「政治家は決断せよ」100兆円財政出動でコロナから日本を救え自民党若手議員の直言
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https://news.goo.ne.jp/article/dot/politics/dot-2020053000009
2020/05/31 13:26
新型コロナウイルスが日本で感染者を出してから4カ月が過ぎた。緊急事態宣言は解除されたが、その間に経済活動は停滞し、幅広い業界で売り上げが減少している。
この間、政府は1人一律10万円の定額給付金など、さまざま施策を打ち出している。しかし、現時点で政府からは布マスク2枚の“アベノマスク”すら届いていないという人も多いだろう。
一方、自民党内には、もっと積極的に財政出動をして、国民の生活を支えるべきだという議員もいる。安藤裕衆院議員(55)が会長を務める議員連盟「日本の未来を考える勉強会」は、中小企業への売上金の補償や国民全員への追加の定額給付など、100兆円規模の補正予算を求める提言を発表した。
現在、政府・与党で検討が進められている第2次補正予算は、6月8日に国会に提出される予定だ。提言は実現不可能な夢物語なのか。それとも日本の危機を救う処方せんなのか。安藤議員に聞いた。
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──新型コロナのパンデミックで、経済の停滞が深刻となっています。今後、日本では何が起きるのでしょうか。
エヌエヌ生命保険が実施した経営者へのアンケート調査によると、6月末までに経営危機に陥る企業が6割にのぼります。一日も早く、迅速な手立てが必要です。どんな企業でも廃業、倒産をさせないために、財源を国がしっかりと手当てする。具体的には、100兆円の国債を発行して、「みなさん安心してください」というメッセージを伝えることです。
──どのような政策が必要でしょうか。
第1次補正予算で約2.3兆円計上された事業者向けの持続化給付金を大幅拡充し、50兆円にする。家賃や光熱費だけではなく、事業費全般を補償する必要があります。そのためには、売上高から売上原価を引いた「粗利」を補償すればいいのです。
そのほか、体力の弱った中小企業が外国資本から買収されることを防ぐため、政府補償による資本注入に10兆円。医療・介護施設への支援に5兆円、就職難が予想される新卒生の雇用を守るため、国や地方公共団体が公務員の採用人数を増やし、積極的に雇用できるようにする。保護者の収入減やアルバイトの減少で困っている学生に向けて、1人100万円を100万人に給付する。地方公共団体への臨時交付金も5兆円。1人一律10万円の定額給付金も、今後も第2弾、第3弾を視野に入れるべきです。
これらの内容は、議員連盟「日本の未来を考える勉強会」としても提言しています。
──100兆円も国債を発行すると、日本は財政破綻しませんか。
日本が財政破綻するリスクは極めて低い。日本の国債は自国通貨建てなので、返済不能になることはありません。財務省のホームページでも「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と書かれています。日本の財政破綻がありえないのは政府の正式見解なのです。
国債の償還期が来ても、日本銀行が購入すればいい。今、日本銀行の日本国債保有量は、全体の4割以上を占めています。それでも、日本の国債は世界で最も信頼されている債権の一つなのです。100兆円の国債を発行しても、ハイパーインフレが起こるようなことはありません。
すでに日本銀行は4月、年間約80兆円と定めていた国債購入の上限を撤廃したと発表しました。それでも、国債の金利は低いままで安定しています。
──現在の日本の財政出動の規模では、まだ足りませんか。
米国や中国、そして財政規律を重んじてきたドイツですら、コロナショックを受けて積極的な財政出動政策に変化しました。にもかかわらず、日本の財政出動規模は第1次補正予算で約25兆円。米国が300兆円以上、中国も50兆円以上の財政出動を決めているのに比べれば、まだまだ少ないと言わざるをえません。
限りなくゼロに近い国の財政破綻のリスクと、コロナショックで困窮している人や、倒産や廃業をせざるをえない人たちを救うことのどちらが大事か。政治家としてやるべきことの答えは明らかです。予算を小出しにしてケチケチしていては、今、コロナで苦しんでいる人への支援が間に合いません。
──休校措置に伴う休業補償や持続化給付金については、当初は性風俗業が対象から外されていました。
そういったやり方は間違っています。新型コロナが収束するまでは、性風俗業の人たちも給付金をもらい、安心して休業してもらわなければなりません。結果的に、それが感染拡大防止にもつながります。
今は有事です。性風俗業界の利益が暴力団に流れていることが問題だとしても、それは平時に対策すること。今やるべきことではありません。どんな人であっても、コロナが収束するまでは安心して暮らせる。政治は、そういうメッセージを出さなければなりません。
──財政赤字が増えると、将来に税金の負担が増えると心配する声もあります。
今、日本のGDP(国内総生産)は約550兆円。それがコロナショックで400兆円以下になるかもしれないとも言われている。民間が支出を控えているなかで、やれることは政府が積極的に支出を増やすことしかありません。だから、100兆円の財政出動が必要なのです。
財政出動をしなければ、コロナで痛んだ日本経済の再建はできません。そして、経済再建なくして財政再建もありえない。財政再建の話は、この危機を乗り越えてからすべきです。
──消費税の減税については、どう考えていますか。
消費税は、不景気の時でも安定した財源を得ることができます。しかし、それはウラを返せば不景気で消費が落ち込んでいるときにも、国民は好景気の時と同じように税金を払わないといけないということ。
これが所得税や法人税なら、不景気でその年の収入や売り上げが下がれば、納税額は自動的に減ります。これは、景気の動きに応じて自動的に税額が調整される「ビルト・イン・スタビライザー」と呼ばれている機能です。ところが、平成時代の日本は、法人税や所得税を下げ、消費税を10%まで上げた。そのために、不景気でも多額の税金を払わないといけなくなり、自動的に納税額が調整される仕組みが弱くなった。特に、消費税は財政的な体力の弱い中小企業の負担が大きい。
すでに、2019年10月に消費税が8%から10%になったことで、同年10〜12月のGDPは年率換算で7.1%も減っています。そこに、コロナショックが襲ったのです。消費を回復させるためには、平成の税制改革を反省し、「昭和の税制」に戻さなければなりません。そのためには、消費税をゼロにすることが重要です。
──大規模な財政出動は、財政規律を重んじる財務省が抵抗します。与野党問わず、政治家には財政規律を求める人も多い。そのなかで、100兆円の財政出動は実現できるのでしょうか。
1997年に消費税が3%から5%に上がり、同じ年にアジア通貨危機が起きて、日本は深刻な不況に陥りました。自殺者は年間で1万人増え、その後、10年以上も自殺者数は高止まりを続けました。消費増税とコロナショックが同時に襲った今の日本では、97年と同じことが起きる危険性があります。
しかし、実際にはこうした問題のほとんどはお金で解決できることなのです。さきほど話したように、日銀も国債購入の上限額を撤廃しました。米国や欧州、そして中国も財政出動に動いた。状況は整った。あとは、政治家が決断できるかどうかです。(聞き手/本誌・西岡千史)※週刊朝日オンライン限定
自民党議員に税金から200万円支給、申請不要で即時振り込み
https://www.news-postseven.com/archives/20200612_1569947.html?DETAIL
経済活動が長期にわたってストップし、多くの国民が生活苦に直面するなかで行なわれていたのは、予算流用だけではない。なんと、身内である自民党議員たちに対しては、“極めてすみやかな支援”が行なわれていたのだ。
全国民に一律10万円を配る「特別定額給付金」の支給が、遅れに遅れている。オンライン申請のトラブルが相次いでおり、手元に届いた申請書を返送してもいまだ受給できていないケースが大半というのが現状だ。
高市早苗・総務相は5月29日の会見で、「全体の99.9%にあたる1740団体(市区町村)が給付を開始した」と胸を張ったが、実際に給付された世帯はわずか28%(6月5日時点)。
収入が大きく減った中小企業に最大200万円(個人事業主は同100万円)を支給する「持続化給付金」も、「書類を送っては何度も“不備がある”と突き返され、不備の内容を問い合わせようにも電話が何時間もつながらない」(都内の個人事業主)といった悲鳴が相次いでいる。
「必要な方に支援を一日も早くお届けできるよう、全力を尽くします」──5月25日、緊急事態宣言解除の会見で安倍晋三・首相が述べた言葉を信じている人は、もういないだろう。
ところが、である。総理会見の翌26日、衆参の自民党議員にはいち早く「給付金」が届けられていたのだ。それも1人あたり200万円の大盤振る舞いだ。
「5月26日に党本部から各政党支部に200万円の支部交付金が振り込まれた。通常の支部交付金は年6回に分けて総額1200万円が配られるが、今回はそれとは別枠の臨時の活動費という説明だった」(自民党ベテラン秘書)
◆歳費は減らしたけど……
自民党が配った支部交付金の原資は政党交付金。国民一人あたり250円の「税金」から捻出されたカネである。
年に一度の使途報告は義務づけられているものの、事務所賃料から人件費、政治活動費としての飲食代(会合費)まで使途に制限はない。政治家が自身の政治団体(資金管理団体)に寄付することも可能な非課税の収入である。国民が各種給付金の複雑な手続きに悪戦苦闘している間に、こっそり「申請不要、即時振り込み」の支給がなされていたわけだ。
新型コロナ対策で、国会議員の歳費は2割削減(5月から1年間。月に約26万円減額)されていたが、結局は政治資金でしっかり補填されており、「身を切るフリ」でしかなかったことがよくわかる。
感染拡大によって自民党議員は地元入り自粛が通達され、議員会館と宿舎を往復する生活が続く。「支持率も下がっているから、地元活動に励めということだろう」(同前)と受け止められているのだ。
この交付金について、自民党本部に質すと、「日常の支部の政治活動のために、年4回の定期支給分を含め、通例年6回支給している交付金のうちの一つ」「その年によって支給日がずれることがあります」との回答があった。
国から各党への政党交付金の振込は4月、7月、10月、12月の年4回。自民党ではそれに合わせた各支部への「年4回の定期支給」があり、それ以外の2回の支給は、過去の使途報告を見るとほとんどの年で6月と12月に行なわれている。
自民党の回答は、今回の200万円が臨時ボーナスではなく「いつも支給しているカネを今年はたまたま早く渡しただけ」と言いたいようだが、国民への給付状況を考えれば、身内に対してだけ、あまりに“柔軟な対応”で驚くしかない。
※週刊ポスト2020年6月26日号
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ほんとに驚きですね。
10万円もマスクも未だに届いていない私は開いた口が塞がりません。
コロナ禍で職を失ったり家賃が払えなかったりする人たちがいるなかで?
コロナ禍は言わば国難、そういう時に無償で働くのが公僕だと思うのですが?