都市ガス小売りが完全自由化される来年4月に向け関西電力は1日、事業登録を経済産業省に申請した。大阪ガスの営業エリアで事業展開する。関電は、電力小売りが全面自由化された今年4月以降、大ガスなどの新規参入事業者「新電力」に顧客を奪われてきたが、電気とガスのセット販売で割安な料金を設定し巻き返しを図る。

 来年4月から大ガスなど都市ガス事業者による地域独占や料金規制が撤廃され、家庭も購入先を自由に選べるようになる。新規参入業者は都市ガス事業者が持つガス管を、使用料を払って使い、顧客にガスを販売する。東京、東邦、大阪の大手都市ガス3社は、34年にガス管事業を別会社化し、他の企業がガス管を公平に使えるようにする。

 関電は東日本大震災後に2度にわたって電気料金を引き上げたこともあり、今年4月の電力小売り全面自由化以降、新電力に顧客を奪われてきた。

 大ガスが強固な販売網を生かした営業活動で約17万件の契約を獲得するなど、6月末時点で26万件超が新電力に切り替えている。また、企業向けでは、新電力の関西での販売電力量シェアは上昇を続け、すでに1割を超えている。

 こうした苦境に立たされる関電にとって、ガス小売り自由化は「新たな成長に向けたビジネスチャンス」(関電幹部)となる。営業エリアは大阪ガスが都市ガスを供給している近畿2府4県で、約720万世帯が対象となる。

 すでに自由化されている企業向けでは平成12年に参入。27年は約72万トンを販売した。今年6月の組織改正でガス事業本部を立ち上げるなどして態勢を整え、30年に販売量100万トンを目指している。