masumiノート

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請負人 越後屋 №22

2010年05月27日 | 作り話
2006年のある日、石油組合と自国民党の燃料を考える議員の会の面々から元売首脳陣たちが呼び出された。

組合員の間から、元売の仕切り値に対する不満が沸き上がっているのだと言う。
インターネットの普及で他店の仕切値などの情報が手に入るようになり、差別対価の存在に異議を唱えだしたのだ。

「過疎地問題のこともありますし、元売さんとしても何らかの対応を取って頂かないと収拾がつきません。それに、このままでは何れ消費者に対しても元売のイメージダウンに繋がりますよ」

元売にしてみれば、量が出ない採算も取れないような地域のことは知ったことでは無いのだが、イメージダウンに繋がることだけは避けなければならない。

石崎は社に戻ってから三沢に電話を掛けた。

「ふーん、そうなの?・・・ガソリンスタンドの経営者ってしぶといわね。ちょっと甘くみていたわ。それにしても、こんなに厳しい経営状況なのに何でみんな業転を取らないのかしら?元売に義理立てなんてやめればいいのに。 何でも販売店の8割が赤字なんですってね・・・それでも辞めないなんてどっかおかしいんじゃないの?」


石崎は知っている。
彼らが業転に手を出さないのは、元売に義理立てしているからでもなく、マーク剥奪を恐れているわけでも無い。
ただ自分の良心がそれを許さないだけなのだ。

借金があり、辞めるに辞められない所もあるだろうが、そういう販売店にしたって、既存客を大切に思う気持ちもあり営業を続けているのかも知れない。
大きな企業は採算が取れないとなるとすぐに撤退するが、地域で長年生業としてやってきた彼らには採算だけでは無い何かがきっとあるのだろう・・・




数週間後、三沢がやって来た。

「マーくん! 私って天才かも? いいこと思いついちゃった!」
上機嫌で部屋に入ってきた。

三沢が考えたのはこうだ。
今は仕切り値がひとつだから(建前はそういうことになっているから)不平不満に繋がるのだ、と。
仕切り値を数種類作りましょう!
その中からどれを選ぶか、それは特約店に選ばせる。
販売店はその特約店に従うしかない。

「仕切り値が余所と違うのは、特約店が選択した方法が違うから。これ、しようがないじゃない?」そう言って不適な笑みを浮かべてみせる。

石崎は鳥肌が立つのを覚えた。



つづく

※この頃、国会等でもガソリンの流通実態についての審議が行われています。

第162回通常国会 平成17年5月13日
http://www.matsushima-midori.jp/opinion/162/05051301.html

総合資源エネルギー調査会石油分科会次世代燃料・石油政策に関する小委員会
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0001970/gijiroku03.html



※この物語はmasumiさんの被害妄想に基づくフィクションです(^^;
実在の人物及び団体とは一切関係ございません。

尚、加筆修正及びキャラの変更等もあるやも知れませぬことをお断り申しておきまする(^^;

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