Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

シリア周遊 14 アレッポあちこち

2009-06-29 02:57:35 | 中近東/北アフリカ
5月6日

ホテルの朝食がいまいちなので、ロンプラに「アレッポに来たらこれを食わずに帰るな」と書いてある店へ行く。

ここらかな、と思しきあたりに行くと、なるほど人だかりのする店が一軒。
 
おやじだらけの店内に圧倒されつつ、店の人に促されて奥のテーブルにつく。

待つ間もなく出てきたのはフール。
 
アラブ圏では定番の朝食、ソラマメの煮込みだが、この店ではヨーグルトとオリーブ油、パプリカがかかって出てくる。これを生玉ねぎをかじり、パンをつけながら食べると、優しい味でおいし~。
うまい、うまいと食べつつ、一皿食べ終わるとお腹はパンパン。なるほどこれは男の朝食だ。

本日の歩き始めはキリスト教地区にある民俗博物館。
 
小さな入り口をくぐり、階段を登ると、中庭を18世紀に建てられたお屋敷が囲んでいる。
  
 
細部にまで凝った装飾の施された室内には古い家具や道具が並べられ、まあ、ありがちな民俗博物館なのだが、
 
このマネキンの皆さんがなんとも。哀愁のこもった眼差しと立派なおひげがたまらない。

たっぷり楽しませていただいたらまた街歩き。
 
 
つっかえ棒で支えられた壁は大変だけど、木造の出窓がやっぱり素敵。

 時計台があるのは町の中心。
ここを右に入ってしばらく行くとアレッポの国立博物館がある。

 
入り口の印象的な柱はテル・ハラフから出土した紀元前9世紀の彫像の複製。
 内部は中庭の周りを年代順の展示がぐるっと囲む造り。

ここにもマリやウガリット、テル・ブラックなどなど、いろいろな国の発掘隊が掘り出したお宝が一杯。日本の発掘隊によるものもちゃんと明記されていて興味深いが、振り返ってみると何があったか今ひとつ印象が薄い。広々としたこの館内も、ダマスカス同様、改善の余地おおいにあり。

博物館からスークの方向に向かうと、途中に石鹸屋さんの並ぶ通りがある。
 
どの店にも石鹸がぎっしり。
 なぜか石鹸とコーヒーやスパイスを一緒に売っている店が多い。
 
店頭のこのきれいな模様はザータル。タイムやゴマ、スマックなどのハーブ・ミックスだが、このディスプレーのセンスが好き。

そしてまたスークに入り込む。


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シリア周遊 13 アレッポの旧市街

2009-06-25 20:46:29 | 中近東/北アフリカ
5月5日 続き

昼食を終えたらアレッポのスークに突入する。

 まず目に付いたのは里芋かジャガイモのような、土のついたゴロゴロした物。言葉が通じないので定かには分からないが、鼻を近づけるといい香りがしたのでトリュフのようなものだろうか。
 
このお菓子屋さんは気前がよくて、見ているといくらでもお菓子をくれる。

この店先でアクセサリー屋の兄ちゃんに拉致されてゴールド・スークへ。
 
何本もある細い通路の両側に小さな金銀細工の店が並ぶ一角。ドバイのゴールド・スークなどに比べると地味なものだが、ちゃらちゃらしたアクセサリーを品定めするのは楽しい。
結局、客引きの兄ちゃんとは別の店でピアスを買ったが、店の人がわざわざ「我々はアルメニア人である」と言うのはどういう意味があるのだろうか。複雑な歴史をちらっとのぞいた気がする。

  
アレッポのスークはダマスカスに比べて石造りの天井が残っている所が気分。その分通路は狭くてゴチャゴチャしているが、そこに水売りなどがいて、ここは昔からずっと変わらないのだろうと思わせる。

 
売っているのは衣類や生活雑貨から食料までなんでも。スパイス屋さんは店頭のディスプレーが見事。アレッポ石鹸の店ももちろんいっぱいあって、お土産用のかわいい石鹸もたくさんある。

このスークの中をうろうろと、随分歩いたはずだが帰ってみると意外に写真がない。
同じような店があまりにもたくさんあるので見るのに夢中になり、写真を撮った気になっていたのだろうか。

石のアーケードに疲れたところでスークを出て、ホテルのあるキリスト教地区の方角へブラブラと歩く。

アレッポの旧市街には2階に木造の出窓を張り出させた家がたくさんあって、これがおもしろい。
 
 
 格子の破れ目からは小さな顔がのぞいていたり。

  
このあたりは古い城壁の中に店があるのだろうか。無人の床屋がかっこいい。
 こちらは別の床屋で。昔なつかし、坊ちゃん刈りのボクは緊張しまくり。

 ゾロゾロを着た女性でにぎわうアル・ティラル通りまで来ればホテルはすぐそこ。

今日もよく歩いた。


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ANAで「愛をよむひと」&「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」

2009-06-23 02:47:10 | 機内食・映画・美術展
今回の香港往復は珍しくANAのビジネスクラス。
機内食は栗原はるみとのコラボが売りらしいけど、
 前菜はともかく、メインがしょぼい。

外食続きで疲れたジャパニーズ・ビジネスマンに家庭の味を、ってコンセプトはわからなくもないけど、ターゲット絞りすぎじゃないだろうか。味は悪くないけど外国人には受けないだろうし、これならカレーライスやお茶漬けの方がいい。
ご飯の器がプラスチックなのも安っぽいし、デザートのあんぱんもなんだかなあ。
家庭料理研究家に機内食はやっぱり無理みたい。

久しぶりに使ったANAは機内の映画も古いのが多くて、これはJALの方がずっといいぞ。
と文句を言いながら選んだ2本。

「愛をよむひと」
ケイト・ウィンスレットがこれでアカデミー賞を取ったという以外、ほとんど内容を知らずに見た。
はじめは高校生の男の子が年上の車掌さんと関係を持ってしまうという展開に、よくある年上の人との恋物語、男の子の成長ものかと思った。
ところが途中でケイトが消えてしまい、法学部の学生になった主人公と再会するところから話は思いもよらない方向へ向かっていく。

この映画のストーリーをなぜ知らなかったかというと、この先のあらすじを書いたらネタばれになってしまうからどこにも詳しいことが載っていないせい。
50年代のドイツというのがミソなのだが、とても重いテーマ。
時代の残酷さ、個人の責任、贖罪、許し。
映画が饒舌でない分、いろいろ考えてしまう。

それにしてもケイト・ウィンスレットは本当にうまい。悲しそうな表情の中に意志の強そうなところをしっかりのぞかせるあたりが実に見事。
「タイタニック」の頃には今時随分太めの女優だと思ったが、大好きな女優になった。


「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」
こちらはうって変わって軽~いファミリー映画。
兄弟の中でも一番安いおバカなバーゲン犬と一緒に家族が成長するお話。
と聞いただけでストーリーの想像がつく、いかにもアメリカンな映画だが、役者に変な癖がなくさらっとしているのがいいし、よくトレーニングされた犬もとても自然に見える。小ざかしい演出がないのがとにかく好印象。

最後はもちろん思った通りの展開になるのだが、わかっていてもほろっとさせられてしまう。
これはペット振興団体の宣伝映画か。だとしたらとても効果的だと思うが。


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香港のホテルにて

2009-06-20 00:57:20 | 東アジア
毎度おなじみ、香港に出張中。

いつものコーズウェイベイのホテルにチェックインすると、
「前回ご宿泊の際のアンケートでコーヒーメーカーをご所望でしたので、お部屋にご用意しておきました。」

部屋に入ってみると真新しいコーヒーメーカーにコーヒーが1パック、丸々置いてある。
部屋で仕事をすることが多いので、あるといいなあ、ぐらいの気持ちで書いただけなのに。

さらに前回、うっかり部屋に文庫本を忘れた。
これも「もしかして保管してない?」と聞いてみると、ちゃんと部屋まで届けてくれた。

ちょっとしたことだけどこういうサービスはとてもうれしい。
小さいホテルならではだろうか。

移動は便利だし、まわりに食べ物屋はいくらでもある。
そのわりに部屋は静かで広さも十分。

というわけで香港の Lanson Place Hotel、おすすめです。


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シリア周遊 12 アレッポの石鹸工場

2009-06-17 02:24:19 | 中近東/北アフリカ
5月5日

アレッポのMandaloun Hotel、雰囲気のあるいい宿なのだが問題が一つある。
最上階の後から増築されたと思しきお部屋、壁が薄くて隣の音がよく聞こえるのだ。
昨夜は寝についてしばらくたった頃、隣室の物音で目を覚ました。時間を見ると午前2時過ぎ。夜更かしのシリア人カップルが遊びから戻ったらしく、興奮しているのか女性の甲高い話声がやかましい。アラビア語がわかれば話の内容がすべて分かるほどの音に壁を叩いたらその時だけは静かになったが、またしばらくするとおしゃべりを始める。

結局となりが静かになったのは朝のアザーンが聞こえてから。
おしゃべり以外の音を立てないでくれたのだけが救いか。

よく寝られなかったせいか、朝食の部屋が薄暗い半地下なのも気に入らない。
 せっかく素敵な中庭があるのに。

気を取り直して、迎えに来てくれたアリー氏に連れられてアレッポ石鹸の工場見学へ。
 
旧市街の北側、銅細工の鍛冶屋が連なる一角の大きな扉をくぐると雑然とした中庭のある工場がある。

案内の人について階段を上がると、中に巨大なタンクが。
 ここでオリーブ油、ローレル油などを3~4日攪拌して石鹸が作られるのだが、石鹸の製造は冬の間だけ、3月いっぱいで終了ということで現在はからっぽ。
 
攪拌された液状の石鹸を一面に流し込むという床も残念ながら今はただの床。この上に人が乗り、引っ張って石鹸を切るという刃のついた板を見せてもらう。これで石鹸を切るところが見たかったな。
 
切った石鹸には木のスタンプを押し、これを寝かせるとアレッポ石鹸の完成。
  
麻袋や箱に入れられて出荷を待つが、オリーブ油とローレル油の配合量、寝かせた長さによって石鹸の質はちがうんだそうだ。
 ちなみに右の色の薄いのは若い石鹸、左の色の濃い古い石鹸の方が上物。無添加で肌にいいと最近は日本でも人気が高いらしい。
 ここで買った最上級の石鹸、1キロ800ポンドは街中で見たどれより高かったけど、他よりいいと信じてますよ、オーナーのゼナブリさん。

石鹸を無事買い込んだら、さあ、あとはゆっくり街見物をしようとまずは目立つアレッポ城へ。
 
お堀を回り、階段を上がって門を入ろうとするとなんと、「今日はお休みだよ」
街一番の名所に休みがあるとは思わなかった。道理で人が少ないわけだ。不覚。

それでは、と旧市街に突入し、目に付いたカーン・アル・ワジルへ。
  きれいな門を抜けると
 昔の隊商宿が今は骨董屋になっている。
 店番のおやじが窓枠の飾りの片方がキリスト教、もう片方がイスラム教を表していると教えてくれた。さすが国際商業都市アレッポ。

さらに行くと大モスク。ここもウマイヤド・モスクと呼ばれている。
 「地球の歩き方」にはスカーフもいらないと書いてあるが、実際には女性はねずみ男スタイルになる必要あり。
 
何度も再建されたという建物に大きな特徴はないが、11世紀のオリジナルのままというミナレットと床の大理石模様がきれいだ。
 

ちょうどお昼になったので、モスクの隣にあるレストランへ。
 
あまり期待もせずに入ったが、入ってみるとここも古い屋敷を改装したレストランで屋上はテント張り。
 広い窓からはモスクと、その向こうにアレッポ城も見える。
 
トシュカもタイムのサラダもおいしくて、ここは当たり。

エネルギー補給をしたら次はスークへ行こう。


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コッコロでイベント 「手作りお菓子と雑貨の販売会」

2009-06-15 00:31:19 | 食べ歩き
自由が丘のお友達の店、コッコロでイベントがあると言うのででかけてみた。

本日は「手作りお菓子と雑貨の販売会」。
 小さな店内のテーブルの上に小さなお店が開いている。

 
清楚な白い陶器は蓋物が個性的で素敵

 ガラスのアクセサリー屋さんは指輪がメインなのだが
 
パンダの乗った指輪がかわいい!

 カウンターでは抹茶カフェがオープンしていて
 お菓子を買うことも出来る。

お店のお客様が企画したというこのイベント、手作り感が楽しい。
次回はいつかな?


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シリア周遊 11 アレッポへ

2009-06-13 19:55:38 | 中近東/北アフリカ
5月4日 続き

魚でお腹がいっぱいになったので、出発の前に腹ごなし、と湖にそびえるカラート・ジャーバルへ。
  
イスラムの到来以前から存在するというこの城、現存するのはヌール・アッディンやマムルーク朝に再建されたレンガの壁。
 
 ぐるっと一周して湖を眺める。
 
壁の内側には見張り塔が一本残っているだけ。地味だがレンガ組みの模様がきれいだ。

ところでこの上の写真がやけに茶色いのはカメラの故障でもPC画面の不調でもない。
湖畔で食事をしているうちに風が強くなり、城の見学をしている時は吹き飛ばされそうな風が吹いていたのだ。

城を出て警戒厳重なアサド・ダムを渡る頃には風はますます強くなり、砂を巻き上げるせいだろう、世界がオレンジ色になった。
 砂嵐とはちがう、なんとも不思議な光景。

アレッポに近づき、やっと世界が普通の色に戻ってきた。
 幹線道路の中央分離帯に羊が一杯。

 アレッポは大都会だ。

  
アレッポの宿は新市街、キリスト教地区にある Mandaloun Hotel。ここも古い屋敷を改造したホテルで、雰囲気のいい中庭がある。
我々の部屋はクラシックなエレベーターであがる最上階、3階の部屋。
 
木を多用した小さな部屋に問題はないと思ったのだが・・・。

とりあえず街の位置関係を把握しようと表に出て、また思いっきり方向を間違える。ぐるぐる歩き回って、でもおかげで街の様子がよくわかった。
 
しょっぱなからこんな素敵な町並みに出くわして、これは明日の街歩きが楽しみ。

お昼をたんまり食べたので、夕食は軽く近場のジュース屋さんへ。
 
男前のお兄さん達と遊びながらシュワルマを食べていると、会計係のおじさんが1000ウォン札を持ってやって来た。
「これは君たちの国のお金?これでいくらなの?」
1000なんて書いてあるので期待していたのだろう、「これは韓国のお金。1ドルぐらいね」というとがっかりしていた。

 
締めには隣でちょっと不思議な味のアイスクリームを食べて、さあ、明日は歩くぞ。


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シリア周遊 10 アサド湖

2009-06-12 02:37:20 | 中近東/北アフリカ
5月4日

デーレゾールを出てユーフラテス川沿いに北へ向かう。

 川沿いのこの一帯は農業地帯。麦畑が続き
 ロバに乗った女性が通る。

1時間ほど走った所で幹線道路をはずれ、畑の中を走って川べりに出る。
やがて小高い丘が見えたらそれがハラビーヤの城跡。
 
パルミラのゼノビア女王がはじめに建てた城だが、現在残っているのは6世紀、ビザンチン時代のもの。
  
階段を登って一番よく残っている建物に入ればアーチ型の天井や窓がきれいに残っている。
  
そして眼下にはユーフラテスの流れ。
 

知識もなく、期待もせずに来た割にはここが気に入る。
しかし今日はあいにくの曇り空。ぽつぽつと落ちてくるものもあるので先に進む。

幹線道路に戻り、また1時間ほど行くとラッカの町に入る。
 
このあたりでは大きな町で、なにやら景気よさげな大きなモスクやモダンな家が多く建てられているが、8世紀、9世紀にも栄えた大きな町だったらしい。

その名残として町の真ん中、大きな通りの傍らにバグダット門があり
  
これは町のシンボルとしてタクシーのマークにもなっている。

もう一つ残っているのは9世紀のカスル・アル・バナトという建物。
 
こちらは民俗博物館にすべく、現在修復中。

これらをさくっと見たところで町を離れ、さらに西へ。
そして着いたのがユーフラテス川をせき止めて作られた巨大なダム湖、アサド湖。
 全長が60キロもあるという湖はまるで海のようで、足を漬けてみると水は冷たくて気持ちいい。

 
遊覧船も浮かぶこの湖岸で本日はランチ。
 おなじみの前菜各種が並ぶ中に日本から持参のアルファ米の五目御飯も出して用意万端。
 そして登場したこれが3人前。なんという名前の淡水魚か知らないが、スパイスを効かせて炭火焼にしたこの魚、これまた持参した醤油もいらないほどおいしかった。

湖からの風に吹かれながら食べる久々のご飯と魚、最高!


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シリア周遊 9 ユーフラテス河畔

2009-06-09 19:38:29 | 中近東/北アフリカ
5月3日

パルミラの町を出て東へ向かう。

相変わらず荒涼とした景色をしばらく行くと、前方の道をラクダの大群が横断し始めた。
 
 
大きなラクダ、小さなラクダ、次々に目の前を通っていく。

こんなに大量のラクダを一度に見たのは初めて、と喜ぶとドライバーのアリー氏も得意そう。

ダマスカスからパルミラへの道では生き物の気配もなかったが、東へ向かう道では家畜がぽつぽつ姿を見せる。
 わずかな緑の中には羊飼い
  
犬が顔を出す運搬車には羊が3階建てでぎっしり詰まっている。

デーレゾールの町から進路を南に取ると、ユーフラテス川に沿ったこの道筋には小さな町がいっぱい。
 路上には市場が店開き。

やがて遠くに延々と連なる壁が見えてきた。

これが紀元前4世紀から紀元224年まで栄えたというドゥラ・エウロポスの遺跡。 

 大きな城門の前には無人のチケット売り場があり、しばらく待っていると遺跡の中からバイクの兄ちゃんが現れて切符を売ってくれる。

城門をくぐって中に入ると
 
無茶苦茶広くて茶色一色。建物の跡というのは分かるけど、それ以上は想像力の限界。

てくてくと砂の中を歩いていくと眼下にユーフラテス川が見えた。
 おお、これがメソポタミア文明を育てた川か、と感慨深いが、この砂漠の中では本当に川筋の狭いエリアだけが緑色であとは砂。水のありがたさが身にしみる。

崖の下を覗くと修復されつつある城砦の手前に真新しい小さな建物がある。
 
あれは管理人の家だろうか、と話しているとまたバイクのお兄さんが来て、「あれは博物館だよ。見たかったら開けるよ」というので中に入れてもらう。
 中の展示は模型や地図、写真がほとんどで出土品はダマスカスに行ってしまってなにもない。しかしとても分かりやすい展示で、好感が持てる。

そしてここで重大な発見。
ドゥラ・エウロポスはここから出土した2世紀の壁画で有名なのだが、国立博物館にあるそのほとんどを実は見逃していたことが判明。なに~、どこにあったんだ。壁画好きとして見逃すなんて許されん。

リベンジを期して遺跡を後にし、さらに南、イラクとの国境まで数キロという所まで車を進める。
ここで立ち寄るのはもう一つの砂の山。
 マリ遺跡。
今から5000年も前にメソポタミア文明が栄えた場所だが、
 
今ここに残るのは壁と泥レンガだけ。こういう古~い遺跡は知識がないととてもつらい。

あと一歩でイラクという所まで来たことに満足してデーレゾールの町へ引き返す。
4時過ぎに町に入り、向かったのはまた博物館。
 それほど期待もせずに入ったが、ここは意外な拾い物。
広い館内に展示物は少ないが、長い歴史と地理関係がとてもよく解説されていてわかりやすい。

そしてもう一つ嬉しかったのはテル・ブラックの出土品があったこと。
テル・ブラックはシリアの北東、トルコとの国境に近い遺跡だが、アガサ・クリスティのだんなさん、マックス・マローワン教授が発掘した遺跡なのだ。クリスティも発掘の手伝いをしたという、その遺跡での日々は本にもなっていてこれがおもしろい。
Amazon.co.jp: Come, Tell Me How You Live: Agatha Christie: 洋書
この小さな出土品をアガサも触ったかも、と思うだけでファンは嬉しいのだ。

貸しきり状態の博物館をゆっくり楽しんだ後は、デーレゾールで唯一の観光スポット、ユーフラテス川にかかるつり橋へ。
 
川には中洲が多く、橋は渡ってみると思ったよりずっと長い。

涼しい川の上は地元民にも大人気。デート中のカップルやら家族連れやら、大勢の人がのんびり楽しんでいる。
 

そして川といえば釣り。しかしここの釣りはおもしろくて、糸の先が針ではなく細かい網になっている。
 
へ~、こんなので釣れるのかね、と思っていたらいかにもベテランの風情の釣り人が一度に2匹の魚をゲット。

感心した所でホテルに引き上げた。


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シリア周遊 8 さらにパルミラ

2009-06-07 16:30:27 | 中近東/北アフリカ
5月2日 続き

遺跡の見学はちょっと中断して、現代のパルミラの町を散歩してみる。
 新市街はどんどん広がっているようだが、観光客に用があるのは博物館前から伸びる道一本だけ。ここに土産物屋やレストランが集中している。

真昼間は閑散とした通りをウィンドーをひやかしながら歩いていると、カフェというか土産物屋のおやじにデーツの試食をすすめられ、暇なので中に入ってみた。
するとおやじも暇だったのだろう、コーヒーやらデーツシロップやら果物やら、次々に振舞ってくれる。
  
 
日本語を一生懸命ノートに書き付け、友人をさかんにくどくおやじからデーツを購入。高かったけど、お茶代としてまあ許そう。

パルミラ名産のデーツは他の店でもたくさん売っている。
 
こちらのおやじの所では中にアーモンドが入り、上にピスタチオがかかったデーツをお買い上げ。
中近東に行くようになって以来、デーツが好物になった。

買い物が済んだ所でお昼にしようと、店頭でチキンのまわる店に適当に入る。
  
 間口の狭い店だが中は意外に広く、大丼で出てきたサラダには驚いたがこれがおいしく、炭火で焼かれたラムも柔らかくてこれまた美味だった。

お腹がいっぱいになったところでホテルまでてくてく戻り、暑い昼間は小休止。
夕方、日が傾いた所でまた遺跡に繰り出す。

日陰で休むラクダさん達の横を通り抜けてベル神殿へ。
 
遺跡の中でもここだけは入場料がいるが、壁の中に入るとこれまた広い。
 真ん中に建つ本殿にたどり着くだけでも一苦労。

この本殿の前にある石の彫刻、観光客がガイドに促されてさかんに下を覗き込んでいる。
 
それでは我々も、と地面に頭を擦り付けて覗いてみると
 
下面にこんなみごとな浮き彫りが。

さらに遺跡の中をうろうろしているうちに夕暮れになった。期待したような見事な夕焼けは残念ながら見ることが出来ず、
 
ラクダさんたちも店じまいなので、もう引き上げよう。

夕食はまた町まで歩いてベドウィン料理の店へ。
 
左はヨルダンでも食べたマンサフだが、ここのは羊ではなく鶏。右はカワジというトマト味のシチュー。どちらも癖がなくて普通に食べやすい。

ところでこの店、食事を終わるとにいちゃんが「メニューを日本語で書いて」と紙を持ち出した。下手な字だけどいいのかね、と書いて「値段は書かないの?」と聞くとあわてて「いや、値段はいいんだ」

こちらで食事される皆様、ど下手な日本語のメニューがあったらそれは私の字です。そして注文の際には必ず英語メニューで値段のご確認を。悪い店ではありませんが、油断は禁物。

 
ホテルからライトアップされた遺跡を眺めて、パルミラの見学終了。


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