11月8日 続き
妙見温泉で宿泊したのは橋を渡ってすぐ右手にある「おりはし旅館」。
入り口におなじみ「日本秘湯を守る会」の提灯がさがり、受付はその先のこじんまりした一棟で。
たくさんの焼酎などお土産品も並ぶこちらで記帳をして
お抹茶をいただく。お茶請けは「げんたは」という鹿児島の黒糖蒸しパンのようなお菓子だ。
こちらのお宿は広い敷地内にたくさんの離れが散らばる造り。
今回の我々の部屋はフロントに近い「天泉」と言うお部屋。
入ってすぐにベッドルームがあり、次の和室は6畳と狭い。どちらも小さな窓の外は壁と言う造りになっていて昼でも暗いのだが、その狭さのせいかまるで我が家のようにくつろいでしまう。
しかしこの部屋で特筆すべきは浴室で
3,4人は入れそうな内湯のお湯は床にざあざあと流れ続け
その外には冷水槽を備えた露天があって、どこからか甘い金木犀の香りがする。
泉質は成分表によるとナトリウム・マグネシウム・カルシウム・炭酸水素塩温泉とあるが田島本館の神経痛の湯とそっくり。内湯は40℃ほどの適温、露天はちょっと熱めに調整されていて、いつでもこれに入れる幸せ。
が、この旅館のお風呂はここだけではない。
こちらの名物湯は夜8時までしか入れないので、まずはそちらへ向かう。
こちらは別館「山水荘」という素泊まり専門の湯治棟。
と言ってもこちらもとてもきれいな造りで、玄関を入るとすぐに仲居さんが渡り廊下の先にある浴室を案内してくれる。
広々とした更衣室から浴室に入るとこちらはかなり狭い。
変形三角形の浴槽が二つあって、片方は「竹の湯」という緑がかったお湯。部屋のお風呂と同じお湯だが、こちらは43,4℃と熱い。そしてもう片方が「きずの湯」というこの旅館自慢の温泉。泉質表示は竹の湯と同じだがこちらは透明、35,6℃だろうか、体温より冷たく、金気臭が強くて酸味もあり、入っていると体に炭酸の泡が付いてくる。竹の湯で体を温めてからきずの湯に入るとなんだか体が軽くなるようで気持ちいい~。
浴槽と洗い場の間に壁が作られているのも気が利いているし、なにより2,3人入るのがやっとのこの人気のお湯に湯治棟の宿泊者がゆっくり入れるよう時間を区切っているのもよく考えていると思う。
こちらを出たらさらにもう一湯。
大きな金木犀の木がそびえる駐車場のそばに露天風呂がある。
20人ぐらいは入れそうなほど大きく開放感があるが、露天は部屋でも同じだね。
と湯めぐりをして部屋で一休みしていればやがて夕食の時間。
食事はフロントの隣、大正時代に作られた本館で。
明るい時に見ても素敵だけれど
暗くなるとさらに風情がある。
こちらは少し前までは2階に宿泊することができたのだそうだが、離れを増設して食事処が足りなくなったということで今はすべて食事専用になっており、我々は2階の広い部屋に案内してもらった。
障子の上にはノーベル賞受賞者、江崎玲於奈さんの額がかかっていたり
入り口には仲居さんが「ちょっと怖い」(笑)という絵が描かれていたりして面白く、テーブルの上のちょっとした花まで手がかけられている。
食事を始めようとしていると大女将が挨拶に現れた。わざわざ部屋を回って挨拶に来るところも最近はめっきり少なくなった。
「この部屋を気に入っていただけたようで、2階に案内してよかった」とおっしゃる女将、明るくてとても感じよく、予約の電話でも好印象だったのはこの人だったのだろうか。
食事も上品な味付けで量が多すぎることもなく
でも御飯のお代わりはとても無理。最後のかぼすゼリーでさっぱりしめて
外をちょっと散歩して、お風呂に入ってぐっすり。
翌朝の朝食も同じ部屋で、赤くなり始めた庭木を眺めながら
たっぷりのサラダに鰹節がいっぱい乗った湯豆腐などいただいて大満足。
妙見温泉はもうずいぶん前に一度「雅叙苑」に泊まったことがあったけれど、自分的にはこちらの方が好きかもしれない。
田島本館の宿泊も面白そうだし、石原荘も気になるし、妙見温泉はまた来なければ。
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