったです)
“(※)最低ランクのカード客”と書かれた発券店値付けカードですが、
好市況地域にはそうかも知れません。
粗利益が20円以上ある掛け取引を多く抱えている販売店にとっては、発券店値付けカードの客が増えると、そちらに手を取られ、大得意先へのフォローが出来なくなるという理由で敬遠する向きもあります。
しかし平常粗利が一桁という激戦区では、“ありがたい”または、“ないよりマシ”となるコトも事実です。
私は永い事その仕組みも知らずに来たので、「常連さん」という意識でした。
発券店が値段をつけるカードなんてことも知りませんでした。
「どこの店でも使えるのに当店を利用してくれる」と思えば、ありがたいことでもあります。
中には「明日から移動で勤務先が変わるので、ここでお世話になるのは今日が最後です」なんて挨拶をしてくれる方も居て、当店では“最低ランクの”、なんてコトは思っていません。
ただ元売に対して、給油代行手数料をせめて10円にしてほしいとは思います。
そして、店舗も持たないペーパー企業が発券だけしてマージンを得るというのもどうかと思いますし、
又、発券店によって単価が違ったり、地場の販売店より安値というのも不信感の元ですね。
つづく
骨折り損の
くたびれ儲け。
それよりも嫌だったのが、
ダンピングの片棒かつがされているという
罪悪感。